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2022.04.23

「自己有用感」って何?自己肯定感との違いや家庭でできることを紹介

日本には「謙遜する」という文化があり、他人の前で「私はそれほどすごくない」とあえて自分を控えめに評価したり、自分の手柄をアピールしたりするようなことはしないという文化があります。
日本らしい奥ゆかしい文化ともいえますが、一方で、子どもたちの自己肯定感や自己有用感を育みにくくしている原因の一つとしても考えられています。実際、国が行った調査でも世界と比較して日本の子どもたちの自己有用感の低さが指摘されています。
この記事では、自己有用感とはなんなのか、また子どもの自己有用感の育み方について考えていきたいと思います。

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自己肯定感、自己有用感とは何か

自己肯定感とは何か

まずは、自己有用感に似ている言葉、自己肯定感とはなんなのかを確認しましょう。

自己肯定感と似た言葉には、自己存在感、自尊感情などというものがあります。基本的には、これら全てほとんど同じ意味で用いられることが多いようです。意味としては、「自分に対して肯定的な評価を抱いている」ということ。自分のことを前向きに、ポジティブに捉えるということですね。

しかし、これらの言葉の中には自尊心、うぬぼれ、プライドという意味も内包されています。うぬぼれなどは根拠のない自信などを指し、あまりいい意味では使われないことがほとんどではないでしょうか。

自己有用感とは何か

では次に、自己有用感とはなんなのかをみていきましょう。

文部科学省国立教育政策研究所のリーフレットには、他人の役に立った、他人に喜んでもらえたなど、相手の存在なしには生まれてこない感情だと示されています。

例として、足の速いAくんが「クラスで一番足が速いことを認められた」ことへの自信ではなく、「クラスで一番足が速いと認められ、リレーの代表に選ばれたから、みんなの期待に応えられるように頑張りたい」という理由から自分に自信を持つようになる、というようなこと。

誰かの役に立っていると感じることが重要であり、「クラスで一番足が速い」かどうかは重要ではありません。

自己有用感は前述の自己肯定感の内の一つではありますが、他者からの評価、他者から認められることから生まれるものです。「他者からの評価」という根拠のある自己肯定感ということですね。

なぜ自己有用感をもつことが重要なのか?

自己有用感を高めることは、子どもの社会性を高め、「人と関わることが楽しい」「人の役に立ちたい」と思える人間に育つことにつながるのだそうです。そして、他者から評価され、認められたという思い(自己有用感)は、子どもが自分に対して安定した自己肯定感を持つことにつながります。

日本人は、「他者との関係の中での自己」はどんな存在であるかを重要視する傾向があるため、自己肯定感をもつために自己有用感は欠かせないのです。

大人に置き換えてみても、自分で「私は料理が上手だ」というのは照れくさくて言いにくくても、「周りから『料理が上手だね』と言われます」ということは比較的に自信をもって言いやすいのではないでしょうか。

そうすると、誰かに料理を振る舞うことにも自信が出てきたり、さらに相手を喜ばせようと、新メニューにチャレンジしたりするようになるでしょう。そして、それがさらに相手に喜ばれて評価されれば、さらに自己肯定感が高まりますよね。

周りから認められた上で生じる自尊感情である自己有用感は、自分にとって根拠のある自己肯定感となっていくのです。

子どもの自己肯定感に関わる日本の教育の課題

海外との比較

平成26年度に発表された、日本、アメリカ、中国、韓国の高校生への調査では、4カ国の中で日本の高校生がもっとも自己肯定感が低いという結果が出ました。

教育再生実行会議第十次提言本文・参考資料より

彼らが自分のことを客観視できている表れという可能性もあるため、一概に「日本の若者は自己肯定感が低い」とはいえませんが、顕著な差が出ていることは事実です。

この結果を受けて、挑戦心や主張性、そして自己有用感といった意識をバランスよく育むことで、子どもたちの自己肯定感を高めていくことが重要だという考察が発表されました。

