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2024.05.27

ことばの教室とは?支援内容や対象となる子、通うための手順を解説

ことばの教室は、言語面で何らかの障害がある子どもに対し、指導や支援を行う教室です。どんな子どもが対象になり、どんな指導が行われているのでしょうか。通うことで期待できるメリットや利用開始までの流れを、特別支援教育に関する豊富な経験、知識を持つ中村藍先生が解説します。
なお、ことばの教室の運営や細かな指導内容、手続きは、自治体によって異なる部分があります。実際に利用を検討される場合は、必ずお住まいの自治体や教育委員会に問い合わせてください。

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記事を執筆したのは…

中村 藍先生

支援級・通常級・支援学校等の教員経験20年以上のベテラン。その子に合う学びの場の提案と学校への交渉・相談の方法を、寄り添いながらも具体的に丁寧にアドバイスしてくれます。

ことばの教室とは?

「ことばの教室」は、正式には「言語障害通級指導教室」と呼ばれる、言語障害のある子どものための教室です。「ことばときこえの教室」と呼ばれることもありますが、言語の獲得や使用には、聴覚(きこえ)も重要な役割を果たすからです。そしてそのような教室では、聴覚障害の支援も行われます。
ちなみに、民間でも「ことばの教室」という名称を使っているところもあります。また、以前は情緒障害通級指導教室も「ことばの教室」と呼ばれていたため、言語障害と情緒障害が混同されているケースもあります。
なおこの記事では、公立の小・中学校に併設された言語通級指導教室に焦点を当てて解説します。

ことばの教室の対象となる子どもとは?

ことばの教室に通うのは、小学生から中学生までの子どもたち。前述したように、言語障害がある子どもが指導の対象です。言語障害とは、口腔など話すための器官の障害だけでなく、言語の理解やコミュニケーション面での問題も含まれます。具体的には以下のような状態を指します。

①器質的・機能的な構音の障害がある

口蓋裂、構音器官のまひなど、発音器官(口、舌、声帯など)の障害により、言葉が正しく発音できないケースです。

例:「さかな」→「たかな」
  「つくえ」→「ちゅくえ」
  「げんき」→「げんち」

話すときに歯と歯の間から舌が出てしまう場合、歪んだような発音になってしまう場合も当てはまります。

②吃音(きつおん)

吃音とは、話し言葉が滑らかに出ない発話障害のひとつです。大きく分けて以下3つのタイプがあります。

・音のくりかえし(連発)
例:「こ、こ、こま」

・引き伸ばし(伸発)
例:「こーーま」

・ことばを出せず、体に力が入る、間が空く(難発、ブロック)
例:「……こま」

③言語発達の遅れがある

話す、聞く、読む、書くなど、言語に関する基礎的な事柄に発達の遅れが見られるケースです。例えば以下のようなことが当てはまります。

・語彙が少なく、言いたいことが表現できない
・先生や友達の話を聞き落とす
・行を飛ばして読んでしまったり、読み間違えたりする
・話すことはできるが、作文が不得意である
・助詞(てにをは)の使い方を間違える

④その他の言語障害がある

上記以外で言語面での障害が考えられるケースです。          

ことばの教室では、こうした言語障害のある子どもを対象に支援を行います。ことばの教室に通う子どもは、普段は普通の学級に在籍し、決められた時間だけ支援を受けに通います。つまり、基本的には通常の学級での学習におおむね参加でき、一部特別な指導を必要とする子どもが対象ということになります。

ことばの教室の設置場所は?

ことばの教室は、公立の小中学校内に設置されています。自分が通う学校にことばの教室がない場合は、「他校通級」という形で近隣の設置校に通います。その場合は、授業時間内に通ったり、放課後に通ったりすることになるので、保護者の送迎が求められます。在籍校の授業に出られない場合も、遅刻や早退、欠席の扱いにはなりません。

ことばの教室の指導体制とは?

