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2022.08.12

「サッカー選手になりたい我が子を、親はどこまで応援すればいい?」元日本代表の回答は?

前回に引き続き、「元サッカー日本代表・森岡隆三さん×DreamDriven」のトークイベントの内容をお届けします。今回は、森岡さんのチャレンジ精神が培われた理由。そして「サッカー選手になりたいと言っている我が子を、親としてどう応援し、見切りをつければ良いのか」という保護者からの質問に対する回答を紹介します。

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>>>サッカーに打ち込みながら難関中学に合格した森岡隆三さんが「勉強とスポーツを両立できた理由」を紹介した前編『難関私立中に一般入試で合格。サッカー元日本代表が「文武両道」を実現できたわけ』こちら

難関私立中に一般入試で合格。サッカー元日本代表が「文武両道」を実現できたわけ
難関私立中に一般入試で合格。サッカー元日本代表が「文武両道」を実現できたわけ
森岡隆三さんといえば、2002年のFIFAワールドカップ日韓大会の開幕戦でキャプテンを務めた人物ですが、実は難関中学の受験を一般入試で突破した「文武両道の人」で.....

※本記事は、2022年7月に行われた最先端キャリア教育オンラインスクール「DreamDriven(ドリームドリブン)」のオンラインイベント「W杯直前!元日本代表キャプテン森岡隆三さんと教育について語ろう♪」より、DreamDriven代表・鹿嶌將博さん(以下、鹿嶌さん)と森岡隆三さん(以下、森岡さん)の対談の模様をお届けしたものです。

殻を突き破るための“加点方式”の指導

鹿嶌さん:ご著書(『すべての瞬間を生きる PLAY EVERY MOMENT』)の中で、プロに入られてからの清水エスパルスのオズワルド・アルディレス監督(通称・オジー)の指導について印象的に紹介されていました。

「明確な基準を示してくれて、加点方式の指導で成長を導いてくれた」というような内容でしたが、オジー監督の指導者としての素晴らしさはどんなところだったのでしょうか。

森岡さん:今、世の中で心理的安全性みたいな言葉がありますけど、彼の加点方式の指導はまさにそれだったのかなと思います。10回やって同じミスを10回したらそれは怒られるかもしれないけれど、チャレンジしてのミスだったら、むしろ褒められる

ある試合でセンターバックとして入ったんですけど、オジーが私に名指しで「とにかくボールを運んで、敵が来たらパスを出せ」と。ディフェンスラインなので、ボールを取られてしまったらすぐに失点に繋がるということがあるんだけど、ボールを運んで、敵が来たらパスを出す。指示はそれだけだったんですよ。

それでボールを運ぶでしょう。で、パスを出したわけですよ。取られるんですよ、取られてしまったんですよ。それで決定的なピンチになっちゃったんです。

鹿嶌さん:それでどうなったんですか?

森岡さん:いくらそういう指示があったからって、「そんな取られ方あるかい!」って、もしかしたら責められがちなところ。その時もベンチの方から声が上がって、何を言われるかなと思ったら、「ナイスだ、続けろ!」って。それで、最後尾のポジションなんだけど、運んでパスを出してを続けたら、最終的に相手のキーパーと1対1になるぐらいのチャンスまできて……。

残念ながらそのゲームは負けてしまったんだけど、その後、彼のおかげでチームがタイトルを取ったり常にタイトルを争ったりするようなレベルになった。ボールを持つことが楽しくてしょうがないというチームになったんですよね。

「枠を突き抜けて欲しい」と願う保護者にも読んで欲しい森岡隆三さんの新著

指導者として思う、育成年代に大切なこと

鹿嶌さん:なるほど。森岡さんも今は指導者に転身されているわけですけれども、加点方式とかチャレンジ精神を伸ばすところは、意識されていたりするんでしょうか?

森岡さん:そこは意識していますね。育成年代の頃は厳しいことを言われて、「なにくそ」という反骨心もあるでしょう。でも、そこから自分の殻を突き破る、枠を突き抜ける、そういう指導者の想像を超えるようなもの子どもたちはいくらでも持っているわけじゃないですか。そういうものを引き出すためにも、加点方式は大事だと思っています。

ただし育成においては、いわゆる躾の部分、ミッション・ビジョン・バリューのバリューの部分。良いプレー、悪いプレーの基準となるもの、つまり自分たちの「価値観」ですよね。そうした価値観はチームとして大事にしたいし、ちゃんと定めておくことは必要だと思います。

鹿嶌さん:それって各家庭の中でも必要だと思われますか?

