仲良し親子ほど危ない!? 中学受験が奪う子どもの笑顔

子どもの進路を考える際に候補に上がることもある中学受験。首都圏模試センターの調査(※)によると、2025年の一都三県の中学受験者の割合は18.10%。2024年に比べるとわずかに減っているものの、ここ10年間受験者の割合は上昇しています。
中学受験には親の伴走やサポートが欠かせないといわれますが、場合によっては親子関係を壊してしまうことにもつながります。親子関係を壊さないために、親は中学受験、そして子どもとどう向き合えばよいのでしょうか。これまで1万人以上の親子をサポートしてきた学習法指導塾PHI塾長の切替一薫先生にお話を伺いました。
※参考URL:https://www.syutoken-mosi.co.jp/blog/upload/0824dc99d9eb1461e0a822872303c984.pdf
目次
中受生の親子関係が急激に悪化しやすいのは小6

中学受験にあたり親子関係が悪化したというような記事や、教育虐待についてのSNSの投稿を見たことがある方もいるのではないでしょうか。実際のところはどうなのかを調べるために、ソクたま編集部で中学受験に関する調査を実施しました。
3年以内に子どもが中学受験を受ける予定があり、すでに対策を進めているという保護者100名に、子どもとの現在の関係性について聞いてみました。すると目にする情報に反して、「良好」「どちらかといえば良好」の回答が85%という結果に。
この結果について、切替先生に伺いました。
「教育虐待」という言葉が認知されてきたこともあって、世の中的に受験のあり方を考えるようになっているので、それが反映された形かなと思います。
塾に通っている方でも、“合格できなくてもいい経験になればいいよね”と、中学受験に対してある程度割り切っている方も増えている印象があります。また、最近は反抗期のない仲のいい親子が増えてきているのも事実なので、親子関係が良好な家族が多いというのは実感に即しています。
ただ、この結果ではお子さんの年齢が分からないのですが、上記のように割り切っていても、いざ受験が近づいてくると、どうしても熱が入ってきてしまうという親御さんが結構いるんですね。それによって高学年、特に6年生になって急激に関係性が悪化していく親子が増えると感じています。
「宿題をやるべき」という“思い込み”が親子関係を悪化させる
親に熱が入ってしまうと急激に親子関係が悪化するということでしたが、アンケートでは子どもの中学受験にストレスを感じる要因として「子どもの勉強に身が入らない」といった回答が目立ちました。こういったことも親子関係の悪化につながってしまうのでしょうか?
親子関係が悪化する原因を一言で言うならば“親の思い込み”だと思います。「子どもが勉強しない」といったことも、そもそもは親の思い込みが原因です。特に塾に通っていると、「こうすべき」「こうした方がいい」という情報に触れる機会が多いんです。
例えば宿題を例に挙げます。まず、塾に行っていなくても世の中全体に「宿題はやらなきゃいけないもの」という認識がありますよね。さらに塾に通っていると、塾は実績を出したいので、どうしても子どもたちに多くの宿題を課して上の学校を目指させようとする傾向があります。
でも、本当はそのやり方だけが正解ではありません。“宿題をやらせない”というのは親として難しいことかもしれませんが、宿題をたくさんやらせなくても、子どもが力を伸ばす方法はいくらでもあるんです。
ただ、宿題を出されると、親は「やらなきゃいけない」と思うので一生懸命宿題をやらせようとする。それが一番の問題なんじゃないかな、と感じています。
「仲良し親子」でも要注意!見えないところで進む危機
「塾の指示通りにやらせないといけない」という親の思い込みが、親のストレスを増やしたり、子どもとの関係性の悪化に繋がっていくのですね。関係性の悪化はどのような形で現れますか?
アンケートで「親子関係が良好ではない」と答えたご家庭では、子どもが荒れてしまったり、親子げんかが増えたりと、分かりやすい形で影響が出ているケースが多いように思います。
一方で、関係性が良好な家庭でも注意が必要な場合があります。トラブルもなく、子どもも一生懸命勉強しているのに、成績が伸びない、いまひとつうまくいっていない──そんな状態です。
最近は仲の良い親子が増えていて、子ども自身も「親が好き」「家が好き」という気持ちを持っていることが多いんですね。だからこそ結果が出ないと、「親の期待に応えられない」と感じてしまい、荒れるのではなく部屋の隅でひっそり泣いている、そのように追い込まれてしまっている子をよく見ます。
たとえ親子の関係性が良好であっても、子どもが受験を楽しめず追い込まれている状態は決して健全とはいえないと感じています。
親が“諦める”と子どもは伸びやすい
それでは、悪化してしまった親子関係や、追い込まれてしまった子どもに対して、親はどのように対応するのがよいのでしょうか?また、受験そのものも諦めた方がよいのでしょうか?
極端な例にはなりますが、親が“諦める”ことがひとつの方法です。これから出版予定の書籍でも紹介しているのですが、「親が完全に諦め切った子」はあっという間に伸びていきます。こういった状況で子どもの目がうつろになり、追い込まれた親御さんの望みは決まってただひとつ、「楽しんで欲しい」。これだけなのです。
そのため今までの自身の行動を反省し、子どもの目に生気が宿っただけで喜び、それ以上望まないのです。散々やりつくしたからこそ、この境地に立てるのかもしれません。
この境地にまで達した親は、子どものちょっとした変化に気付きやすく、本心から喜んでくれるので、子どももすぐに改善して、どんどん変わっていくのです。そうなれば受験を楽しめるようになるので、受験そのものを辞める必要もありません。きっといい経験になるはずです。
親子が笑顔で受験に挑むために必読の一冊
今回お話をお伺いした切替先生の書籍、『受験で親子関係を壊さないために、今すぐ知るべき大切なこと』。出版のためのクラウドファンディングがスタートしました。
上記で紹介した「諦めた親の子が急激に伸びる理由」だけでなく、これから中学受験に挑戦する子を持つ親御さんや、暗記や繰り返し学習に苦しみ勉強が苦手になった子どもを持つ親御さん必読の情報が詰まった一冊になっています。
▼見出しの一例
- 親が知るべき受験教育の真実
- 親の意識改革こそが最大の受験対策
- 今すぐできる親の関わり方5つの実例
- 受験と学歴の本当の価値
- 20年後に必要とされる5つのスキル
「子どもの将来のため」と始めた中学受験が、親子関係を壊したり、子どもから笑顔をなくしてしまうのは親として本当に悲しいことです。親も子も笑顔で中学受験に挑戦できる家庭を増やすために、ぜひご支援をお願いします。


