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2024.08.13

子どもに落ち着きがない原因は?親の接し方のコツや年齢による発達段階

日常生活の中で、「どうしてうちの子はこんなに落ち着きがないのだろう?」と悩む保護者の方は多いのではないでしょうか?「落ち着きがない」とは、常に動き回ったり、体の一部を触ったりする行動が頻繁に見られる、座っていることが難しい、一方的に話し続けるなど、注目を集め行動が強く表れる状態を指します。
このような状態は、子どもの成長過程において一般的に見られます。多くの場合成長と共に落ち着いて行きますが、その頻度や程度が強い場合には注意が必要です。
特に、初めての子育てや、子どもと接する機会が少ない方の場合には、その行動が単なる個性なのか、それとも何かしらの障害の兆候なのか、判断がつきにくいこともあるでしょう。学童期に差し掛かると、提示された活動を他の子どもたちと同じように参加することが難しいなど、周りからの評価が気づき初め、本人自身が辛い思いをすることもあります。              
そこで今回は、このような落ち着きのない状態の具体的な特徴やその背景、また落ち着きのない子どもへの適切な接し方などについて詳しく説明します。

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この記事を執筆したのは…

藤原美保さん

療育20年、放課後デイ10年運営のベテラン。子どもの「できない」に悩む親へ、行動の原因と対策に徹底的にサポート。幼少期にこそできる家庭内療育を提供。発達障害の子への性教育も。

 

「落ち着きがない」とはどういう状態のことか

過剰に動く

落ち着きのない子どもは、座っていることが苦手で、常に動き回ったり、手足を動かすことがよく見られます。これは、神経発達がまだまだ未熟であり、体をうまくコントロールできない状態にあるためです。子どもは感覚を通じて周囲の環境を理解し、自分の経験や知識を積み重ねていきますが、発達には個人差があり、安定した行動ができるようになるまでに時間が必要な子もいます。

また、一部の子どもには、同じ行動を繰り返す「常同行動」が見られることがあります。ストレスや不安、あるいは感覚刺激の不足が原因で、じっとしていられず、身体の一部を触ったり、動かしたりと不自然に動くことがあります。これらの行動は、時として親を心配させますが、成長の一部として、必要以上に心配しないことも大切です。

 話が止まらない

落ち着きのない子どもの中には、自分の話したいことを話し続ける、同じ話を繰り返すといった行動が見られることがあります。これにはいくつかの背景が考えられ、例えば、会話しているという行動そのものの「見た目」に重点を置き、話の内容の重要性を理解していないため、ただ話し続けるということがあります。

また、他者の視点を理解することが難しく、自分の意見を伝えることに一生懸命になるあまり、相手の話を聞かないこともあります。さらに、話したい内容が記憶から消えてしまうことへの不安から、急いで話さなければならないと感じてしまう場合もあります。このような行動は、発達の一時的な段階であることが多いですが、長期間続く場合には注意が必要です。

衝動性と転導性

転導性とは、注意が向く対象が次々に変わることを指し、一つの活動に集中している途中でも他の活動に急に注意を移すことがあります。このような行動は、内的な欲求や外的な刺激に敏感であることが原因です。

一方、衝動性は、目に入ったものに強い興味を示し、考える前に行動に移してしまうことで、大人の制止を聞かずに突っ走ることがあります。

これらの行動の背景には、脳の神経発達が未熟であるために自己制御能力が低いという要因があります。そのため、このような特性を持つ子どもは、計画的に行動することや、継続的な集中を要する活動が苦手です。突発的な言動が多いため、周囲の大人や他の子どもたちを困惑させることが多いのも特徴です。

年齢による発達段階と落ち着きの関係とは?

