性に関すること、いつ・何を・どう伝えればいい? 低学年向け「性教育」の3つのキーワード
長い夏休み、レジャーや帰省を楽しまれたご家庭も多いのではないでしょうか。楽しい夏休みを過ごすことももちろんアリですが、お子さんと一緒に「性」について学ぶ時間をつくってみるのはいかがでしょうか。今回は、妊活サポート事業を行っている「ファミワン」が8月12日(金)にオンライン開催した「夏休みスペシャル!子ども性教育」の様子をレポート! 低学年のお子さんに向けた「はじめての性教育」のご参考にどうぞ。
目次
「夏休みスペシャル!子ども性教育」とは?
オンラインで開催された本イベントは、性と生殖を専門としている臨床心理士・さやねえと、不妊症看護認定看護師・にっしーによるわかりやすく丁寧な解説で「性教育」を展開。当日は子どもメインで参加することができ、クイズ形式で楽しく学ぶことができました。
性教育は、2歳ごろから始めることが望ましいとされています。そのため学校教育だけでなく、ご家庭で取り組むことがメインになっています。
しかし、しっかりと話しておきたいと思う保護者の方は多い一方で、家庭でいつ・何を・どのように子どもへ伝えればいいのかわからない、という声も多く聞かれます。
そこで本イベントでは、赤ちゃんが生まれる仕組みや、防犯の観点で被害にあったときの対応など、知識的な部分はもちろん、実践的な内容にまで言及。明日から意識できる内容となっていました。
当日の参加者は小学校低学年の子どもを中心に、下は未就学児の子どももちらほら。オンラインではありましたが、積極的にクイズに参加したりコメントしたりして、保護者と一緒に性について学んでいました。
本記事では、セミナーで取り扱われた内容を3つのキーワードに分類して紹介します。
子ども性教育1「赤ちゃんってどうやってできるの?」
イベント前半のテーマは、赤ちゃんはどうやってできるのかということ。不妊症看護認定看護師のにっしーが、やさしい言葉でクイズを交えながら解説をしてくれました。
そこでは「赤ちゃんができるために必要なものは?」という基礎的な話のほか、「おへそってどんな役割で、お母さんのどこと繋がっていた?」「赤ちゃんはどこから生まれてくる?」という少し難しい問題のほか、「精子をどうやって卵子に届けるの?」という、大人が説明しにくい生殖の話も子どもたちにわかりやすい言葉で示していました。
そこで看護師であるにっしーが繰り返し伝えていたのは「赤ちゃんのでき方や生まれ方には複数あり、『これは間違い』『その生まれ方はおかしい』というものはないんだよ」ということ。
現在では珍しいことではない帝王切開や体外受精、人工授精などを低学年の子どもにも積極的に紹介・説明し、どれも命の誕生の仕方として正しいものであることを示していました。
また、そこから派生して、家族の在り方についても言及。ある家族のイラストを提示し、家族には様々な形があること、各家庭で違うことは当たり前のことであることを説明していました。
子ども性教育2「一人一人が個性をもった大切な存在であること」
後半は、臨床心理士である、さやねえによる講義。
まずはクイズを用いて、一人一人はとてつもない確率の奇跡によって生まれてきたことを説明(今の姿形、声で生まれてくる確率は、なんと400兆分の1なのだとか! 頭に隕石が落ちてくる確率よりも低いというのは、大人も驚きなのではないでしょうか)。その上で、こんな奇跡的な確率で生まれてきた一人一人の「個性」を、ぜひ大事にしてほしいことを伝えました。
その説明をした上で、会議アプリのコメントツールを生かして、子どもたちに「自分の個性の好きなところは?」と聞くと、「目が好き」「ほっぺ」「全部が好き」という様々なコメントが寄せられていました。
自分の個性を大切にしてほしいということを伝えるとともに、「プライベートパーツ」についても説明。
「プライベートパーツ」は、友達や先生はもちろん、親でも勝手に触ったり見たり、写真をとったりしてはいけないこと、また、相手に同意を取らずに見せることもダメということを繰り返し伝えていることが印象的でした。時間をとって説明したことで、子どもたちにとっても強く心に残ったのではないでしょうか。
その際、我が子だからといって許可を取らずに触ることもNG、ということを保護者にも伝えていました。例えば体に薬を塗る時も「お薬を塗るからね」と一言伝えてから触れるべきであるということは、参加した多くの大人にとっても新たな気付きとなったことでしょう。
子ども性教育3「よいタッチと悪いタッチって、何?」
「プライベートパーツ」を学んだ上で、最後に子どもたちにさやねえが伝えたのは「よいタッチと悪いタッチ」の話。
どういった話かというと、よいタッチとは、心がホッとしたり、安心できるようなタッチのこと。悪いタッチとは、ふざけてしつこくくすぐられたり、嫌なのに無理矢理触られるなどのタッチのこと。
この違いをしっかりと覚えてほしいという話をするとともに、悪いタッチをされたときの合言葉「No!Go!Tell!」を伝授。
「No!Go!Tell!」の詳細は次の通り。
- No…「嫌だ」「やめて」と、はっきり相手に伝えること。
- Go…嫌なタッチをされたら、すぐにその場から離れる(逃げる)こと。
- Tell…信頼できる大人に相談すること。
この言葉を覚えるとともに、実際に相談できる人をあらかじめ何人か想定しておくこともアドバイス。その際、必ずしも親である必要はなく、「友達のお母さん」「仲良しの先生」など、自分にとって話しやすい大人は誰なのかを考えておこうということを伝えていました。
性教育に「まだ早い」なんてない
本イベントの低学年の性教育では、主に赤ちゃんのでき方や方法のほか、自分を大切にするとはどういうことか、大切にするためにはどんな行動を取るべきなのかを時間をかけて説明していました。
中には「不妊治療のことや帝王切開のことなんて、まだ教えなくてもよいのでは……」と感じる方もいるかもしれません。しかし、これらの多くは、実際に子どもがほしいと思ったときに初めてその詳細を知るという場合が多いですよね。
いつか子どもも子どもをもつかもしれません。そのようなときに戸惑わないためにも「これらは間違っていたり特別なことではなく、子どもを授かる方法として当たり前の方法なのだ」と思える基盤作りをしていると考えるとよいかもしれません。
まさに不妊治療をしたというおうちの方であれば、こうやって生まれてきたんだよと、「あなたの物語」として伝えると子どもも興味をもって聞いてくれそうですよね。
今回のレポートを参考に、ぜひおうちでも性について話し合ってみてはいかがでしょうか。
取材協力/ファミワン
妊活に取り組む夫婦を支える、LINEを活用したパーソナルサポートサービス「ファミワン」 を展開。不妊症看護認定看護師や臨床心理士、培養士、NPO法人Fineの認定不妊ピア・カウンセラーなど、多くの専門家によるアドバイスを受けることができ、妊活を意識し始めたばかりのタイミングから、病院選びや治療中までのあらゆる過程をサポートしている。
2018年9月より、法人向け福利厚生プログラムを提供開始。また、自治体への提供としても、神奈川県横須賀市をはじめ、長崎県、東京都杉並区、群馬県邑楽町、青森県東北町、広島県三原市など、都道府県単位から中核都市、そして数万人規模の市区町村まで幅広く提供を行っている。
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1991年生まれ、ライター兼編集。小学生向けファッション誌のほか、小学校教員向け専門誌の編集を経て、2022年にフリーに。小学校教育や性教育、10代のトレンドなどについて執筆している。夫と猫の3人暮らし。