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2020.11.09

無気力、反抗期の勉強しない中学生から学習意欲を引き出す方法とは

子どもが中学生になると急に会話が減り、反抗的になり、家ではゲームばかり、ということはないでしょうか。学習に無気力になり、勉強をしない中学生、このまま放っておいて大丈夫?と不安を抱える保護者もいると思います。そこで、中学生の発達段階の特徴や学習意欲を引き出す具体的なサポート法を家庭教育専門家の田宮由美さんが伝えます。

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反抗的で無気力になり、子育てが難しく感じる中学時期

子どもが中学生になると親子の会話は減り、親の言ったことには反抗ばかり…。「子育てが難しい」と感じるているのではないでしょうか。

特に「子どもの自主性を尊重したい」と今まで、あまり勉強に口を出さず見守っていたら、家で勉強をしないまま中学生になってしまった。「勉強は?」と声をかければ、反抗的な言葉が返ってきて、逆効果になるような気がする、と悩む人もいると思います。

子どもが中学生になると、高校受験を意識せざるを得なくなってきます。進路や将来について、不安を感じるのは親として当然でしょう。

特に、クラブ活動や打ち込める趣味や習い事もなく、何となく自宅でゲームばかりしている、そのような無気力な子どもには、どのように関わればよいのでしょうか。

中学生の発達段階の特徴とは

まずは、親としての接し方を考える前に、中学生の体や心がどんな状態なのかを改めて理解しておきましょう。

中学生の時期は、自意識と客観的事実との違いに葛藤を抱き、自らの生き方を模索する時期です。大人との関わりよりも友人関係に重きをおき、親に対しては反抗心が芽生えて親子のコミュニケーションは不足しがちになります。

一方、体は第2次性徴を迎え、ホルモン内分泌器官の発達が盛んになり急激に変化。身長も伸び、男子は筋肉量が増加し、女子は皮下脂肪が発達します。また異性への関心も高まります。

このような変化の中にいる中学時代。実は子ども自身も葛藤や不安を抱いています。そして、そんな自分自身との葛藤をしながら成長をしている時期であることを親は先ず理解し、子どもに関わっていかなければいけません。

中学生の子どもが勉強に無気力な理由

では、話を勉強に戻しましょう。なぜ、中学生の子どもが自宅で勉強をしないと思いますか。その理由と対応法を大きく3つに分けて説明していきます。

【理由1】勉強する目的がない

そもそも勉強が好きな子どもは、ほとんどいません。中学生の場合、将来の目標が見えていない子どもも多く「なぜ勉強をしなければならないのか」と勉強する意義も見いだせないのであれば、当然ながら勉強への意欲もわかないことでしょう。

【理由2】疲労と親への反抗

前述のとおり、思春期真っただ中の中学生の頃は、心と体の急激な変化に本人も葛藤を抱くとともに学校生活や友人関係に疲れを感じています。その結果、帰宅後は、疲れて無気力になってしまうこともあるでしょう。その一方で親に反抗心を持つこの時期、親の言うことにとにかく従いたくないという気持ちがあり、「勉強しなさい」などの言葉にも理屈ではなく反抗したいのです。

【理由3】勉強の仕方が分からない

学校の勉強について行けず、何から手をつければよいか、また自宅でどのように勉強をすればよいのか分からない子どももいます。中には、何がどのように分からないのか、それすら分からなくなっていることもあります。その場合、最初は親のサポートが必要でしょう。

勉強に取り組むようになるサポートとは

では、それらの理由に対して親はどのようにサポートをすれば子どもは勉強に取り組む気になるのでしょうか。

【サポート1】夢を語り、意欲を持たせる

先ず、勉強をする意義を見出すために、親子で将来の夢を話し合ってみるのはいかがでしょうか。

「将来何になりたい?」「どのように過ごしたい?」「何をしたい?」など、子どもが望むことを何でもいいので親子で話してみましょう。そして、それを叶えるためには今、何をすべきかということを考えていくとよいでしょう。具体的に考えていくと、学歴や資格のハードルもあるかもしれません。そこから勉強への意欲を引き出していきましょう。

その時の注意点としては、いきなり大きすぎる期待をかけないことです。目標を決めて意欲を持って勉強に取り組み始めたものの、予定通りにいかないこともあります。

ダラダラと過ごしてしまう日もあるでしょう。その時はその態度を叱責するのではなく、また目標に向かって取り組めるように、「将来の夢、楽しみね、あなたならきっと叶うと思うわ」「いつも頑張っているね」など、学習意欲を継続させるような言葉をかけてあげてください。

【サポート2】発達段階を理解して、ありのままを受けとめる

子ども自身も揺れ動く複雑な思いや葛藤を抱きながら過ごす時期です。親の言動すべてに反抗心を持ち、「親の言葉には、従わない」という態度も、「正常な発達の一時期、健やかに成長している証拠」と思えば、子どもに対する気持ちも少し違ってきませんか。

子どもの態度を叱責したり、厳しく注意したりすれば、親子の溝は深まるばかりです。

親が焦って、イライラしたり嘆いたりするより、ありのままの今の子どもの姿を受け入れてあげましょう。

「おはよう」とあいさつし、「いってらっしゃい」「おかえり」などの言葉をかけるだけで十分です。思春期の成長が原因である場合は、時期が過ぎれば、やがて自ら勉強をし始めることでしょう。