ことばの教室で指導にあたるのは、教員免許をもった教員です。研修を受け、専門性を高めながら指導にあたっています。                                     

なおことばの教室では、一対一の指導がメインです。子どもの実態によっては、小集団での指導をとり入れている自治体もあります。クラスの担任とことばの教室で指導にあたる教員は異なりますが、子どもについての情報交換をしながら指導を深めていけるよう、連絡ノート交換、指導報告などが行われています。

ことばの教室と特別支援学級との違い

通級指導教室と比較されることが多い、特別支援学級。違いはどのようなところにあるのでしょうか。

特別支援学級は、自立活動や各教科等を合わせた指導など、障害による学習や生活の困難を克服するための指導を、子どもそれぞれのニーズに応じて行う場所です。小・中学校に設置されており、障害のある児童生徒を対象にした少人数(8人まで)の学級となっています。

特別支援学級では言語障害を含む様々な困りごとに対して、より個別化された支援や指導を受けられるのがポイント。また、特別支援学級に在籍する子どもたちは、体育や生活科、道徳、課外活動など、一部の時間を通常の学級の子どもたちと共に学びます(「交流及び共同学習」といいます)。

なお、東京都では「特別支援教室」という制度もあります。これは、発達障害など個別の教育ニーズを持つ子どもたちに対して指導を提供する場所です。まとめると、ことばの教室と特別支援学級の違いは以下のようになります。

ことばの教室(言語通級指導教室)特別支援学級
対象言語障害弱視・難聴・知的障害・肢体不自由・病弱・身体虚弱・言語障害・自閉症・情緒障害
子どもが在籍するのは通常の学級特別支援学級
指導内容障害による学習面や生活面における困難の改善・克服に向けた指導小中学校の各教科
自立活動
知的障害特別支援学校の各教科を参考にできる(知的障害のある場合)

ことばの教室で行われる指導

ことばの教室では個々のニーズに合わせた指導や支援の計画を立て、それに基づいた指導を行います。

個別の指導計画・個別の教育支援計画

通級指導教室や特別支援学級では、一人ひとりの子どものニーズに合わせた「個別の指導計画」と「個別の教育支援計画」が作成されます。

個別の指導計画

個別の指導計画は、一人ひとりの教育ニーズに基づく具体的な指導計画です。学習指導要領や既存の教育支援計画も踏まえて作成されます。

個別教育支援計画

個別の教育支援計画は、子ども一人ひとりのニーズを把握し、それに基づいた教育支援を乳幼児期から学校卒業後まで一貫して提供するために作成される計画です。子どもの能力や可能性を最大限に引き出すため、教育、心理、医療、福祉など多岐にわたる専門家が連携して作成します。

なお個別の指導計画と個別の教育支援計画には、以下の役割があります。

・子ども一人ひとりに合わせたきめ細やかな指導を可能にする
・教職員や保護者、専門家間での情報共有をはかる

教職員間での情報共有と連携を促し、個別の配慮や支援の検討に役立てることもできます。加えて、定期的に評価することにより、指導のブラッシュアップにもつながります。

具体的な指導内容

ことばの教室では、言語障害による学習や生活上の困難を克服するため、個々のニーズに合わせた多様な指導が行われています。

構音障害に対する支援

・正しい音の認知や模倣
・構音器官の運動の調整
・発音・発語の指導

吃音に対する支援

・話し言葉の流ちょう性の改善
・吃音のある自分との向き合い方

読み書きに関する支援

・読み書きの基礎から応用までの指導

そのほか、コミュニケーション能力の向上

・コミュニケーションの意欲を高める指導
・語彙を増やす活動
・コミュニケーションの練習

指導にあたっては、市販の教材・教具のほか、子どもに合わせて教員が手作りした教材やICT機器も使用されます。

ことばの教室で期待できるメリットや効果

ことばの教室に通うことで期待できるメリットや効果は以下の3点です。

①言語能力を向上させる
②コミュニケーション力を伸ばす
③言語面の不安を減らし、自信をつける

それでは、それぞれのメリットについて1つずつみていきましょう。

メリット①言語能力を向上させる

ことばの教室では、子どもの実態や特性に合わせた指導を受け、発音の改善やことばの力の向上をめざすことができます。
もちろん、子どもの実態はさまざま。発音がすぐに治ったり、劇的にすらすらと読み書きできるようになったりするとは言い切れません。
でも、子ども一人ひとりの困難さの背景を見極め、その子に合った指導をしてもらえるのは大きなメリット。じっくりとことばの力を育てることができ、自分の思いや要求を効果的に表現できることにつながります。