子どもの年齢に応じた発達段階と落ち着きの関係を理解することは、行動を適切に評価するための重要な指標となります。以下に、年齢ごとの発達段階と落ち着きの関係について説明します。

3歳から6歳にかけての子どもは、成長と発達が最も著しく進む時期です。この時期の子どもの「落ち着きのなさ」は、通常の発達過程の一部として見られることが多いですが、場合によっては親や教育者が注意深く観察する必要があります。以下に、年齢ごとの特徴とその落ち着きの関係を見ていきましょう。

3歳

3歳の子どもは、好奇心が非常に強く、自分の周囲の世界に対する関心が高まります。「知りたい」「見たい」「触りたい」という欲求が強く現れ、自己中心的な行動も目立ちます。言葉や運動能力が急速に発達するこの時期には、落ち着きのなさや危険な行動が顕著になることがあります。特に男の子の場合、絶えず走り回ったり、動き続けることは非常に多いです。

4歳

4歳になると、できることが増え、自立心が芽生えます。集中力も少しずつ向上し、一つの遊びに継続的に取り組むことができるようになりますが、注意力はまだ散漫で、興味が次々と移り変わることがあります。また、この時期には、他人の視点や感情を理解し始める時期でもありますが、場面や状況に応じた適切な判断がまだ難しいことも多いです。

5歳

5歳になると、論理的な思考や問題解決能力が発達し始め、行動に計画性が見られるようになります。しかし、まだ衝動的な行動が多く見られ、自分の興味や楽しみのために新しい挑戦をしたり、冒険心が芽生えたりします。これにより、興奮して騒いだり、周囲の注意を引こうとする行動が目立つことがあります。成長に伴って落ち着きが増すものの、まだまだ幼さが残る時期です。

落ち着きのない子への親の接し方のポイント

落ち着きのない子どもに対して、親がどのように接するかは、子どもの発達に大きな影響を与えます。以下に、具体的な方法をいくつか紹介します。

基本的な生活習慣を身につける

子どもの脳は幼い頃に急速に発達するため、適切な睡眠の質と時間を確保することが非常に重要です。昼間にしっかり身体を動かし、エネルギーを発散させることで、夜に落ち着いて眠る準備ができます。また、子どもは興奮しやすいため、寝る前の1〜2時間前には食事や入浴を済ませ、静かな時間を過ごすルーティンを作ることが大切です。

行動の言語化

子どもが良い行動をしたときには、具体的に言葉で褒めることで、その行動を強化することができます。「座ってご飯を食べられているね」「静かに待てたね」「おもちゃをちゃんと片付けられたね」といった、落ち着いた行動を具体的に言語化してフィードバックを与えましょう。これにより、子どもは自分がどのように行動すべきかを理解しやすくなります。

大人の行動を見直す

3歳頃の子どもは、まだ理屈を理解することが難しいため、大人の行動をよく観察し、模倣することがあります。例えば、食事中に大人が頻繁に席を立ってキッチンを行き来するような場合、子どもは食事中に立ち歩いても問題ないと学んでしまいます。このため、大人がまず自分の行動を見直し、できるだけ席を立たずに済むような準備をすることが必要です。子どもが幼い場合は、食事の前に必要な物をすべて準備し、食事中に席を立つ必要が無いように準備する事も大切です。

穏やかな対応

子どもが興奮しているとき、大人が大声で指示をしても、子どもにはその内容が理解できないことがあります。大人がまず落ち着いて対応することで、子どもも冷静になることができます。興奮した子どもに対しては、まず穏やかに声をかけ、静かな場所に移動させる事がおすすめです。子どもが落ち着いてから指示を出すと子どもの耳に入りやすいです。大人の落ち着いた態度が、子どもにとっても落ち着きを取り戻す手助けとなります。

落ち着く手順をルーティン化する

幼児期は感情の起伏が激しく、突然泣いたり怒ったりすることが多い時期です。これは、感情の分化が未発達であるため、不安や悲しみをうまく表現できず、怒りとして表出していることが原因です。まずは他の人がいない場所に移動し、子どもに「一旦落ち着こう」と声をかけ、静かにすることで、気持ちを切り替えることができます。

子どもがクールダウンしたら、「よく落ち着けたね」「自分で気持ちを切り替えたね」などポジティブなフィードバックをし、元の場所に戻りましょう。このように、落ち着くためのルーティンを繰り返し練習することで、子どもは自分の感情をコントロールする力を身につけていきます。

落ち着きのなさと発達障害の関係とは?