【切替先生コメント】
私はこれまで、集団塾・個別指導塾・家庭教師・学校・大学と多様な現場で教育に携わり、1万人以上のノート分析を通じて「本当にその子に合った学び方」を探ることを続けてきました。
「詰め込み型教育」の限界と、そこに苦しむ子どもたちの姿──。
受験、塾、家庭学習…親も子も苦しむような勉強法が当たり前になっている今、本当は「そんなに頑張らなくてもいい」こと、「もっと自由な学び方がある」ことを、多くの親御さんに知ってもらいたい。
そんな想いから、書籍『受験で親子関係を壊さないために、今すぐ知るべき大事なこと』の出版を決意し、この本をさらに多くの人へ届けるためにクラウドファンディングに挑戦します。
ぜひ1人でも多くの『子どもの勉強に悩む親御さん』や、現教育方法に疑問を抱く方々に伝えていきたいので、応援よろしくお願いいたします。
中学受験で大事なのは「子どもの目を見ること」
最後に、中学受験を目指すにあたって、一番大事なポイントを教えてください。
先ほどの親が“諦める”というのは追い込まれた先にできることではあります。そうならないために一番大切なのは、「子どもを見る」ということです。特に“子どもの目を見る”ことが肝心だと思います。
受験になると、どうしても親は成績や塾での取り組みばかりに意識が向きがちで、子どもの視線がどこに向かっているのかを見られていないケースがとても多いんです。
子どもの目を見ていればどんなことに興味を持っているのか、どんな瞬間に心が動いているのかが分かります。目が輝く瞬間というのは、誰が見てもはっきりと伝わってくるものなんです。
これは学校見学や説明会でも同じです。親はつい学校のカリキュラムや設備などに目を向けてしまいますが、子どもがどんなところに関心を持っているかに気づいていないことが多い。実際に子どもの様子をよく観察していると、「あ、ここに興味を持っているんだな」と分かる瞬間があります。
その目が輝く瞬間をしっかりとみて、志望校やその子にあった学習法を見つけていけばいいのかなと思います。
今すぐ「中学受験」について相談したい方へ
中学受験や子どもの勉強がうまくいかない理由や原因には、さまざまな事情があります。「親はどう関わればいいのか」と迷う場面も少なくありません。
そんなときは、専門家に直接相談してみるのもひとつの方法です。
中学受験や子どもの勉強に詳しい心理師・カウンセラーが在籍する「ソクたま相談室」では、最短当日にご家庭の状況に合わせた具体的なアドバイスを受けることができます。
「一人で抱え込まず、専門家の知見を取り入れる」ことで、子どもへの接し方に安心感が生まれ、保護者自身の気持ちも軽くなります。中学受験・子どもの勉強への不安を感じたら、ぜひ気軽にご相談ください。
この記事を監修した切替一薫さんに相談してみませんか?
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