“私”の意識はなぜあるのか、死んだら“心”はどうなるのか。動物は心を持つのか。ロボットの心を作ることはできるのか…。子どもの頃、こういった疑問を抱いた記憶はありませんか。慶応義塾大学教授の著書が、脳科学の視点から“脳が心を作った謎”について解き明かします。解説する際に用いられる比喩がイメージしやすく、難解さを感じず読むことができます。
『サピエンス全史 上・下』
50ヵ国以上で刊行の世界的ベストセラー。歴史書という枠を超え、ビル・ゲイツ氏や前アメリカ大統領のバラク・オバマ氏など各界のリーダーが絶賛するビジネス書としても注目された新しい切り口の本です。ホモ・サピエンスが歩んできた歴史を紐解くと共に、未来までをも俯瞰。人工知能や遺伝子操作が発展し「超ホモ・サピエンスの時代」について追求していきます。上下巻あり分厚い本ではありますが、歴史の授業でおなじみの用語が頻繁に登場するので興味を持ちやすいのではないでしょうか。歴史の授業では知り得なかった人類史の側面を学ぶことができるでしょう。
林要さんのおすすめポイント
「ロボット開発は、人や動物のシステムを理解するところから始まります。そのためにはまず、柔軟な発想をする準備として人の“当たり前”とは何かを知る必要があると思います。『道徳のメカニズム』は親子で一緒にいろいろな「どうして?」を解決するのにオススメの本です。その次に、少し難易度は上がりますが『脳はなぜ「心」を作ったのか 「私」の謎を解く受動意識仮説』。私はこの本を読んで、「LOVOT[らぼっと]」を作れるかもしれないと思いました」
「もう1冊は『サピエンス全史 上・下』。どの本にも、ロボットのいる未来については書かれていません。しかし私はこれらの本から多大な影響を受けて、「LOVOT[らぼっと]」のコンセプトを煮詰めています。誰かの描いた未来から学ぶことも大事だとは思いますが、本当の未来はどこにも書かれていないので、こういった本から未来を想像するのも楽しいのではないでしょうか」(林 要さん)

林要/GROOVE X株式会社代表取締役。1973年愛知県生まれ。1998年にトヨタ自動車でキャリアスタートし、F1の空力開発を担当。その後、2012年には、ソフトバンク「Pepper(ペッパー)」の開発に携わり、2018年に「LOVOT[らぼっと]」を発表した。 https://lovot.life