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2019.07.20

家族型ロボットLOVOT[らぼっと]開発者に聞いた 小学生の思い出と自由研究のススメ

この先訪れる人工知能とロボットの時代。「ロボットを開発したい!」という子どもの夢も決して実現不可能ではなくなっています。しかし、実際にロボット開発に携わる人物とはどんな風に子ども時代を過ごしてきたのでしょうか? そこで、家族型ロボット『LOVOT[らぼっと]』の開発者である林要さんにインタビュー。ロボット開発者になるために小中学生のときからできることとは? さらに、夏休みということで、子ども時代のロボット開発者はどんな自由研究を作っていたのか、今夏の自由研究に向けてのアドバイスも聞きました。

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自転車とナウシカが好きだった活発な少年時代

林さんが開発に携わった『LOVOT[らぼっと]』は、人間と信頼関係を結び、コミュニケーションを取ることで成長していく家族型ロボット。家の中を駆け回り、大好きな家族には甘えて抱っこをねだる一方で、相手にしないと懐いてくれないという特徴があり、子どものコミュニケーション能力を高める情操教育の面でも世界的に注目を集めています。

そんなロボットの常識を変える存在を生み出した林さんはどんな小中学生だったんでしょうか。

「当時はロボットに特別に興味があるというわけではありませんでした。むしろ、自転車などの乗り物やスタジオジブリのアニメーション『風の谷のナウシカ』が大好きで、そこに出てくる「テト」という小動物が欲しかったことを覚えています。ただ、父親が工作好きで、電動スケートボードのようなものや、木の間にワイヤーを引っ掛けたターザンロープを作り出すのを見て『すごいなぁ』と思っていましたね」

では、夏休みは何かを作るというよりも自転車を乗り回しているような少年だったんですね。

「そうですね。夏休みは自転車に乗って、ひたすら友達と走っていました。自分たちで遊び方を決めて、山を自転車で登ったり降りたりして一日中、遊んでいました」

林要/GROOVE X株式会社代表取締役。1973年愛知県生まれ。1998年にトヨタ自動車でキャリアスタートし、F1の空力開発を担当。その後、2012年には、ソフトバンク「Pepper(ペッパー)」の開発に携わり、2018年に『LOVOT[らぼっと]』を発表した。

自由研究は調べるだけでなく経験に変えてこそ価値が出る

夏休みの自由研究でもみんながおどろくような力作を発表していた! というわけではなさそうな林さんですが…。

「学校に提出したものではないのですが、『風の谷のナウシカ』に出てくるメーヴェに似た模型飛行機をつくり、飛ばしていました。元々は大きな飛行機の模型だったのですが、説明書通りに組み立てる気にならず、ずっと作らずに放置していたんです」

「でも、ナウシカを見て『メーヴェが欲しい! 自分で作るにはどうしたら良いだろう?』と思ったときに、ふと、その模型飛行機を思い出し、改造をしてメーヴェを作る事を思い立ったのです。それからは何度も飛行試験を行いました。“飛行機がなぜ飛ぶのか”という本も読みましたね。そうして、最後には相当よく飛ぶメーヴェが完成しました」

「あったらいいのに!」を追い求め、研究し、試行錯誤をして完成させる。その探求心やチャレンジ精神は、『LOVOT[らぼっと]』開発に通じるものがあるかもしれません。では、今の小中学生に自由研究のアドバイスをするとしたら?

「ほかの人がどう思うかは気にせず、とにかく好きなことを研究してみてください。ゲームの仕組みでもいいし、おいしいソフトクリームの秘密でもいい。今はインターネットがあるので、まずは手がかりを調べて、それから実際に触って、試しにやってみることが大事です」

「今は、インターネットの情報だけで、十分にわかった気になってしまうことが多いのですが、実際に経験してみると、想像と違うことがとっても多いのです。『分かった』の意味には、“知識として理解した”ことと“経験した“ことの2種類があります。最初の“知識として理解した”ことの価値は、今後どんどん下がります。なぜなら誰でもインターネットを介して簡単に“知識として理解”することができるからです。だけど“経験した”ことには価値が残ります。どんどん経験を増やしてみてください」。

ロボットネイティブの時代に向けて

自由研究で“知識として理解”するだけではなく、“経験”する価値を知ることは、将来、ロボット開発を目指す子どもにとっても大きな礎になると林さん。

「現在はまだ、国と国が争ったり、肌の色で人を差別したりということもあります。でも僕ら人間という動物は、違う能力をもった人同士が協力しあうことで、ここまで発展してきました。お互い違う人同士が協力し合えるのが、強みなんです。更に人同士だけではなく、人は他の生き物とも協力しあって生きてきました」

「実際に、過去数十年で、犬や猫は、多くの家庭で家族として当然のように迎え入れられるようになりました。今後数十年以内には、ロボットが当たり前のように家族の一員になったり、友達になる時代がやってきます。ロボットネイティブの時代が始まります。

インターネットを介して得る“知識としての理解”だけでは、ロボットネイティブは生まれません。人や動物とふれあって、最先端のロボットとふれあって、どんどん“経験”をしてください。そうする事で、本当に“人のためになるロボット”をつくれるような肌感覚が育っていくと思います」

そんななか、7月29日まで東京「Mercedes me Tokyo(六本木)」で開催されている「LOVOT in EQ House~未来のお家に家族型ロボットがやって来た!~」は、まさに“知識としての理解”と“体験”が同時に得られるイベント。『LOVOT[らぼっと]』と触れ合えるだけでなく、ガイドが最新テクノロジーを子ども向けに詳しく解説。写真撮影可能で、子ども用リーフレット用意されているので、自由研究としてまとめるテーマにぴったりです。

「センサーやカメラなど『LOVOT[らぼっと]』に詰まっている最先端テクノロジーの仕組みをふれあいながら理解することができます。ロボットへ興味をもつきっかけにもなるのではないでしょうか。

また、『EQ House』という未来の家と『LOVOT[らぼっと]』という未来の家族型ロボットを体感することで、未来の生活を想像し、子どもたちが大人になったときはどのような生活なのかを親子で一緒に考えるきっかけにもなると思っています」。

(写真左)『LOVOT[らぼっと]』のすごさは体験してみて初めて分かるもの。(右)イベント開催中は、オリジナルフード・ドリンクも用意。「LOVOT FRIENDS(無料会員)」になるとオリジナルドリンク1杯が無料に

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浜田彩

エディター、ライター、環境アレルギーアドバイザー。新聞社勤務を経て、女性のライフスタイルや医療、金融、教育、福祉関連の書籍・雑誌・Webサイト記事の編集・執筆を手掛ける。プライベートでは2児の母。

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