メリット②コミュニケーション力を伸ばす

教員と1対1で学習しながら、ことばを使ってコミュニケーションをとる経験を積むことができます。
また、場に応じたコミュニケーションが楽しめることをめざし、グループでの活動を行う場合もあります。
目的に応じた適切な指導を受け、ことばの力を伸ばすことで、コミュニケーション能力も高まることが期待できます。

メリット③言語面の不安を減らし、自信をつける

言語障害をもつ子どもたちの中には、「自分の思いがうまく伝わらない」「言いたいことが表現できない」という経験を重ねるうちに、自信を失ってしまうケースが見られます。
ことばの力が向上することで、友達との関係構築がスムーズになり、学校生活においても自信をもって行動できることが期待できます。
また、専門知識をもつ教員のサポートにより、保護者の不安が和らぐこともあるでしょう。

ことばの教室に通うのは「恥ずかしい」こと?

「ことばの教室に通わせたいけれど、周りの目が気になって…」そう感じる場合ももしかしたらあるかもしれません。
確かに、ことばの教室という特別な場所に通うことを友達に知られたくないと考える子どももいます。
そのような場合、在籍クラスの担任やことばの教室の教員に相談すると、なんらかの配慮をしてもらえるケースもあります。ここでは、これまで私が見聞きした例を参考に、考えられる配慮をご紹介します。

①指導場所の配慮

巡回指導を受ける場合、自分の在籍クラスから離れた場所や静かで落ち着ける教室を選びます。周りの目が気にならないところで指導を受けられるようにするためです。

②指導時間の配慮

通級のために教室を抜けることに抵抗感がある場合、以下のような方法も考えられます。
・帰りの会の途中で下校し、通級する
・朝一番でことばの教室の指導を受けてから登校する

③周囲の児童への説明

低学年のうちは友達と自然な形で「ことばの教室に行ってきます」「行ってらっしゃい」のやり取りができていても、高学年になるにつれ恥ずかしさを感じる子どももいます。
また、指導後に友達に「どこにいっていたの?」と聞かれることがイヤ、というケースもあります。そういった場合は、ことばの教室の担当教員や在籍クラスの担任と相談し、以上のような手立てがとれるとよいでしょう。

・「他の教室で勉強している」とシンプルに説明する
・自校通級の場合、ことばの教室の担当は迎えに行かず、子どもが一人で通級する

④在籍クラスでのフォロー

ことばの教室のために在籍クラスを抜ける時間があっても、子どもに不都合が生じないような配慮があると、通級への抵抗感もうすれます。

たとえば、
・在籍クラスでのお楽しみ行事とことばの教室の日時が重ならないように設定する
・不在だった時間に何を学習したのか子どもと保護者に知らせてもらう 
             といった配慮です。               

ことばの教室に行っていたあいだの学習を学校だけで補習するのは、難しい場合もあります。家庭でもサポートできるとよいですね。

ことばの教室に通うための手順

ことばの教室に通う場合、どのような手続きが必要なのでしょう。また、指導はどのような形で終了するのでしょうか。
ここでは、子どもがこれから小学校に入学する場合、すでに就学している場合に分けて解説します。いずれの場合も、子どものニーズや実態などから総合的に判断されるため、希望すればすぐに通えるというわけではありません。
通級による指導の申し込み手続きは、教育委員会によって異なります。詳細は、お住まいの自治体に問い合わせるか、ホームページなどで確認してください。

これから小学校に入学する場合

子どもが未就学児で、来年度からことばの教室を検討している場合は、お住まいの教育委員会で就学相談を受けましょう。
就学相談では、通級指導教室や特別支援学級を含む特別支援教育について話し合い、子どもに最適な学びの場を検討します。相談は、幼稚園や保育園の年長の春から秋ごろに開始されることが一般的です。
また、入学前から療育センターを利用している場合は、入学予定の学校の特別支援教育コーディネーターや校長に入学前の時点で相談できる場合もあります。療育センターの職員に相談してみましょう。
加えて、病院や療育機関ですでに定期的に指導を受けている場合は、ことばの教室ではなく、そちらを継続する選択肢もあります。