落ち着きがない子どもが必ずしも発達障害を持っているわけではありませんが、特定の行動が発達障害の一部として見られることがあります。ここでは、発達障害の種類とそれぞれの特徴について説明します。

注意欠陥・多動性障害 (ADHD)

ADHDの子どもは、不注意、多動性、衝動性が主な特徴です。これにより、落ち着いて一つの活動に集中するのが難しくなります。ADHDの子どもは、興味のあることには非常に集中しますが、興味がないことには注意が散漫になりやすく、頻繁に動き回ったり、座っているのが難しくなることがあります。

自閉症スペクトラム障害 (ASD)

ASDの一部の子どもは、感情の抑制や分化が未熟であり、周囲の刺激に対する情報処理に特性が見られることがあります。これにより、落ち着きがない行動が見られることがあり、常同行動や感覚統合不全による過敏さや鈍麻さが原因で、不安を感じやすくなり、結果として落ち着きを失うことがあります。

知的障害

知的障害のある子どもは、周囲からの指示を理解することが難しいため、ストレスが引き金となって多動や落ち着きのなさが見られることがあります。知的障害の子どもは、理解力や認知力の発達が遅れているため、状況を把握することが難しく、結果として行動が不規則になりがちです。

じっとしていられない子どもに関する悩みの相談先とは?

3歳までは保健師

3歳までのお子さんの場合は、まずは自分がお住まいの自治体の保健師に相談しましょう。無料です。
保健師は発達の遅れや障害の早期発見を行う役割を担っており、必要に応じて専門の療育機関を紹介してくれる場合もあります。情報も多く持っている方が多いので、まずは保健師に相談することが第一歩です。

児童発達支援事業所

未就学児の場合、診断がなくても児童発達支援事業所を利用することが可能です。児童発達支援事業所では、発達に遅れや障害が見られる子どもを対象に、集団や個別の支援プログラムを提供しています。発達に関する不安がある場合は、利用を検討してみると良いでしょう。

療育センター

療育センターは、発達に課題を抱える子どもたちに対して専門的な療育を提供する施設です。自治体によっては、母子通園を行っているところもあります。まずは自治体の役所でどのようなサービスが受けられるのかを確認し、必要に応じて療育センターの利用を検討してください。

心理カウンセラー(公認心理師・臨床心理士)

発達障害のある子どもを専門に扱うカウンセラーもいます。公認心理師や臨床心理士は、家庭や学校でどのような支援が必要なのかを具体的にアドバイスしてくれる存在です。子どもの発達や行動に不安がある場合は、専門のカウンセラーに相談してみましょう。

小児精神科(発達障害を診断できる小児科)

保育園などで加配保育士が必要な場合、自治体によっては診断書や指示書が必要になることがあります。その際には、小児精神科や発達障害を診断できる小児科で診断書を取得することが求められます。医療機関で診断を受けるには時間がかかることがあるので、早めの準備が大切です。なお、医療機関では主に薬の処方や診断書の発行が行われ、日常生活のアドバイスは期待しない方が良いでしょう。

保護者の方へのメッセージ

落ち着きのない子どもに「静かにしなさい」「落ち着きなさい」と声をかけても、すぐにその通りに行動することは期待できません。子どもは自分が「落ち着いていない」ということさえ認識していないことが多いのです。まずは、どのような場面で「落ち着きがない」と感じるのかを観察することが重要です。

子どもの行動には必ず背景があります。例えば、狭いスペースより広いスペースでは動き回ることが多く、人が少ない場所よりも多い場所では注意が散漫になりやすく、ハイテンションになりやすい傾向があります。子どもがどのような状況や場面で落ち着きがなくなるのかを観察し、親が適切な対応をすることで、子どもの行動をある程度コントロールできるようになります。

また、子どもは感情をコントロールする能力が未熟であることを理解し、大人がその成長過程を見守ることが大切です。ただし、年齢にそぐわない癇癪や多動が長期間続く場合や頻度が高い場合には、発達障害の可能性を含めて広い視点で検討することが必要です。適切な対応をすることで、子どもが自分の感情を上手にコントロールし、落ち着きを取り戻す手助けとなります。

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