教育は未知にあふれている

ソクラテスのたまご

2019.02.05

体や心だけじゃない! 脳を育むこともできる食育とは?

食育基本法なるものもあるほど国をあげて取り組んでいる「食育」。しかし、食育とはいったいどういうものなのかを理解できていますか? 食育とは単に栄養について学ぶだけでなく、脳を育み、生きる力を養うことでもあるのです。そこで、小中学生の子どもを抱える家庭で実際に行える食育のアイデアと脳を育む食育についてご紹介します。

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食育ってなんのためにあるの?

近年、「食育」というワードは浸透されてきましたが、そもそもなぜ、食育基本法が成立されたのか、その理由をご存知でしょうか?

 

高度経済成長(1960年)の頃から大量生産、大量消費時代にとなった日本。80年代頃からは飽食の時代となって食の大切さが見失われるようになりました。今ではコンビニやスーパーに行けば、手軽でおいしいレトルト食品や冷凍食品などが売られていますが、すべての食品が安心安全というわけではありません。

 

さらに、便利さを追求するあまり食の大切さが忘れられてしまい生活習慣病が増加。子どもたちの体力や運動能力、気力の低下、キレやすい子どもが出てきたりしていることが食と関係していると見ている人も少なくありません。

 

そこで、行政による食育の取り組みが進められ2005年6月に食育基本法が成立。国や地域、学校で食育への取り組みが行われるようになりました。

 

例えば、東京稲毛市にある子ども料理教室では、春休みと夏休みにお年寄りを招いて郷土料理を教えてもらうほか、与えられた食材で献立を考えて調理をしたり、食事のマナーを学んだりしています。

 

また、福岡では10代から70代のボランティアが野菜人形劇団を結成。生の野菜がしゃべる人形劇を通し、野菜嫌いを克服したり野菜の旬や種類を学んだりしています。

 

さらに、文部科学省では、学校における食に関する指導を推進するため、平成17年度から栄養教諭制度をスタート。従来の学校栄養職員よりも一歩踏み込んで、子どもたちに食育の指導ができるようになるなど、ほかにも全国各地でさまざまな取り組みが行われるようになりました。

 

 

小中学生の家庭でおすすめの食育とは

そして、“食育”という言葉が浸透していくにあたり「家庭でも“食育”を」と考えて、さまざまな取り組みをされている保護者の方もいると思います。情緒教育一環であったり、将来大人になったときに役立つようにだったり、家庭ごとに目的は違うと思いますが“食育”は、学習などにもいい影響を与えることはご存知でしょうか。

 

実は、読み書きや計算に加えて、前頭前野を鍛えることができるといわれているもの、それが料理です。料理は献立や材料を考えるだけでなく、作る時間や手順、配膳といった複数のことを同時に行うため前頭前野を鍛えることができるといわれています。

 

前頭前野は創造力や抑制力、コミュニケーション力をつかさどり、物を考えたり判断したりするときに働く場所で学習にも大いに関係あります

 

では、何を作ったらよいと思いますか? 例えば、災害を想定した食作りはいかがでしょう? 今家にある食材だけを使って、数日分の献立を考え調理するのです。想像力や思考力を鍛えることができるだけでなく、空腹感を想像することで食べ物のありがたさを実感する機会にもなります。

 

また、月に1回、自分でお弁当を作る日を決めるのもおすすめです。

 

実際に香川県のとある小学校では、5、6年生を対象に児童が手作りの弁当を持参する日があるそうです。毎回テーマに沿った献立作りから材料の買い出し、調理、盛り付けまですべて子どもたちが行い、親は一切手伝いません。家庭で行う際は、基本的な調理技能を親子で練習してからトライしたほうが安心かもしれません。

 

調理させるのが心配な小学校低学年なら、野菜のプランターを育てるのが〇。育てる手間を知ることができるだけでなく、野菜嫌いを克服したり観察力を身につけたりすることができるでしょう。

 

 

玄米を食べて脳の発達をサポート

料理は、作るだけでなく食べることも顎や体が丈夫になるだけでなく、脳にいいのです。

 

例えば、“よく噛む”ことは、咀嚼運動が脳を刺激して脳細胞の代謝活性を促し、脳の血液の循環を良くする効果があるといわれています。子どもの心身の発育は脳神経系、ホルモン分泌から進んでいくため、この時期によく噛んで食べることは、脳神経細胞の発達にとっても重要な栄養をより多く脳に送ることにもつながります。

 

そこで、脳を育むための食育のひとつとしておすすめなのが、玄米を食べることです。発芽玄米に多く含まれるギャバには、脳内ホルモンのバランスを安定させ、集中力を高めたり落ちつきが出てくる効果があるといわれています。とはいえ、玄米を嫌がる子もいると思うので、白米に2割程度混ぜたものを週に1、2回食べさせてみましょう。

 

実際に千葉県の小中学校、幼稚園で週2回食べさせたところ、「よく噛むと甘味が出ておいしい」という感想とともに、いじめや暴力、欠席数が減ったとの報告があったとか。玄米だけの効果とは言い切れませんが、試してみる価値はあるかもしれません。

 

 

家族揃って食事をすれば学力が向上する!?

さらに、今すぐに始められる食育のひとつが「1日に1回でも、家族と一緒に食事をする」ということ。家族で食事をすることも立派な食育のひとつなのです。

 

文部科学省が家庭環境と学力の相関関係を調べた調査によると、親の経済力と子どもの学力に関係があることがわかっているのですが、親の経済力が低くても成績が良かった子たちの特徴の1つに「家族と一緒に夕食を食べている子ほど学力が向上している」ことがわかりました。

 

例えば、毎日決まった時間に起床&就寝し、家族と一緒に夕食を食べるといった、規則正しい生活をしている子ほど学力が向上しているのです。規則正しい生活をすることで安定した心を育み、落ち着いて勉強をすることができるからなのかもしれませんが、親子で一緒に食事をしたり料理をしたりすることは、コミュニケーションを深めるだけでなく、子どもの脳を育むと共に日々の活力になっていくのです。

 

大人も子どもも忙しい現代。かつては、1年に700~800回だった家族そろっての食事回数が、現代では300回くらいになってしまったといわれています。忙しくてもせめて子どもが高校を卒業するぐらいまでは、1日に1回家族で食卓を囲むゆとりをつくれる社会になってくれることこそ本当に必要な“食育”なのかもしれませんね。

 

参考資料/服部幸應の食育インストラクター養成講座テキスト

 

金子 亜実

金子 亜実

新聞社で多忙の日々を送るなか、食べることが人の心と体を作る(作り直す)ことを痛感し、退職後に食育インストラクターの資格を取得。現在は、食の大切さを普及するべく指導・執筆活動中。プライベートでは、二児の母。

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