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2022.01.16

「本を読みなさい」と言うより効果的。子どもに読書習慣が身に付く方法

学力向上や情操教育の観点から、子どもに読書習慣を身に付けてほしいと願う親は多いのではないでしょうか。国立青少年教育振興機構が実施した「子どもの生活力に関する実態調査」(平成27年)では、読書をすることが多い子どもほど、コミュニケーションスキルや礼儀・マナースキルが高い傾向にあることがわかっています。

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では、どのようにすれば子どもに読書習慣を付けさせることができるのでしょう?

この記事では、総合教育サービス事業を行う株式会社やる気スイッチグループの「読書に関する親子アンケート調査」の結果をもとに、今どきの子どもの読書量や子どもを読書好きにするコツなどを紹介します。

1週間に何冊?子どもの読書量

自分の子どもと同学年の子が普段どれくらい読書をしているのか、気になりませんか?

PR TIMES

株式会社やる気スイッチグループが、未就学児から高校3年生までの親子に「普段どれくらい読書をしていますか?」と質問した結果が、上の表です。

この表によると、未就学児から高校3年生までの約2人に1人(49.0%)は週に1回以上読書をしています

また、約4人に1人(23.1%)の子どもが毎日読書をしている一方で、1年のうち本を1冊も読まない子どもが約5人に1人(20.7%)いることもわかります。読書習慣のある子とない子の読書量には大きな差があるようですね。

学齢別にみると、「週1回以上読書をする」のは、未就学児(94.4%)、小学1年生(77.8%)、高校2年生(66.6%)の順に多く、反対に、高校3年生(16.7%)・中学3年生(21.3%)・中学1年生(31.1%)の順で読書量が少なくなっています。

未就学児、小学1年生は、まだ保護者からの読み聞かせ習慣がある段階。自ら選んだ本を自分で読むだけではなく、親が選んだ本を読み聞かせしてもらう機会も多いのでしょう。

その一方で、中学3年生、高校3年生は高校受験、大学受験の時期であるため、読書量が減ってしまうのは、ある意味で仕方がないことなのかもしれません。

読書習慣を身に付けさせたいなら、小学3年生がカギ!?

小学校低学年までは親が読み聞かせをしたとしても、ゆくゆくは自分で読む本を選び取り、読書を通じて知識や興味の幅を広げていってほしいもの。

そこでポイントになるのが「9歳(小学3年生)以降の読書習慣」です。

先ほどのグラフの、小学3年生の数値に注目してみてください。読書を「毎日」「週2〜3回」「週末」にする子どもの割合が、明らかに減っていることがわかります。

これは、学校での学習教科が増えることや、部活動・課外活動が活発になること、友達同士の関わりが深まることなどが影響しているためです。

学ぶことが増えて読書時間の確保が難しくなったり、「1人で読書をするよりも、部活をしたり、友達と遊ぶほうが楽しい」という気持ちになるのも、成長したことの証であり、決してネガティブなことではありません。

文部科学省は、学習状況や部活動などの課外活動が広がることを踏まえ、読書能力の発達段階を前読書期(0~3歳)・読書入門期(4~5歳)・初歩読書期(6~8歳)・多読期(9~12歳)・成熟読書期(13歳~)と分類していますが、今回の調査から、「小学3年生以降の多読期に自発的に読書をすることは、読書を習慣づけるポイントになるだろう」とやる気スイッチは分析しています。

また文部科学省も、「子供の読書活動に関する現状と論点」のなかで、「本を読まない高校生には、高校生になるまでに本を読んでいない、あるいは本が好きでない者が一定割合含まれることから、高校生になるまでの間に発達段階に応じて読書習慣を身に付けさせる必要がある」としています。

文部科学省の調査は、主に高校生の読書活動についてまとめられたものなので、9歳(小学3年生)以降の読書習慣が大事であるとまでは述べられていませんが、いずれにせよ、「子どもに読書習慣を身に付けさせたい」と思うのであれば、子どもが小中学生の段階から、親が意識して読書習慣を身に付けさせたほうが良いといえそうです。

子どもの読書習慣の付け方とは

では、どうすれば子どもの読書習慣は身に付くのでしょう?

