【漫画連載】爆走、ジャンプ、前を見ない…子どもに「危ない!」を分かってもらうには?
漫画家・こげのまさきさんの連載企画第3回。今回は子どもに「危ない!」を分かってもらいたい!がテーマ。子どもの危険行動を防ぐにはどうすればいいのか?専門家のアドバイスとあわせて紹介します。



子どもの危険行動 やめさせるには?
子どもが走りだして止まらなくなったり、テンションが上がって周りが見えなくなったり…。親の「危ないよ!」の声が届かないこともしばしばありますよね。こうした子どもの危険な行動をどうにかやめさせたいと奮闘しますが、毎日のように「危ない!」「やめて!」の繰り返し。
子どもに「危ない」と分かってもらうこと、そして危険行動をやめさせるにはどうすればいいのでしょうか?「危険行動を止めさせられるかどうかは、子どもの発達で大きく変わってきます」と話すのは子どもの発達に詳しい公認心理師の宮崎りさ先生。
子どもが本質的に「危険」を理解するためには、因果関係を理解できる必要があります。また、実際に危険を理解して行動するには、因果関係を理解した上で、行動のコントロールが必要です。
子どもは大人と違い、危ないと知識としては知っていても様々な場面に知識をあてはめられなかったり、興味関心や衝動性が勝ってしまったりすることがあります。
つまり、「◯◯をしたら△△になる」「■■をしたら✕✕になるかもしれない」ということを子どもが理解して推測し、なおかつ「だからやめておこう」と行動をコントロールできるようになることで、危険な行動が減っていきます。
個人差はありますが、目に見えない因果や将来的な因果を理解できるのは小学校低学年頃だといわれています。なので、困ったことに逆に言えば5歳以下の子どもに対して、「危険を理解させ、やらせない」というのは発達的に難しいといえるでしょう。
ただ、1~2歳ごろには「ボタンを押すと音が鳴る」など自分のした行動と結果を理解できるようになり、2~3歳頃には「落ちたら割れる」などが少しずつ理解できるようになっていきます。
危ない場面ですぐにできる対策
5歳前後ではまだ「危ないことをやめる」というのが難しいということが分かったので、小学校に上がるくらいまでは辛抱強く言い聞かせる必要がありそうですね…!とはいえ、親が「危ない!」と言っているのに危険行動をやめないのは本当に困ってしまいますよね。危ない場面で危険行動を止めてほしい時、どのようにしたら伝わりやすくなるのでしょうか?
宮崎先生に、次の2つの方法を教えてもらいました。
- 事前に合言葉を決める
- 子どもの好きな世界観で声掛けをする
事前に合言葉を決める
こげのさんが漫画で描いてくださっていた内容は、衝動性が勝ってしまった場面で、子どもにとって馴染みやすく楽しいワードで注意を引いて“反射”のような感覚でやってもらうという、理解が難しい子どもにでもまさにぴったりで素敵な案だと思いました!
園などでも先生がよく使っている方法でもあり、子どもにとって分かりやすく楽しく取り組めると思います。ちなみに先生が使う合図は以下のようなものがあります。
・ピアノがなったら話すのをやめる
・「◯◯組さん」と言われたら「はーい」と言う
漫画のように事前にお子さんと合言葉を決めて、日頃からやっておけると良いですね。
子どもの好きな世界観で声掛けをする
もし事前に合図を決めていなかったけど、子どもが危険なことをしている!!という時は、子どもよっては効果がないかもしれませんが、名前を呼んだり「駄目!」などの声掛けは入らなくとも、「好きな世界観で話しかける」とこちらの指示が入りやすい子もいます。
例えば、走り出したときに「プリンセスお待ちになって!」「ピピー!スピード違反です!」と呼びかけるなどです。
言葉の指示が入りにくい場合は「ストップカード」などを目の前にさっと出して見せる、なども効果があるかもしれません。ストップカードは「✕」などのマークでも良いですし、乗り物が好きな子であれば交通マークのようなものでもいいかもしれません。
子どもの危険行動を減らすために日常でできる工夫
発達上難しくても、できるだけ危険行動を減らしたいもの。まずは危険を理解してもらうために、日常でできる4つの工夫を宮崎先生に聞きました。
- 日常生活や遊びの中で因果関係を伝えていく
- 絵本やアニメなどを使って伝える
- 肯定形で伝える
- 約束事を事前に複数回伝える
日常生活や遊びの中で因果関係を伝えていく
子どもは言葉だけでイメージすることが難しく、目でみたものや実体験から学習することが多いです。
そのため、積み木遊びなどで倒れた際に「押したら倒れたちゃったね」と声をかけたり、「押したらどうなるかな?」と言って子どもに体験してもらうのも良いですね。
少し大きいお子さんであれば、「熱いお鍋触ったらどうなるかな?」<アチチってなる>「アチチだよね、じゃあどうしたらアチチってならないかな?」など、やりとりをしながら、適切な方法を日頃から一緒に話しておくのも良いと思います。
絵本やアニメなどを使って伝える
子どもが興味を持っているアニメや絵本の中で、因果関係を説明するのも危険の理解に繋がります。
「走ったからころんじゃったね」と場面に合わせて理由を伝えたり、「どうして割れちゃったのかな?」「ボールを追いかけて道に飛び出したらどうなると思う?」など子どもに理由を考える問いかけをしてみるのも良いですね。
肯定形で伝える
危険なことの本質を理解できなくても、「危なくない適切・安全な行動」を伝えてやってもらうという考え方です。
ついつい大人がやりがちなのが“やってはいけないこと”を伝える方法です。「走らない!」「一人で行かないの!」などつい子どもに注意してしまいますが、否定形で伝えてしまうと『じゃあどうしたら良いの?!?』と分からなくなったり、『怒られた!!!』と認識してパニックになってしまうことがあります。
そんな時は「歩いてね」「ママと手を繋いで行くよ」など“やってほしいこと”を伝えるだけでも、子どもにとって理解しやすくなります。
約束事を事前に複数回伝える
みなさんある程度自分の子どもがどんな場面でどんなことをしでかしそうか、予想ができる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
子どもが記憶を保持できる時間は大人よりも非常に短く、少し前に言われたことでもすぐに忘れてしまうことがあります。また、大人よりも衝動性が高く、気になるものに注意を引かれやすいです。
そのため、ある程度大人が予想して先回りした約束を、出来事の事前に伝える+都度何度も伝えることも大切です。例えば、公園に入る前に「公園では歩くよ」とイラストを見せながら伝える、走りそうになったら再度歩いているイラストを見せる、なども有効です。
肯定系ではなく「走らない!」とまさに否定形で伝えてしまっていました…。(きっと私だけではないですよね?)
子どもが危ないことをするとつい怒ってしまうことも多々ありますが…「子どもを守りたい」という根柢の気持ちを思い出して、普段から意識して接していけるといいですね。みなさんもぜひ参考にしてみてください。
宮崎りささんに相談してみませんか?
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