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2023.11.02

私と息子の大切な人生を、スマホに消費されない為の小さな抵抗

インスタグラムで育児にまつわる情報を発信している「ソクたまアンバサダー」。そんなアンバサダーのみなさんに、子育てや教育について、それぞれの視点で執筆してもらうコラムです。今回は、知育インスタグラマーとして活躍中の、論文ママさいとうさんの子育てコラムをお届けします。

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みなさんは、初めて読んだ小説を覚えているだろうか。
私は小学生の頃、「壁の中のアフリカ」というタイトルの短編集だった。

それまで漫画か、字の大きな本しか読んでこなかった。ちゃんとした文庫本を読んだのはそれが初めてで、期待せずに読んでみたらとても面白く、文章から情景がありありと浮かんで驚いた。

文字だけでこんなにも恐怖心を駆り立てる事ができるのか!小説ってすごい!と。

それから小説にのめり込んだ。本棚に並べられていた、兄や母が集めた小説たちを一通り読んだ。父が選ぶ本だけは政治的思想が強くて読む気がしなかった。

そして中学の時、ついに出会ってしまった。
村上春樹の最高傑作「世界の終わりとハードボイルド•ワンダーランド」に。

あまりの本の分厚さ(もはや辞書レベル)に、最初はたじろいだが、いざ読んでみると面白いなんてレベルではなかった。

主人公の名前が一切出てこないのに何の違和感もなく進んでいく物語。独特の言い回し。文章から容易く想像できる風景や登場人物の息遣い。意味不明な展開、からの見事な伏線回収。

全てが衝撃だった。13歳の私はすっかりハルキストになった。(村上春樹を崇拝する人の呼称=ハルキスト)


お小遣いをもらうたびに本屋へ行って小説を買う日々。
あらすじを一切調べず、ジャンルも限定せず、ただただ表紙のデザインとタイトルだけで選ぶ小説の中には、もちろん外れもあったが、むしろそれがゲームのようで楽しかった。

間違いなく、あの時脳内に報酬系の神経伝達物質出てたはず。

読んだ小説はノートに感想をまとめて後で読み返して楽しんでいた。

本題はここからである。

今その読書好きが何かの役に立っているかというと、特に思い浮かばない。

たしかに学生時代、国語のテストはいつも良かったし、作文や読書感想文を書くのも苦痛ではなかった。こうして文章を書くのも好きだが、まぁその程度である。

だが読書のメリットは、そこではない。

どんな本にも、必ずひとつは学ぶべきことが書いてある。

想像力を掻き立て、自分に起こる現実以上のことを擬似体験できるのは、もはやそれ自体が「人生経験」と言っても過言ではないのではないだろうか。

なので直接何かの成果には繋がっていなくても、人生の様々な場面で読書及び、それによって得た知識や言葉は、私の道標となった。

息子にも、本を沢山読んでほしい。
辛いことや、悲しいことに直面した時にもきっと助けになってくれるはずだ。

しかしふと気付く。

もしやこの四六時中連れ回しているスマホこそが、読書好きになることを阻害する1番の要因になりうるのではないか


というのも、自分の本好きのルーツを思い返すと、要因は二つあった。

ひとつは、初めて読んだ小説が年齢に合っていて、かつとても面白かったこと。(ここでつまずくと、本=つまらないというイメージが定着してしまうので、運が良かった)

そして二つめに、読書好きの両親から「本を読め」と強制されたことが一度もなかったことだ。

特に目立った趣味を持たない両親にとって、本と煙草がちょうどいい嗜好品であった。

好きな本を本棚に並べ、各々自由に読んでいたので、「そんなに面白いなら私も読んでみるか、暇だし」と思ったのが最初の小説に手を伸ばしたきっかけである。

が、もしあの時代にスマホがあったら、両親(と兄)はあそこまで本を読んでいただろうか?

そして私自身も、より手軽に無料で時間を潰せるコンテンツが無限にある中、わざわざお小遣いを握りしめて本屋に走っただろうか? 想像できない。

そのうえ、スマホはアウトプットを妨げる。なぜなら「これやってみたい!」と思った次の瞬間には、もう新しい情報が脳にドカスカ送り込まれているからだ。

何か検索しようとYahooを開こうもんなら、まず第一にYahooニュースがズラリと目に入る。


一旦検索は後回しにして、気になるトピックスを読んでみる。そしたらまた下のほうに興味をそそる記事が出てくる。そうして気づけば調べもののことなど忘れ、平気で30分経っている。

こんな調子でスマホと共にたった一度きりの大切な人生を食い潰している私だが、じゃあ読書をしていた頃よりさぞ知識豊富な人間になったかというとそうではない。

ショート動画、YouTube、SNS……取っ散らかった集中力のまま、赤の他人の私生活と情報だけがどんどん脳の中に入ってきて、悲しいことに最終的には2割しか覚えていない。まるで健全とは言えない……。

そこで私は自ら息子の手本となるべくルールを課した。

  • 外出中にはSNSを見ない
  • 月に一度はスマホデトックス日を設ける
  • 優先順位をスマホ時間<読書時間

このルールを設けて1年ほど経つ。たまに破ったりしつつゆるく続いている。

特に「外出時にはSNSを見ない」を徹底する為、パケ放題を解約した。


よってWi-Fiがないところでインスタなんぞ見ようもんなら一瞬でスマホ代が跳ね上がる。

旅行に行けば1〜2日、SNS断ちを強制されることもザラであるが、その時間は最高に楽しい。


その時だけは私のiPhoneは、天気とマップとカメラ機能だけの低スペスマホに成り替わる。

おそらく子供がいなければ、そんなこと気にしなかった。

だけど思ったのだ。例えば息子が小学生くらいになって、家族でお出かけ中にスマホばかり弄っていたら、私はきっと悲しくなってしまう。


目の前の原体験よりも、美しい景色よりも、美味しい食事よりも、手のひらのスマホに夢中になり、ストレートネックを加速させる息子を見るのが単純に悲しい。

とはいえ自宅にいると、水(Wi-Fi)を得た魚のように子供の前でスマホを弄ってしまいがち。(ダメじゃん)


そういう時、大体自分の姿を俯瞰で見れていない。
息子に「ママ、スマホやめて」と言われてハッとする。

幼少期、ヘビースモーカーの母親が「ちょっと煙草吸ってくる」と1日に何度も私の前から消えるのが本当に嫌で、服を引っ張って引き留めていた。


だから子供が抱く「自分の親が何かに依存している状態」に対する嫌悪感はとても理解できるはずだった。


そこで対策として、新たなコツを見つけた。ひとつ「これはいい」という情報を掴んだら、その時点で即スマホを閉じてアウトプットに専念する。


忘れないようノートに書き写しても良い。そのことについて家事でもしながらじっくり考えるだけでも良い。


一見遠回りな作業だが、私達はAIではない。
スマホを介して際限なく入ってくる膨大な情報を全て捌けるほど、脳は優秀ではない。 もはやこれは、食うか食われるかの戦いである。

インターネットの美味しいところだけを上手く利用できるのか、
もしくは、骨の髄までしゃぶりつくされてしまうのか。

敵は強大だ。優秀な頭脳を持った開発者たちは人間の心理や依存性を利用し、今後も必死で魅力的なコンテンツを生み出してくるだろう。

私には、自らと家族を守る義務がある。


どんなに時代遅れと言われたって、死ぬまでギガに制限をかけ、公共施設のWi-Fiを無視し、紙の本をめくり続けていく。

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