すでに就学している場合

①クラスの担任やコーディネーターへの相談

学校の担任か特別支援教育コーディネーターに相談しましょう。担任の意見やコーディネーターによる授業観察を通して、通級指導の必要性を検討します。併せて、クラスや校内でできる配慮や学級内での指導法を考える場合もあります。

②ことばの教室の利用開始

校内委員会での会議に加え、ことばの教室の教員が子どもの学習の様子を見に行ったり、面接をしたりして、ニーズを見きわめます。審査会で通級指導の必要が認められれば、年度途中でも利用スタートとなる場合もあります。
通級するかどうかの判断にあたっては、子どもの障害の状態だけでなく、どこに通級するか、他校に通う場合は移動方法や時間などが総合的に考慮されます。
通級開始となった場合、曜日や時間帯をことばの教室の担当者や在籍クラスの担任と相談して決めます。なお、指導を受ける際、費用はかかりません。

③ことばの教室での指導の終了

主訴が改善されれば、指導の継続・終了を検討します。通常の学級での学習や生活での困りごとが少なくなった場合、通級による指導は終了します。

おすすめは「親子で目的を共有すること」

通級を決めた場合、「何のためにことばの教室に通うのか」を親子で共有しておくことをおすすめします。
なぜなら、目的を意識することで、指導効果がより期待できるからです。
ことばの教室での学習がすすむにつれ課題意識が高まる子どもも多いのですが、最初から「これができるようになりたい」という思いをもった子どもは、課題に対して前向きで、身につけたスキルを使おうとする傾向があります。
また、長く通う場合でも、「自分には〇〇が必要だと思う」と言って積み上げていけるよさもあります。
「友達との会話がもっとスムーズになるように、ことばの教室で発音の練習をしよう」
など、子どもに分かる表現で目的を共有してあげてください。

ことばの教室に通えないときは

審査の結果「通級が必要とは認められない」と判断されたり、すぐに利用が開始できなかったりする可能性もあります。どうすればよいのでしょうか。
大切なのは、「ことばの教室に通えなくても、あきらめない」ことです。
言語障害への指導を行っているのは、ことばの教室だけではありません。主訴によっては、病院や療育機関、大学の相談室で対応してもらえるケースもあります。
次の章で相談先をお伝えしますので、参考にしてください。

子どもの言葉の発達が気になるときは

子どもの言語面で気がかりなことがある…そんなときは、ご家庭だけで抱え込まずに、専門家への相談をおすすめします。
具体的な相談先は以下のとおりです。子どもの様子や困りごとを伝え相談してみましょう。まずは電話で問い合わせてみるのもいいでしょう。

・学校や園の先生…担任のほか、特別支援教育コーディネーターなどに相談するのもおすすめです。
・地域の療育センターや子育て支援センター…専門のスタッフがいる場合が多く、子育て全般のこまりごとを相談できます。
・児童相談所…子育ての悩み相談の他、受けられるサービスを紹介してもらうこともできます。
・医療機関…言語聴覚士のいるところがおすすめです。
・大学の相談室…募集があれば、指導を受けられることがあります。お近くの大学で、言語障害に関する相談室が併設されているところがないか探してみましょう。

ことばの心配ごとを減らし、前向きなコミュニケーションにつなげよう

ことばの教室の概要や指導内容、手続きなどをお伝えしました。
「ことばの教室に通わせたいけれど、一歩踏み出せない…」そんな方は、「苦手なことを克服するために訓練を受ける」と考えるより、「もっとコミュニケーションを楽しみ、自信をつけるための“習い事”のようなもの」と受け止めてみてはいかがでしょうか。
ことばの教室は、言語面が気になる子どもの可能性を伸ばすための第一歩になりえます。子どもが生き生きとコミュニケーションを取れるよう、ベターな方法や環境を一緒に模索してあげたいですね。

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