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2022.02.19

なぜ増えてる?「小中一貫校」「義務教育学校」のメリット・デメリットとは

「小中一貫校」は、最近つくられた学校制度。今までは小学校6年間・中学校3年間と分かれていましたが、これを統合して「小中一貫校」としたのです。しかし、小学校と中学校をまったく別のものとして通学していた保護者世代にとっては、小中一貫校の特徴がよくわかりませんよね。
この記事では、小中一貫校の特徴やメリット、デメリットを解説します。「小中一貫校が学区内で通うことになっている」「子どもの進学先を検討している」という方は、ぜひ参考にしてください。

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なぜ文部科学省は小中一貫校を増やしているのか?

「小中一貫校」とは、文部科学省によって設立された制度です。

小学校と中学校は互いに独立した組織であるものの、“目指す子ども像”を共有することで、9年間という長いスパンでカリキュラムを編成するのが特徴です。

敷地が同じ「施設一体型」もあれば、敷地は同じでも校舎は別の「施設併設型」、別の敷地に校舎があるものの、連携して教育をおこなう「施設分離型」があります。

しかし、教育の長い歴史において、なぜ今大きく体制を変えたのでしょうか?

小中一貫教育推進の目的

小中一貫校の大きな目的は、「中1ギャップ」の抑制だといわれています。

中学校に進学すると、環境の変化にストレスを抱える生徒は少なくありません。心理面や勉強面でうまく順応できず、成績が落ちてしまったり不登校になったりしてしまうのです。

さらに最近では、少子化による学校の統廃合も目立ってきました。

これらの問題を解決するために、2000年代から各自治体が「小中学校の教育を一貫させよう」と取り組むように。それがそれぞれの地域で大きな成果をあげたため、2016年度に文部科学省が正式な制度として掲げたのです。

文部科学省の統計によると、小中一貫校の数は、小学校745校中学校430校 (2022年2月時点)。その数は右肩上がりで増加していて、全国的な普及は時間の問題といえるでしょう。

小中一貫教育の事例

小中一貫教育を導入した事例としては、たとえば村山学園が挙げられます(武蔵村山市立小中一貫校 村山学園) 。

村山学園では、学年を1年生~9年生に区切っています。さらに「3-8」「4-9」などクラスも細分化して、それぞれの発達段階に応じた指導をおこなっています。耳慣れない言葉に、ちょっと驚きますよね…。遠足では縦割り班を採用するなど、上級生と下級生の交流も多々。まさに、新しい教育のカタチといえるでしょう。

また、土肥小中一貫校(伊豆市立土肥小中一貫校)も、1~9年生の区切りで活動しています。修業期間の9年を「4、3、2」で細分化し、カリキュラムを編成。さらに「4~5月⇒仲間づくり」「6~7月⇒チャレンジ」など、月ごとに教育目標も掲げています。

小中一貫校と義務教育学校の違い

「小中一貫校」と共に制度化されたのが、「義務教育学校」

名称は難しそうですが、“目指す子ども像の共有”“トータル9年間の教育”という点では同じです。一貫した教育が受けられるのは、先生にとっても子どもにとってもメリットがありますね。

「小中一貫校」とひと口に言っても、その種類は大きく分けて「義務教育学校」「併設型小中一貫校」「連携型小中一貫校」の3つがあります。それぞれ違いを見ていきましょう。

義務教育学校

義務教育学校の修業年数は、9年。小学課程6年・中学課程3年という枠組みにとらわれず、「5、4」「4、2、3」など設置者の判断により柔軟に変更できるのが特徴です。

施設が一体化していても、分かれていても、設置可能です。ただし、小学校・中学校の組織は一体化しているので、校長1人、副校長1人、教職員の組織も1つです。

原則、教員は小学校と中学校の両方の免許を持っていなければならないので、教員の確保が今後の課題のひとつといえるでしょう。

併設型小中一貫校

併設型小中一貫校の修業年数も、9年。

施設が一体化していても、分かれていても、設置可能です。ただし、小学校・中学校はそれぞれ組織として独立しており、校長は各学校に1人、教員は各学校に応じた教員免許を持っていれば勤務できます。また、小学校・中学校の設置者は同一です。

