「月〜金、午後は探究学習」渋谷区立の小中学校の新しい時間割に、教師が“反対”するわけ
探究学習とは、子どもたちが自ら社会の中にある課題を見つけ、人や企業などと協働したり、情報を収集・整理・分析したりしながら解決策を探していく、新しい学びの形。現在、全国の小中高校で「総合的な学習(探究)の時間」として取り組まれていますが、東京都渋谷区は2024年4月から、渋谷区立全ての小中学校で「毎日午後の授業時間を探究学習にあてる」と発表しました。この大胆なカリキュラムには反対の声も上がっています。なぜでしょう。
渋谷区立の小中学「午後は全部、探究学習」に
東京都渋谷区は、2024年4月より、「毎日午後の授業を探究学習にあてる」ことを決定しました。
立案は渋谷区教育委員会。子どもたちがみずから問いを立てたり仲間と協働して新たな価値を創造する学びを実現することを目的としているといいます(NHK 首都圏NEWS WEBより)。
公立校なのに、区独自のカリキュラムを行うことに問題はないのだろうか、と思った人もいるかもしれません。今回の探究学習を大幅に増やすカリキュラムは、令和3年度に創設された文部科学省の「授業時数特例校制度」を利用して行われます。
「授業時数特例校制度」は、学校の裁量の幅を拡大させたことで、全ての子どもたちの可能性を引き出す個別最適な学びと協働的な学びの実現といった「令和の日本型学校教育」を構築するために始まったもの。渋谷区はこの新しい制度を活用し、道徳や特別活動などの時間を「総合的な学習(探究)の時間」と合わせることで、年間70コマだった探究学習の時間を155時間に増やします。
国語、算数・数学、理科、社会などの授業時間は1割減りますが、「学習指導要領で定められた学ぶ内容に変化はない」のだそう。午後の探究学習の授業は、「シブヤ未来科」という名称になるようです。
「多くの子どもは課題すら設定することは困難」運用の課題
この渋谷区の先進的な取り組みについて取り上げたYahoo!ニュース(ABEMA TIMESの記事)のコメント欄には、現役の教師の「自ら課題を設定ということは非常に難しく多くの子どもは課題すら設定することが困難です。なので大半はこちらが設定することになっているのが実態です」などと、一部「反対」の声もあがっています。
実際に、菅公学生服が全国の中学・高校の教員1400人に行った調査(2023年6月)によると、中学校では7割超、高校では6割超の教員が「探究学習は生徒にとって必要」と回答したものの、「教師の負担が大きい」(中学校60.4%、高校57.6%)、「探究学習のテーマ・課題の設定」(中学校43.4%、高校41.5%)、「調べ学習で終わってしまう」(中学校40.1%、高校38.9%)などの課題もあがっています。
「総合的な探究の時間(探究学習)は必要なことだと思わない」と答えた教員の具体的な回答を見ると、「準備が大変」「時間の余裕がない」「教材づくりが難しい」といった声や、「調べ学習に終わる生徒が多い」「興味を持たない生徒が多い」「生徒の役に立っていると実感できないから」といった声もあります。
探究のレベルが異なる子どもたちをどのようにして導いていくのか、教員の負担が増えないかといったことは確かに懸念点ではあるでしょう。何をテーマにどう探究していくのか、運用の難しさという課題をどう解決していくのか。教師側の“探究”も求められそうです。
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