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現代のソクラテス
2021.04.14

グリーンスクール(バリ)の日本人卒業生が環境活動家として中高生に伝える世界のこと

「世界一エコな学校」として注目を集めているインドネシア・バリ島の「グリーンスクール」。日本人女性で初めて同校を卒業した露木志奈(つゆき しいな)さんは、現在、卒業後に進学した大学を休学し、環境活動家として気候変動についての講演会を全国で行っています。露木さんに、グリーンスクールでの学びや大学休学の理由、環境活動家としての思いなどについて伺いました。

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グリーンスクールの授業で目にした「巨大なゴミの山」

これは、東京都武蔵野市での講演会「学びで次世代を、地球を守ろう」の開催に先がけ、演者である露木志奈さんから参加者へ向けたメッセージの一部です。

(大学を)休学しました。
理由は、大学は待ってくれるけど、気候変動は待ってくれないから。
とにかく伝えたい。
今、地球で何が起きているのかを。
そして必ず変えられる希望があることを。
気候変動を信じるか、信じないかはもちろん人それぞれだけど、
私は、手遅れになる前に、できることを全力でやりたい。

露木さんは、神奈川県横浜市の公立中学校を卒業後、高校時代の3年間を”世界一環境にやさしい学校”といわれる「グリーンスクール(バリ)」で過ごしました

卒業後は慶応義塾大学環境情報学部に入学。1年間キャンパスライフを送りましたが、グリーンスクールでの生活を通して学んだ「気候変動の危機」について、日本の同世代、中高生にもっと知って欲しいと、大学の休学を決意。環境活動家として、全国の中学校・高校を訪れ講演活動を行っています

なぜ、大学を休学してまで、講演活動を始めたのでしょうか。

「きっかけは、グリーンスクールバリで受けた気候変動についての授業です。ある日、先生から気候変動についての説明がひととおり終わったあと、『この問題を実際に見に行こう』ということで、30分ほどバスに乗りました。

下車した目の前にあったのは、巨大なゴミの山でした。バリという小さな島に、こんなにたくさんのゴミ。これらは世界の国々から運ばれてきたもので、その国の中に日本も含まれていることを知り、衝撃を受けました」(露木さん、以下同)

話を伺った人

露木志奈さん環境活動家

2001年横浜生まれ、中華街育ち。15才まで日本の公立学校に通い、高校3年間を「グリーンスクールバリ」で過ごし、2019年6月に卒業。2019年9月、慶應義塾大学環境情報学部に入学。現在は、気候変動についての講演会を全国の中学生・高校生に行うため休学中。露木志奈さんのサイトはこちら

一人ひとりの“選択”が、未来への希望につながる

環境省によると、日本全体で1年間に出されるゴミの総排出量は、4.272万トン。東京ドーム約115杯分という多さです(平成30年度)。

「ごみを収集するために車を走らせたり、ごみを燃やしたりするときに温室効果ガスが発生することで、地球の平均気温が上がって気候変動が起こり、作物生産の減少や自然災害の増加、健康への悪影響が心配されています。

私たちが今のままの暮らしを続けると、地球の寿命は、あと7年といわれているのです。気候変動の影響を最終的に受けるのは、私を含め、若い人たち。『大学に行ってる場合じゃない。今、地球で起きていることを、たくさんの人たちに伝えないと』と、使命感にかりたてられ、現在の活動に至っています」。

講演では、グリーンスクールでの学びのエピソードとともに、気候変動の現状について画像やイラストを用いながら、誰もがわかりやすい言葉を使って話す露木さん。

「気候変動を食い止めるか否かは、今を生きる私たち一人ひとりの“選択”にかかっています。『マイボトルを持つ』『買い物の時はエコバッグを持参する』など、今すぐにできる“選択”に加え、『自然エネルギーによる電力供給を行う電力会社に切り替える』『CO2が大量に排出される家畜産業により作られるお肉の消費量を減らす』などの“選択”。これらを行っていくことで、気候変動に歯止めをかけることができます。私たちの行動が、未来への希望につながるのです」。