森岡さん:「うちの家庭はこうだ」という価値観はもちろん大切でしょう。チームの価値観は、それがあった上での話だとは思います。

私が今いるクラブのアカデミーでは、フィロソフィー(philosophy)、企業でいうところのミッション(mission)みたいなものや、行動規範があるんです。でも、時代と共にサッカーは進化しているところがあるし、どんどん時代も変わっていきます。

そんな中で、自分たち自身も、常にアップデートしていくことは大切にしているし、それは多分、各家庭でも必要だと思うんですよね。

サッカー選手になりたい我が子を、親はどこまで応援すればいい?

鹿嶌さん:(オンラインイベントの参加者から)「我が子はサッカー選手になりたいと言っていますが、簡単な道ではないと思います。どこまで親として応援したり、または見切りをつけさせたりすればいいのか悩みます。どう思われますか?」という質問が届いています。

森岡さん:サッカー選手になるのは1つの目標です。でも個人的には、それが人生の目的ではないと思っていて。

サッカーにはチームメイトとの競争があるので、その中で自分の個を磨いていくことができたり、負けん気とか競争心を培ったりすることができる。チームの中での協調性を養えるところもあります。普段サッカーをしている中で学べるものが、人生の中で大事なことだったりするんですよね。

あと、憧れのサッカー選手、今でいうと南野(拓実)みたいになりたいと思ったとする。じゃあ南野のようになるために、ターンを上手くなりたい、どうやったらあんなシュートを打てるんだろう?というところから、目標を持ってプレーをするようになる。そのプロセスの中で、「目標を持って計画を立てる」といった経験も積めると思うんです。

鹿嶌さん:憧れに近づくためにチャレンジしていくことや、目標達成までのプロセスが大事だということですね。

森岡さん:そうですね。実は、私の子どももサッカーをやっているんですよ。上に行くとかは簡単ではない立ち位置だけど。子どもに言っているのは、「サッカーが嫌いになるくらいだったら考えよう」ということ。

サッカーを目標に向かって楽しくやり続けよう、と。「楽しい」というのは、いつも笑ってばかりということじゃないんだけど、充実しているという実感が少しでもあるんだったら、個人的にはサッカーを続けていくのはすごく良いことなんじゃないかなと思いますね。

プロがどうのといった見極めは、子ども自身や親が決められるものではないと思う。実際、どこかで現実的な問題が出てくるわけですよ。プロのクラブからオファーがあったり、スカウトから誘われたりというのがない限りは、セレクションという道になるわけで。

でもプレーしたいんだったらプレーは続けて、その中でサッカーを通していろいろなことを学ぶというのが個人的には大事かなと思っています。

憧れを、子どもが頑張る原動力に

鹿嶌さん:ありがとうございます。私たちがやっている「Dream Driven」の紹介にはなってしまうんですが、今年「Dream Driven」というこのコンテンツを始めたきっかけも、日本の子どもたちに、もっと夢を持って欲しい、と思ったからなんです。

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2020年度から全国の小学校でスタートした「キャリア教育」。ITやAIの発達に伴い、目まぐるしく変わっていく社会の中で生きていく子どもたちに向けた“新しい学び”.....

プロサッカー選手を目指す話と同じで、必ずその職業にたどり着かなきゃいけないかいかというと、当然そうではありません。

今森岡さんがおっしゃった通り、我々はプロセスが大事だと思っていて。小学生時代に大きな夢に向かって頑張って努力をする。まわりの大人のサポートに感謝しながら、目いっぱい努力するという経験こそが、非常に価値があるものなんじゃないのかなと思いながら、宇宙飛行士コースとか医療コースとか、起業家コースというのをやっています。

目まぐるしく子どもを取り巻く環境が変わる中で、大人が明確な基準を持ちながら、加点方式で子どもたちの成長をサポートできれば、もっと良い世の中になっていくんじゃないのかなと思います。ちょっと強引にまとめてみましたが(笑)。

最後に、今回の新著『すべての瞬間を生きる PLAY EVERY MOMENT』のご紹介をお願いします。

『すべての瞬間を生きる PLAY EVERY MOMENT』(徳間書店)

森岡さん:私はサッカーを通して多くのことを学んできました。見てもらいたいところはプロになる道筋の中でいろいろなことを感じ、学んできたということ。この「過程」が本当に大事なんじゃないかなと思います。

『すべての瞬間を生きる PLAY EVERY MOMENT』には、自分はもちろん、子どもを持つ保護者として、そして指導者として、一社会人として、いろいろな角度からサッカーと関わってきて、学んできたことを書いています。

何かしらの共感であったり、これって自分たちにも当てはまるなと思ったり、そういう「何か分かるな」というものを感じていただければ嬉しいなと思います。

もし2002年に、同じような世代としてワールドカップを楽しんで見ていた方がいたら、2002年のことも載っていますから、ぜひ手にとっていただけたらと思います。

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