異次元の少子化対策は“不公平”…でも、子ども2人以下でも対象になる「大学無償化」制度も実はあった!
岸田首相は異次元の少子化対策の1つとして、「大学無償化」を2025年度より始めると発表しました。しかし、この制度の対象が子どもが3人以上いる世帯としていることに、“不公平”の声が噴出。今回は、この制度に対する保護者の声とともに、子どもが2人以下の世帯も対象になる無償化制度を紹介します。
岸田首相は「異次元の少子化対策」の一環として、2025年度から所得制限のない「大学無償化制度」をスタートすると発表しました。
2024年度の大学進学率は、過去最高の57.7%。2人に1人以上の子どもが大学に進学していることになります。しかし、子どもを4年間、大学に通わせる費用の総額(入学金、授業料、教材費、交通費など)は、国公立大学でも平均481万円、私立大学だと文系で平均690万円、理系で822万円と非常に高額。子どもが大学に進学した途端に家計が赤字になっている世帯もあるといいます。そんな大学の費用が無償になるなんて、ありがたいですよね。
大学無償化に「反対」、なぜ?
ところが、「ソクラテスのたまご」が中学・高校・大学生の子どもがいる保護者120人にアンケート調査を実施したところ、大学無償化制度について、「賛成」と答えたのは27人(22.5%)、「反対」は51人(42.5%)、「どちらでもない」は42人(35%)という結果になりました。
「反対」「どちらでもない」の回答が約8割にものぼった理由は、「大学無償化制度」の対象が、子どもを3人以上扶養している世帯のみだからです。子どもが2人までの世帯や、第1子が就職するなどして保護者の扶養から外れた場合は対象外となることに、不満の声が多く上がりました。
「反対」と答えた人の声
子どもが1人、2人の家庭にも大学を無償化にしてほしいから。子どもの数は1人か2人の家庭が多いのに、そういった家庭にはなんの免除もないなんて、不公平と思います。子ども1人1人が平等に勉学ができるようにしてほしい。
そんなことをしてもいつハシゴを外されるか分からないから。また、子どもの年が近くないと無理なことも判明し、意味がないと感じるから。そして何よりも、無償だからとりあえず大学に入る、別に勉強なんてしたくないけど大学に行くという人間が増えることで、大卒の価値が下がるのが嫌だから。
そもそも3人目を産んだら無償で大学に通わせられるからもう1人産みたいとは思わない。大学に行かせるまでに、生活費含めて多額のお金がかかるわけで、子どもを安心して育てられる収入や社会的な環境が整ってこそ、「もう1人」と思えるのではないか。今回の大学無償化は、全く少子化対策になっていないと思う。
「どちらでもない」と答えた人の声
物価高、増税等で生活が苦しくなってきているが、給料は上がらない状態です。そんな中で大学を無償化にするアイデアはとても良いと思いますが、子ども3人以上という制限が納得できません。私のように子どもが1人でも生活が苦しく子育てに悩んでいる家庭もあります。そういった家庭も含めてほしいです。
親の収入に関係なく、すべての子どもが受けたい教育が受けられるようになってほしいと思っています。大学の無償化には賛成ですが、子どもの人数などの条件なしに、すべての子どもが希望する教育が受けられるようになってもらいたい。
シングルマザーなど働きたくても制限がある人もいます。できることなら子ども3人以上ではなく、子どもは全員、大学を無償化する取り組みをしてもらいたいです。
また、「賛成」と答えた人からも、「大学まで行きたいと思う子に対しては、1人でも2人でも出して欲しいのが本音」「金銭的理由で進学を断念せざるを得なかった子が進学できるようになるので賛成だが、3人以上という制限がなければもっと大賛成」といった声が上がっており、この制度を手放しで「いい」と思っている人はあまりいないようです。
子ども2人以下の世帯の無償化制度もある
大学無償化の「子どもを3人以上扶養」という条件に疑問の声が多く上がっていましたが、子ども2人以下の世帯には、2020年にスタートした「高等教育の修学支援新制度」が利用できる場合もあるようです。
この制度の対象になると、入学金や授業料が減額あるいは免除される「授業料等減免」のほか、返済不要の「給付型奨学金」を利用できます。
ただし、こちらは住民税非課税世帯およびそれに準ずる所得の世帯のみが対象で、資産条件も設定されています(住民税非課税世帯に準ずる世帯は、納税額に応じて支援金額が異なります)。
また、高校3年生時点で高校2年生までの評定平均値が3.5以上、大学等1年生で入学試験の成績が入学者の上位2分の1以上、大学等2~4年生で在学する大学等における平均成績が上位2分の1以上など、さまざまな学業条件もあります。
2025年に始まる大学無償化制度とは違い、所得などの制限はありますが、要件を満たせば大きな支援が受けられるので、対象となる方は確認するといいでしょう。
東京、大阪、兵庫で始まる無償化制度に期待
ここまで対象となる制度がなかった人も、子どもの学費支援を受けられる可能性が残っています。
東京都は2024年度から、東京都立大学や東京都立産業技術大学院大学、東京都立産業技術高等専門学校に通う、年収約910万円未満の世帯の授業料を全額免除するとしています。
また大阪府では、2026年度から大阪府内の府立大学、府立大学、公立大学高専、公立大学の授業料を段階的に無償化していく予定であることを発表しました。年収約910万円未満の世帯を対象に、扶養する子どもの人数に応じた支援を行うようです。
他にも兵庫県が、2026年から段階的に、兵庫県立大学と兵庫県立芸術文化観光専門職大学の入学金と授業料を無償化していく予定だとしています。こちらは県内在住者に限り所得制限を設けず、全ての世帯を対象とするとのこと。
東京、大阪、兵庫に続き、大学などの入学金や授業料を支援する都道府県が今後出てくることも考えられます。お住まいの都道府県やお子さんが進学を希望する都道府県などの情報をチェックしておきましょう。
子どもの将来や進路にも大きく影響する学費。家庭の経済状況に左右されず、全ての子どもが自分らしい学びを選び取れるような、真の「異次元の対策」が今、求められています。
<参考資料>
・文部科学省 令和5年度学校基本統計結果の概要
・日本政策金融公庫 ~令和3年度「教育費負担の実態調査結果」~
※情報は2024年3月3日時点のものです
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