グリーンスクールで得た「世の中の問題を見つけ、自ら解決する」学び

小柄ながらも全身からポジティブなオーラを発し、聞く人の心をつかむ露木さん。その圧倒的なバイタリティは、「起業家スピリッツを養う学校」としても知られるグリーンスクールで学べば、誰もが身につくものなのでしょうか。

「たまたま私は、グリーンスクールの校風が自分にぴったり合ったのだと思います。グリーンスクールには世界中から生徒が集まってきますが、一度入学しても、校風が合わずに母国に帰ってしまう子もいるんです。

私の場合、もともと『留学して英語が話せるようになりたい』という気持ちが先にあり、母と相談しながら海外の学校を探していました。そんな中、竹や材木だけを使って作られた校舎を見た瞬間『ここで学びたい!』と、ほぼ直感で入学を決めたんです(笑)。インスピレーションを信じて選んだ学校が自分にフィットしたことは、幸せなことだと思います」

グリーンスクール(バリ)の校舎の内部

在学中は、授業を受けるかたわら2018年にCOP24(気候変動枠組条約締約国会議) in Poland、2019年にCOP25 in Spainに参加。

さらに、肌が弱かった2歳下の妹さんのために、厳選した自然材料を用いた化粧品を開発。パッケージは、持続可能でバリ島の代表的な建築素材である”竹”で作りました。

一方で環境問題について興味を持ってもらうよう、化粧品のレシピを公開して化粧品作りのワークショップを開き、「作る」という体験を通して、普段消費している物の背景にどんな過程があるのかを知ってもらう活動も始めました。

グリーンスクール在学中のワークショップの様子

「グリーンスクールでは、英語力はもちろん、今の活動の原点である環境についての授業、ディスカッションやプレゼンテーションを重視するさまざまな授業を通して世の中の問題を見つけ、自ら解決するための学びを得られたことが、とても大きかったですね。

高校生だと、すべての授業を選択して選べるんです。自分で勉強しながら授業を作る『インディペンデント・スタデイ』というプログラムもあり、化粧品づくりはこのプログラムで行っていました。『ないものは自分で作る』というスピリッツを、身をもって学ぶことができました」

グリーンスクール内でのプレゼンテーションの様子

希望を持ち「今できること」と向き合い行動を続ける

環境活動家として講演活動を始めて約半年。これまでに、全国80校近く学校、のべ約1万人もの人たちに、グリーンスクールでの学びや気候変動についてお話ししてきたという露木さん。

「学校の先生が、私の活動が紹介された新聞記事を見つけて講演を依頼してくださるケースも多く、とてもありがたいですね。

講演中、生徒さんたちは真剣に私の話に耳を傾けてくれます。講演後、質問を受ける時間も設けているのですが、最初はシーンとしているけれど、だれか一人が手を挙げだすと、次々に手が挙がります。聞いていただく人たちにとって、気候変動は身近な問題であること、皆が『何とかしなくちゃ』と思ってくれていることが伝わってきます」

7年後の地球は、果たしてどうなっているのでしょうか。世界でさまざまな研究発表が行われています。

「中には悲観的な内容のものもありますが、実際には、そのときになってみないとわからないですよね。これからも希望を持ち続け、私が『今できること』と常に向き合い、前に進んでいきたいと思います。大学を休学してこのような講演活動を続ける私の姿を見て、『自分のやりたいことを見つけたら、いつでも始めていいんだ』と気づいてくれる生徒さんが増えたら、それもうれしいですね」

長島 ともこ

長島 ともこ

フリーライター、エディター、認定子育てアドバイザー。妊娠&出産、育児、教育などの分野の企画、編集、執筆を行う。PTA活動にも数多く携わり、その経験をもとに、書籍『PTA広報誌づくりがウソのように楽しくラクになる本』『卒対を楽しくラクに乗り切る本』(厚有出版)などを出版。「PTA」「広報」をテーマに講演活動も行う。2児の母。

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