【サポート3】自宅学習の仕方をサポートする

既に学校の勉強にもついていけてない子どもは、勉強に向きあうこと自体が苦痛になっていることもあります。そこで、家庭でできる具体的なサポート法を詳しく説明しましょう。

教科書を見直す

まずは教科書を見直しましょう。いきなり難易度の高い問題集などに取り組むのはNGです。教科書の例題の説明から一問ずつ理解をしていきましょう。そして、子どもがどこでつまずいているかを見つけ、そこからさかのぼって苦手な単元の復習を行います。

どの教科も大切ですが、数学は「積み重ね」と「理解」が重要になってくる教科です。特に数学に関しては、しっかり教科書を読み込むことから始めてください。

間違いの原因を探る

間違えた問題に関しては、何故間違ったのか、その原因を見つけ、クリアしておくことが大切です。「難しい問題の解き方を教えることなんてできない!」と思うかもしれませんが、下記のような原因で間違えている場合もあります。

<原因>

  • 公式を間違えて覚えていた
  • ケアレスミスをした
  • 問題をきちんと最後まで読まなかった
  • 字が雑で途中、自分の字を読み間違えていた

<対処法>

  • 正しく公式を覚え直す。
  • 最後に注意深く見直しをする。
  • 問題は最後まできちんと読む。
  • 字は丁寧に書く。

など、基本的なことでもそれぞれに注意するようにアドバイスをし、改善できるようにしましょう。

【サポート4】男子、女子の特性にあったサポートを考える

それぞれ個性にあったサポートをすることも考えましょう。一般的に言われているのが、男女の特性の違いです。

例えば男の子は、精神的成熟が遅く、将来の目標など考えるのも遅いことが多いようです。ですが一旦やる気なって、エンジンがかかると、急に集中し、勉強をし出すことがあります。ですので、魅力的な目標や夢を引き出し、その後は、あまり口出しせずに、見守っておく方がよいでしょう。

それに対して、女の子は、精神的成熟も早く、真面目にコツコツするするタイプが多いでしょう。ですが、机に向かって勉強をしていても、他の事を考えてしまい学習が進んでいないこともあるようです。ですので、時々、勉強の進行具合を尋ねる声がけをしてもいいですね。

男女の性差の違いで必ずしもこの特性が当てはまるとは限りません。あくまでも一般論で、子どもの個性を見ながら、親は対応していきましょう。

【サポート5】勉強する環境を整える

勉強机の上が物であふれていたり、プリント類やテストが無造作に置かれていることはないでしょうか。それらをきちんと整理整頓することも大切です。

そしてできる限り、気の散るものは置かないようにしましょう。中学生になると、そのあたりに親がアドバイスするのも難しいかもしれませんが、例えば、漫画本やスマホなどは、勉強杖の背面に置くなど工夫してみてください。

【サポート6】学習に繋がるアプリを活用する

最近は、学習に繋がるアプリもあります。スマホやタブレットを上手に活用し、学習に興味を持たせるのも一案でしょう。

学習系アプリ4選

スタディプラス
会員数500万人を超える学習習慣化アプリ。日々の勉強を記録し可視化することでモチベーションアップにつなげます

単語帳アプリ
スマホ内に自分で単語帳をつくることができるアプリ。ぼーっとスマホを触るスキマ時間を学習時間に変えることができます。

英単語アプリ mikan
400万人が利用する英単語学習アプリ。1万5000単語が収録され、リスニングも勉強できます。

Photomath
スマホのカメラを使用して数学の問題をスキャンすると解答および途中の式を参照できます。

【サポート7】小さなステップを褒める

これらの成果が直ぐに出るとは限りません。いきなり高い結果や成績を望むのではなく、小さなステップを褒め、頑張っている姿を認めて、励ましてあげましょう。

子どもの気持ちに寄り添うサポートを心がけましょう

子どもの勉強に対してのやる気が一向に見えず、毎日ゲームばかりしていると、親としては不安になったり、イライラしたりすることもあるでしょう。

ですが、子ども自身もやがては中学校を卒業することは分かっています。その先のことを誰よりも心配して、不安を感じているのは本人かもしれません。

ですが勉強のやり方も分からないことに向きあうことは大きな苦痛であり、やる気や意欲を持てるはずもありません。無気力な毎日を子ども自身、とても辛く思い、ゲームの世界に逃避しているのかもしれません。

子どもが本当は何を考えているか分からない親はつい「小学生の頃に、もっと勉強をするように言えばよかった」と自分を責めるかもしれません。

確かに振り返りは大切ですが、今、悩んでいるということ自体、あなたが愛情をかけて一生懸命関わってきているということです。子どもの気持ちに寄り添い、一緒に将来に向けて考え、行動にうつせるように、過去ではなく今できるサポートを始めてみませんか。

<参考資料>
文部科学省・3.子どもの発達段階ごとの特徴と重視すべき課題

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田宮由美

家庭教育専門家。小学校教諭・幼稚園教諭・保育士。日本子育て学会研究員。幼児教室指導、公立幼稚園、小学校での勤務を経て、現在は執筆、講演、個別指導を中心に活動。家庭教育協会「子育ち親育ち」代表。 「心の自立」を中心に家庭での親子の関わり方を伝えている。著書に「子どもの能力を決める0歳から9歳までの育て方」(中経出版)などがある。

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