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2022.02.01

フリースクールの校長が見つけた不登校を“こじらせない”家族の共通点とは

不登校の子ども“イヤ”と戦い続けているお母さん、お父さん。戦いに疲れ果ててしまってはいませんか。フリースクール・元気学園の校長である小林高子さんは、「戦いに疲れたお母さんお父さんは、もっと頼ってみてもいいんですよ」と語ります。不登校を“こじらせなかった”家族には、共通点がありました。小林高子さんの著書『不登校、頼ってみるのもいいものだ』から、解決のヒントを探ります。

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不登校、「誰にも相談できない」と思っていませんか?

「不登校は家族の問題」だと考え、「親戚や身内に心配をかけたくない。ましてや他人に相談などしてはいけない」と、家族だけで対応しようとしてはいないでしょうか。

義務教育である小学生と中学生の不登校は19万人以上、また若者のひきこもりは54万人にのぼるといわれています。(令和2年度文部科学省調査平成27年度内閣府調査

不登校をきっかけにそのままひきこもりとなる若者も少なくありません。そのため、不登校の子どもを抱える家族は不安な毎日を1日、また1日と重ねているのではないかと思います。

「誰かに相談すれば解決できるのか」
「待っていればいつかは子ども自身が成長して変わるのだろうか」
「このまま何十年も続いたらどうしよう」
「どうすれば元に戻るんだろう」

さまざまな悩みや不安で疲れてしまい、些細なことで家族と喧嘩になるケースや、相手に全部任せてしまって夫婦の関係が悪くなったりするケースをよく見聞きします。

『不登校、頼ってみるのもいいものだ』

不登校を乗り越えるための「考え方」や「働きかけ」とは

不登校は子どもの“イヤ”との戦いです。親が疲れきった状態では、戦い続けることはできません。戦いのエネルギーを補うためにも、お母さんやお父さんはもっと人に頼っていいのです。

『不登校、頼ってみるのもいいものだ』(小林高子 著、クロスメディア・パブリッシング 刊)の著者は、30年近くにわたって不登校の子どもたちとその家族を支援してきたフリースクールの校長である、小林高子さん。

この本では、小林さんがたくさんの親子を見てきた経験から得られた、親と子が共に不登校を乗り越えていくための「考え方」や「働きかけ」をアドバイスしてくれています。

リアルな言葉だからこそ、今まさに悩んでいる親子の心にすっと入ってくるのです。

不登校を“こじらせない”家族の共通点

インターネット上では、同じような境遇の子どもたち同士がつながっています。

「自分は悪くない」「悪いのは親や社会だ」「似たような子は大勢いるから大丈夫」と、うまくいかない現実から抜け出そうとする子どもの足を引っ張り合いをするようになり、不登校が“こじれ”て取り返しがつかなくなることもあります。不登校の長期化がよくないのは、このためです。

しかし、「親は自分の味方だ。自分を大切にしてくれている」という気持ちを持っている子どもは、ギリギリのところで“こじらせ”ずに、とどまることができると小林高子さんはいいます。

不登校のお子さんを持つお母さんやお父さんは、あなたが大切だ、私はあなたの味方だ。そう子どもに伝えましょう。たとえば、少しだけ家事の手を止めて子どもの話を聞く、一緒にゲームを楽しむ時間を作る。

親が見せる「本気」は、お子さんの心に静かに届くのではないでしょうか。

不登校の構造を整理しよう

この本で小林高子さんは、「不登校は二層構造になっている」と説明しています。

PR TIMES

ひとつは学校に行かない・行けない本当の原因(A)。もうひとつは、親の言うことを聞かない・意思疎通ができないという親子の葛藤(B)です。AとBは相互に作用していますが、まったく別の問題でもあります。解決の方向は、「BからA」です。

子どもの“イヤの壁”には、「学校に行きたくない本当の理由」である第一の壁、そして、「親子の葛藤」から生まれる第二の壁、さらに「時間」が経てば経つほど高くなる第三の壁があります。

本当に解決しなければならないのは第一の壁ですが、親がイライラしてしまうと第二の壁が高くなります。さらに、時間が経つと第三の壁が高くなって、問題は深刻化することに。

つまり、B(親の言うことを聞かない・意思疎通ができないという親子の葛藤)を“こじらせない”ことが、不登校の解決には重要です。

不登校の子の親はもっと人を頼ってもいい

子どもが不登校になって、親がドタバタしたりオタオタしたりするのは「いいこと」だと小林高子さん。

親の「どうしよう!」という気持ちは大きなエネルギーになります。子ども本人には「自分のことに親は真剣に向き合ってくれている」と伝わるでしょう。

また小林高子さんは、不登校の一番大きな問題は、「子どもの取り組む力が失われること」だと言います。“イヤ”の壁に阻まれて、何もしようとしなくなること、そして「学ぶ姿勢」がなくなることが、解決を遠ざけてしまいます。

そうなってしまったとき、誰かに学ぶ姿勢や意欲を見せられるのは、親しかいません。子どもの目の前で手本を見せることができるのは、親だけです。

親が誰かに頼る、誰かに助けを求めることで道は開けます。親の役割は、子どもを信頼できる誰かにつなぐことではないでしょうか。

不登校は親子が共に、人として成長する機会なのかもしれません。

不登校を乗り越えた親子の体験談&アドバイス

『不登校、頼ってみるのもいいものだ』には、実際に不登校を乗り越えた親子の体験談が9ケース掲載されています。実際に不登校を経験した子どもや、その親の言葉を聞ける機会はそう多くありません。

子どもの言葉には、次のようなものがあります。

  • 親の言動で嫌だったのは、一方的に質問攻めしてくるところ。よかったのは、なにげない日常の会話。
  • 親に心配そうな顔をされると罪悪感を感じた。逆に、責めずに見守ってくれた時は嬉しかった。

一方、親の言葉にはこのようなものがありました。

  • 自分たちで解決するのが無理だと思ったら、誰かを信じて頼ること。すぐ動くこと。
  • 「行かない」ではなく「行けない」んだと分かって欲しかった、と言っていました。子どもを責めない、追い詰めないことが大切だったんですね。
  • この子を守れるのは私だけ。無気力でいる時間がもったいない、何か動ける場所やきっかけがほしいと行動したんです。

子どもが不登校になるのには、原因があります。原因を取り除き、解決に向かうために、信頼できる誰かに頼ってみるのもいいのではないでしょうか。

『不登校、頼ってみるのもいいものだ』は、“イヤ”との戦いに疲れたお母さんやお父さんに、ぜひ手にとっていただきたい1冊です。

<参考資料>
PR TIMES「お母さんお父さんと子どもの関係の本質に迫る『不登校、頼ってみるのもいいものだ』新刊好評発売中!」
文部科学省「令和2年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」
内閣府「長期化するひきこもりの実態」

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山口ちゆき

WEBライター。男子2人の母、メンタル心理カウンセラー、発達障害コミュニケーション初級指導者。大学院終了後、研究職、塾講師、大学スタッフ等を経験した後、次男の不登校と発達障害(ASD)をきっかけに、働き方と子どもへの接し方を大きく変える。不登校や発達障害の子どもを持つ保護者に寄り添う記事を発信中。趣味はお菓子を作ることと食べること。

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