自転車保険義務化で、子どもの保険も必要? 保険の確認と選び方を教えます!
子どもの学年が上がるに連れ、親の同伴なしで自転車に乗る機会は増えていきますよね。けれど、子どもの自転車の乗り方に「絶対、大丈夫!」と言い切れる親はいないのではないでしょうか。そして、考えるのが子どもの自転車保険への加入。自転車保険義務化の自治体が増加する中、子どもの自転車保険への加入は本当に必要なのでしょうか?
子どもの自転車事故の事態は…
小・中学生が関わる自転車事故は、年間でどれくらい発生しているか知っていますか?
警視庁の令和2年の調査「子供の交通人身事故発生状況」によると、令和2年の上半期だけで、実に290件もの発生数があります。歩行中の事故発生数の218件と比べても、自転車乗車中の事故が多いということが分かります。
また、子どもが加害者となる自転車死亡事故が発生しているという現実もあります。
では、子どもの自転車事故はどのような場面で発生することが多いのでしょうか。
子どもの自転車事故の多くは“出会い頭”
子どもの自転車事故(子どもが加害者になる場合)は、どのような場面で起こりやすいのでしょうか。
警視庁の調査「子供の交通人身事故発生状況(令和2年上半期)」によると、圧倒的に多いのが”出会い頭”の事故。発生数290件のうちの約半数、145件が出会い頭での事故です。交差点での安全確認を怠ったり、一時停止の道路標識を無視したりといったことが原因にあるようです。
わが子も含め、小・中学生の自転車の乗り方でヒヤッとする場面に遭遇したことのある人も多いのではないでしょうか。
もちろん、相手の不注意で被害者になってしまう可能性も十分にあります。わが子が誰かにけがをさせてしまうこともあれば、子どもがけがを負ってしまうこともあるということは意識しておきたいところです。また、加害者となった場合、たとえ自転車であっても相手を負傷させるということは他の事故と同じです。
自動車には全ての利用者の加入が法律で義務付けられている「自賠責保険」がありますが、自転車の保険加入はどうすべきなのでしょうか。
まず、次章では自転車保険義務化の実態について見ていきましょう。
自転車保険義務化。住んでいる自治体の条例は?
自転車保険は2015年10月に兵庫県が義務化したことがきっかけとなり、全国の各自治体で広がりをみせています。
最近では2020年4月に東京都・奈良県・愛媛県で、自転車保険への加入が義務化されました。
現在(令和2年12月時点)は以下の自治体が、自転車保険への加入の”義務化”または”努力義務”の条例を掲げています。
自分の住む自治体も、確認してみてくださいね。
自転車保険加入“義務化”の自治体
山形県 / 埼玉県 / 東京都 / 神奈川県 / 山梨県 / 長野県 / 静岡県 / 滋賀県 / 京都府 / 奈良県 / 大阪府 / 兵庫県 / 愛媛県 / 福岡県 / 鹿児島県/仙台市 /名古屋市 / 金沢市 /
自転車保険加入“努力義務”の自治体
北海道 / 茨城県 / 群馬県 / 千葉県 / 富山県 / 和歌山県 / 鳥取県 / 徳島県 / 香川県 / 高知県 / 熊本県
子どもが自転車事故を起こしたらどうなる!?
子どもに自転車を運転させるのは不安だし怖い…と感じることは少なくないでしょう。次のような自転車の乗り方をしている子どもを目撃したことはありませんか?