自己有用感を高める学校での教育

文部科学省では学校教育の中での「異年齢交流」「異学年交流」が子どもたちの自己有用感を高める機会と捉えて、その活動を生かすことが重要だと示しています。

例えば、縦割り班活動で高学年が低学年のお世話をするという場面。歳下の子のお世話をしたり、何かを教えてあげたりすることで「歳下の子たちの役に立っている」「小さい子に『ありがとう』と言われて嬉しいな」と感じる経験をすることを通して、学校という社会の中の役に立っていることを実感することができます。

そのほか、委員会活動で学校生活をよくするための取組を子ども自身が考え実行し、学校生活全体に貢献するという経験も、自己有用感を高めていく重要な要素です。

自己有用感を育てるために家庭でできること

ここまでで、子どもの自己肯定感を育てるためには、自己有用感は欠かせない自尊感情の一つだということをお伝えしました。

では、家庭としてどのような関わり方をすることで自己有用感を育むことができるかを考えていきたいと思います。

自己有用感を育てる家庭環境とは

では、自己有用感を育むには、具体的にはどのような関わりが必要なのでしょうか。

文部科学省の調査では、「先生がよいところを認めてくれる」と感じている子どもたちの方が「自己有用感」に関する意識が高いことや、「家の人に褒められる」と感じている子どもたちの方が、「自分には自分らしさがある」と思っていることがわかりました。

このことから、家庭でも、子どもが頑張っていることや努力したことをしっかりと認めてあげたり、褒めてあげたりするということが大事なのが分かります。
 
勉強やスポーツなどの習い事はもちろん、自宅でのお手伝いなど、生活の中の何気ないところでも、子どもの頑張りを見取って褒めたり、認めたりすることが重要ということですね。

自己有用感を育てる「認める」言葉がけ

前述の国立教育政策研究所のリーフレットには、子どもを「褒める」だけではなく「認めて」あげることが重要だということが書かれています。

子どもに肯定的な声掛けをする際、褒めることと認めることを明確に分けているでしょうか。「認めてあげようと思って、褒めている」「褒めることは、そのまま認めてあげること」という感覚なのではないでしょうか。リーフレットには、そこに大人と子どもの違いがあると指摘しています。

大人が褒めるときは、大人の水準で判断されており、その水準を満たした、または超えたときに「よく頑張ったね」などと褒めることが多いのではないかと思います。

それに対して、子どもは子どもなりの水準や基準で褒められたいと考えている可能性があります。子どもなりの努力や工夫で頑張ったことを褒められたいのであり、それが仮に大人の考える基準に達していなくても褒めてほしいと考えているのではないでしょうか。

また、大人の考えた水準に到達して 「褒められた」 場合でも、大人の基準とは異なる子どもなりの基準で 「褒めてほしい」 と考えたりすることがあるのです。

逆にいえば、自分がさほど努力もしていないことや、自分の功績ではないことを「よく頑張ったね」 と褒められても、それほど励みにはならないということ。

そのため、子どものことを褒める場合は、どんなところをこだわったのか、どんなことを努力したのかを聞く、もしくはあらかじめ考えさせておくことを欠かさないようにしましょう。子ども本人が頑張ったことに触れて、「こんなふうに頑張ったんだね」と認めてあげることが自己有用感の高まりにつながるのです。

単に褒めただけでは自尊感情は高まっても、自己有用感を育むことにはつながりにくいということを覚えておき、子どもへの声かけの参考とするといいかもしれませんね。

学力や運動能力、さらにはいわゆる非認知能力よりも見えづらい「自己肯定感」「自己有用感」。しかし、子どもたちが将来社会で活躍する大人になるためには欠かせない感情なのではないでしょうか。

それらを育むには、親をはじめとする大人が子どもを認めてあげることが不可欠です。親子の関わりを通して自分に自信をもち、そして人のために力を発揮できる大人に育ってほしいですね。

<参考資料>
国立教育政策研究所「自尊感情」?それとも、「自己有用感」?
国立教育政策研究所「高校生の生活と意識に関する調査」における国際比較
国立教育政策研究所「子どもの社会性が育つ「異年齢の交流活動」」
産業保健新聞「自己肯定感と自己有用感はここが違う!~誰の視点に立つか~」

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