平成28年度 子供の読書活動の推進等に関する調査研究」によると、小学生が読書をするきっかけとなるのは「家族が一緒に本を読んだり図書館や本屋に連れて行ってくれたりすること」がもっとも多く51.1%、「家の中で手に取りやすいところに本が置かれていること」が次いで43.6%となっています。

この結果は、「読書習慣がない親よりも、読書習慣がある親に育てられたほうが、子どもに読書習慣が身に付きやすい」ということを明確に示しています。

また同時に、子どもに読書習慣を身に付けさせる方法としてもっとも有効なのは、「読書をすることが当たり前の家庭環境をつくる」ことだということを教えてくれます。

「本を読みなさい」と言われるよりも、いろいろな本が家に置いてあったり、家族で書店や図書館などに行く習慣があったりするほうが、子どもは読書習慣を身に付けやすいようです。

親の読書習慣が子どもの学習習慣にもつながる

「子どもに読書習慣を付けさせたい」と思っているみなさんご自身に、読書の習慣はありますか?

やる気スイッチグループが保護者自身の読書習慣について尋ねたところ、週1回以上読書をしているという保護者の割合は31.5%で、なんと子どもより17.5%も低い結果だったそうです。

もし保護者自身に本を読む習慣がないのであれば、まずは保護者自ら本を読み、知的好奇心を満たそうとする姿を示すことが、子どもたちの「本を読もう」という気持ちを高めることになるでしょう。

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また、やる気スイッチグループの調査では、「勉強しなさいと言う親ほど、読書習慣がない」という興味深い結果が出ています。

「勉強しなさい」と口うるさく言う親が、リビングでテレビを見ていたりスマホをいじったりしているような環境下では、子どもが「どうして自分だけ…」という気持ちになってしまうのは仕方のないことです。

子どもに求めるのであれば、まずは自分自身から。子どもに「こうあってほしい」と願う姿を、親が背中で示すことが大切なのかもしれませんね。

読書をすることで得られる効果・メリット

最後に、「なぜ本を読んだほうがいいの?」とお子さんに質問されたときのために、読書をすることで得られる効果やメリットについて確認しておきましょう。

冒頭で、「読書をすることが多い子どもほど、コミュニケーションスキルや礼儀・マナースキルが高い傾向にある」という調査結果があることをお伝えしました。

それ以外にも、読解力や想像力、思考力、表現力等を養うとともに、多くの知識を得たり、多様な文化を理解したりすることができるようになるなど、読書にはさまざまな効果・メリットがあるとやる気スイッチはいいます。

ここで、「うちの子は漫画や図鑑しか読まない」「もっと知識や教養が身に付く本を読んでほしい」と思われている保護者のかたにお伝えしたいことがあります。

「読書」というと、文学作品を読むことだと考えがちですが、図鑑や新聞などを読むことも読書のうちに含まれ、子どもの探究心を育むことが、文部科学省の「子どもの読書活動の推進に関する有識者会議」において示されています。同様に、漫画を読むことも、想像力や語彙力の向上につながるといえるでしょう。

子どもに聞いた「これまでに読んで“やる気”が入った本」の調査結果を見ると、「漫画・コミック」「TV・アニメ関連」が半数を占めています。

人や自分のやる気を引き出すことは、そう簡単なことではありません。そのような精神的な刺激がもらえることも、漫画に限らず読書の大きなメリットといえるのではないでしょうか。

このように、子どもの行動の大きな原動力となってくれるという側面から見ても、読書習慣があることは教育上たいへん意義のあることです。

一朝一夕で子ども読書習慣を身に付けることは難しいかもしれませんが、まずは漫画、好きな映画の原作、エッセイなど読みやすいものから、子どもにおすすめしてみるのもいいかもしれません。

また何よりも、親が本を読んで新しい知識を吸収する姿は、子どもにとって大きな刺激となるはずです。

もし今、自分自身に本を読む習慣がないと思われているのであれば、週に数回、テレビを消して静かな環境のなかで親自身が本を読む時間を持ってみてはいかがでしょうか?

<参考資料>
株式会社やる気スイッチグループ「子どもに「勉強しなさい」と言う親ほど読書をしていない!?~やる気スイッチグループ 読書に関する親子アンケート調査」

国立青少年教育振興機構「子どもの生活力に関する実態調査」
文部科学省生涯学習政策局青少年教育課「子供の読書活動に関する現状と論点」
文部科学省「子供の読書活動推進に関する有識者会議 論点まとめ」
平成 28 年度 文部科学省委託調査「子供の読書活動の推進等に関する調査研究 報告書概要版」

<構成:ソクラテスのたまご編集部 執筆:マサキヨウコ>

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