連携型小中一貫校

連携型小中一貫校の修行年数も9年です。

施設が一体化していても、分かれていても、設置可能です。ただし、小学校・中学校はそれぞれ組織として独立しており、教員は各学校に応じた教員免許を持っていれば勤務できます。

小学校・中学校の設置者は異なりますが(複数人存在)、校長は各学校に1人です。

公立小中一貫校と私立一貫校の違い

「一貫校」を推進する動きは、日増しに加速しています。保護者世代が「一貫校」としてよく耳にするのは、公立の小中一貫校と、私立の一貫校ではないでしょうか。

公立の小中一貫校は、学費が安く、生活圏内にあるのが特徴です。「小中一貫校を選んで進学したい」とあえて希望しなくても、学区内に建っているなら、進学先として自動的に決められているケースも多いでしょう。入学すると、小学校から中学校までトータル9年間の教育を受けられます。

私立の一貫校は、付属の中学・高校・大学へエスカレーター式で上がっていけたり、進学校としてレベルの高い授業が受けられたりするなどのメリットがあります。

受験で合格しなければ入学できないため、早い段階から、小学校受験を見据えた学習が不可欠です。

高校まで一貫教育を行なっている学校に入学すると、小学校から高校までトータル12年間の教育を受けられます。内部進学できる大学も設置されていれば、16年もの間、受験に左右されず、学びを進めていくことができます。

小中一貫校のメリット

平成29年度に文部科学省がおこなった調査では、「小中一貫校教育の導入により成果が認められた」と回答した学校は全体の76%にも及びました。

「中学校への進学に関して、不安を感じる生徒が減少した」「上級生が下級生の手本になろうとする意識が高まった」など生徒の生活面の変化を感じた職員や、「勉強が好きと答える生徒が増えた」「教員の指導力が上がった」など学習面・指導面にも良い影響が及んでいます。

同じ生徒を長いスパンで見守れるのは、教職員の対応力向上にもつながりますし、同じ先生なら生徒にとっても安心ですね。

他にも、小学校と中学校の合同イベントが増えたり、留学生の受け入れを推進したり、カリキュラムを自由に編成できるからこその取り組みも目立っています。

小中一貫校のデメリット・問題点

生徒にとっても職員にとっても大きな成果をあげている小中一貫校制度ですが、一方でデメリットも存在します。

たとえば、いじめの問題。小学校課程・中学校課程と同じ人間関係が続くことで、いじめが悪化するケースもあります。

また近年、首都圏を中心に中学受験をする家庭も増えています。1999年の学校教育法改正をきっかけにスタートした、中高一貫校の数は年々増加傾向にあります。

さらに少子化による生徒数確保の思惑なども加わり、高校からの入学を募集停止する高校が増えてきています。

高校受験・大学受験を見据えている方は、選択肢そのものが狭まる可能性もあるので、情報を逐一チェックしておきましょう。

小中一貫校は、新しい学びの形

小中一貫校は、文部省によって建てられた制度です。小学校と中学校をまったく別物とするのではなく、統合して「9年間」で教育します。

中学校進学によるストレスは大幅に軽減され、「環境の変化への不安がなくなった」「勉強が楽しくなった」など、好意的な感想がたくさん。上級生と下級生の交流の機会が増えるのも、生徒たちにとって良い経験になりそうですね。

しかし、9年間続く人間関係に、デメリットを感じる生徒は少なくないでしょう。お子さんとよく話し合ったうえで、進学の参考にしてくださいね。

<参考資料>
まなビタミン「小中一貫校のメリットとは?詳しく解説!」
令和2年度 国立教育政策研究所 文教施設研究講演会「9年間の学び舎を作ろう」
Teach For JAPAN「義務教育学校とは?小中一貫教育の新しいカタチ」
塾プラス「小中一貫校ってなに?メリットやデメリット、入学の方法は」

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