- 車も通る狭い道路を、ふらふらしながら運転している。
- 友達同士で、競うようにスピードを出している。
- ハンドルから手を離して運転している。
- 複数人で横並びになって併走している。
- ケータイやスマホを見ながら運転している。
- 横断歩道を一時停止せずに、渡る。
- 横断歩道で左右どちらか一方しか確認せず、渡る。
- 見通しの悪い曲がり角でも、スピードを落とさず走行する。
こういった子どもたちの危険な自転車運転が、事故につながる可能性は多いにあります。そして、例えそれが自転車でも、加害者として責任を問われることになるのです。
自転車事故の責任には民事責任と刑事責任がある
自転車事故を起こした場合の責任には、”民事責任”と”刑事責任”の2種類があります。
【民事責任】
加害者が被害者に対してお金(損害賠償責任)で償うことです。
【刑事責任】
自転車事故の加害者が刑罰を受けること。いわゆる懲役や、罰金の支払いをいいます。
過去には、2008年に小学生が起こした自転車事故で9500万円の損害賠償が親に請求された事例もあります。
損害賠償の場合、自己破産しても消滅することはありません。
もちろん、わが子が自転車事故の被害者になることもあるでしょう。自転車事故の加害者・被害者どちらにもならないよう、まずはしっかりとルールを守って正しい自転車の運転をする。これを親子で共有しておくことが大切です。
子どもの自転車事故に備える方法は2つ
子どもが安全に自転車を行うことが第一ですが、万が一に備えることも必要です。
備えとしては2つ、①自転車保険に加入する方法と②既に加入済みの保険特約を利用する方法があります。
①自転車保険に加入する
自転車保険は、その名の通り自転車事故に特化した保険です。保険内容には、次のような項目があります。
【死亡保険金】
わが子が自転車事故の被害者となり、死亡した場合に受け取ることのできる補償です。補償金額は加入する保険やプランによって異なりますが、200〜300万円程度が一般的です。
【治療費に関する給付金】
わが子が自転車事故の被害者となり、けがで入院や治療が必要になった場合に受け取ることのできる補償です。入院や手術の給付金を受け取ることができます。
手術給付金は入院した際に受けた手術と、それ以外の手術とで異なります。公益財団法人日本サイクリング協会(JCA)が提供している自転車保険を例に挙げると、入院中の手術では「入院給付金日額×10倍」、それ以外の手術では「入院給付金日額×5倍」の金額が補償されます。
【損害賠償責任に対しての補償】
わが子が自転車事故の加害者となり、損害賠償責任を負う場合に受け取ることのできる補償です。自転車事故で加害者になってしまった場合は損害賠償責任を負うことになるため、その際に利用することができるものです。
損害賠償金額は、相手が受けた被害によって異なります。
また、自転車保険によっては弁護士費用の補償やロードサービスが含まれているものもあります。
【弁護士費用の補償】
被害者側への損害賠償請求を、弁護士に委任した場合の費用を補償します。
【ロードサービス】
事故により自転車を動かすことができなくなった場合に、自転車を運ぶ補償ですす。
保険によって補償内容やボリュームもさまざまあるので、いくつかの保険を見比べながら検討しましょう。
自転車保険選びで確認しておきたい3つのポイント
自転車保険を選ぶ際のポイントとなるのは①保険料、②補償内容、③補償内容の重複です。
- 保険料
au損保の自転車向け保険「Bycle」を例に挙げると、月々の保険料は340円。このように月額300円代もあれば、中には3万円ほどする自転車保険もあります。金額の違いは、死亡保険金や治療・入院の補償金の違いに比例します。 - 補償内容
自転車保険によって、補償内容はさまざま。治療や入院に関する補償が含まれていないものもあるので、子どもに合った補償内容が含まれているかを確認することが大切です。 - 補償内容の重複
東京海上日動の「トータルアシスト自動車保険」には、自転車事故による損害賠償責任を補償する「個人賠償責任補償特約」が含まれています。こういった場合は、新たに自転車保険に加入する必要がありません。
②既に加入している保険特約を利用する
先の「補償内容の重複」で解説したように、既に加入している自動車保険や火災保険のオプションとして自転車事故に対する補償を利用できる場合もあります。
多くの自転車事故に関する補償は被保険者はもちろんその家族も対象者になるため、子どもの自転車事故にも対応できるのです。
ぜひ、いま加入している保険の補償内容を見直してみましょう。
自転車事故以外の“子どもの万が一”をカバーできる保険も
ここまで子どもの自転車保険について解説してきましたが、日常における子どもの行動には心配なことが多々あるのではないでしょうか。
例えば、au損保では次のような日常の事故を補償する「ケガの保険 日常の事故」という保険を提供しています。
- スポーツをしていて怪我を負った場合の治療の補償
- 相手にけがをさせてしまった場合の補償
- 商品や人の物を壊してしまった場合の補償
「ケガの保険 日常の事故」の場合は自転車事故以外を補償する保険になりますが、自転車保険によっては日常の“万が一”に備える内容を含むものもあります。
わが子の万が一に備えることは、親の責任であると同時にわが子を守るためにも必要なことです。自転車事故への備えがまだできていない人は、記事を参考にしながら自転車保険の検討や自身の保険の見直しを行ってみてくださいね。
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