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2021.03.23

今日から実践! 子どもが“読書好き”になる10の方法

「わが子に本をたくさん読んでもらいたい」「読書好きになってもらいたい」「読書を通して賢くなってもらいたい」と考える親は、多いのではないでしょうか。今回は、家庭でできる子どもが“読書好き”になる10のテクニックを紹介。現役教師の須貝 誠さんに解説してもらいます。

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“読書好き”と“読書嫌い”が分かれるのはなぜ?

子どもを“読書好き”にする方法を紹介する前に、なぜ読書が好きな子と読書が嫌いな子がいるのでしょうか。実際に小学生の子どもたちに読書の好き嫌いの理由について聞いてみると、以下の回答が得られました。

【読書が嫌いな子】

  • 文字が多くて嫌になる
  • 漢字が読めない

【読書が好きな子】

  • たくさんの種類の本があるから楽しい
  • 知らなかった漢字を知ることができる
  • 話の続きを読んでいるうちに、どんどん知りたくなるから
  • 絵が面白いから
  • 主人公と同じ気持ちになってドキドキするから
  • 普段とは違う空想の世界に行けるから
  • 繰り返して、何度も読むことができるから
  • タイトルが面白いから

子どもを読書好きにするには、“嫌い”という理由に合わせた手立てが効果的だと考えられます。

子どもが読書に興味を持つには?

読書好きの子の回答から見ても、読書好きになるには読書の楽しさや面白さを実感することが必要です。

読書が好きだという子の中には「いろんな種類の本があるから」という子がいます。子どもを読書好きにするには、最初から文字ばかりの本を読ませようとしなくてもいいのです。「本は文字が多くて嫌だ」という子には、絵本や漫画などから入るのが良いでしょう。

本には漫画・雑誌・図鑑・絵本・現代小説・歴史時代小説・辞典・図鑑・百科事典など、さまざまな種類があります。

『心を育てる家庭学習法』(向山洋一著)の中には、

  • 「子どもに本を選ばせる時には、親の興味で与えない。子どもの好きな本を選ばせることが大切だ」
  • 「ジャンルにもこだわらないこと」

とあります。

親の興味で本を与えてしまうと、子どもは義務(仕方なく)でしか読まなくなり、読書好きにつなげることはできません。ジャンルにこだわらず、最初はどんな本から読んでもいいのです。

かくいう私も、小学生のときは読書嫌いな子どもでした。音読も苦手だし、本を読んでもイメージが湧きませんでした。そんな私が本を読むきっかけとなったのが、漫画。 

漫画には、文字だけでなく“絵”もあるので読めるのです。イメージができるので、話の内容も理解できました。当時、私が読んでいたのは『ドラえもん』『オバケのQ太郎』『ブラックジャック』など。笑える場面も多くあり、漫画を読むことが好きになりました。漫画に興味が出てくると、その漫画を書いた作者のことを知りたくなり『トキワ荘青春日記』(藤子不二雄著)を読んだのです。ほとんど文字だけの本でしたが、この頃から文字の多い本も読むようになっていきました。

私の経験からいっても、最初はどんな本から入ってもいいと思うのです。

学校では、朝に“読書の時間”を設けていることが多くあります。このときに読む本は“何でもいい”としている学校もあります。物語を読んでいる子もいれば、図鑑をめくっている子もいる。これでいいのです。好きなものから入り、読書へのきっかけを作ることが大切です。

読書好きにするには、たくさん本を与えることが必要と考える人は多いでしょう。しかし、読書の楽しさ・面白さを実感させるためには、必ずしも本が“導入”である必要はないのです。本と関係のないところから入っても構いません。

例えば、読者のお子さんたちが通う学校で“読み聞かせ”の時間を設けているところがあるのではないでしょうか。読み手は、保護者や地域の人など。「読み聞かせをしてくれる人に会いたい」ということがきっかけで、読書好きになることがあるかもしれません。会話の中で「こんな本も面白いよ」と薦められて読んでみたくなることがあるかもしれません。

次章では実際にどのようにして子どもを読書好きにするのか、家庭でできる実践法を紹介しましょう。

親ができる“子どもを読書好きにする”方法

①読み聞かせ

読み聞かせは、子どもを読書好きにするための方法としてよく知られていますよね。「今まで読み聞かせをしていなかったのなら、読み聞かせをするだけでも十分」という人もいます。

『どんな子だって勉強できる子になれる!』『心を育てる家庭学習法』(向山洋一著)では、

「読み聞かせの良い所は、母親が本を読んであげるリズムや口調になれると子どもが本の内容をイメージしやすい。その世界に入りやすくて、子どもが自分で読むきっかけになる。最初は親が自転車の後ろを押してあげる。これが“読み聞かせ”だ」

とあります。

「読み聞かせは、子どもが嫌がるまで続けるといい」とも書かれています。子どもが読み聞かせに飽きてきた頃には、子ども自身で読めるようになったというサインかもしれません。 

「読み聞かせ」には、さまざまな方法があります。

  1. 続きものにする
    一冊を一気に読まない方法です。子どもが続きを知りたくなるところでやめます。翌日、続きを読み聞かせます。

    小学校で『ツキを呼ぶ魔法の言葉』(五日市剛著)を3回に分けて読み聞かせたことがあります。途中でやめると、子どもたちから「え~!」と声が上がります。これは、続きを知りたいことの現れ。続きを知りたがることが、読書好きにつながることもあるでしょう。

  2. 読み聞かせしてもらう
    “親から子に”ではなく、子どもに読み聞かせをしてもらいます。『子どもを読書好きにするために親ができること』(白坂洋一著)では、「家事などで手が離せないときにしてもらうといい」と書かれています。

    子どもが親に読み聞かせをすることで、登場人物になりきって読むなどの工夫することもあるでしょう。子どもが読み聞かせの楽しさや面白さに気付くことが、読書好きになるきっかけになることもあります。

  3. アニマシオン
    読み聞かせとは少し違うかもしれませんが、「読書アニマシオン」という方法があります。スペインが発祥の方法で、読書を楽しむためのゲームのようなものです。いくつか紹介します。全てに取り組むのではなく、「やってみよう」と思えるものだけを選んで試してみてもいいですよ。

    <間違い読み>
    一度、全部読み聞かせた後、わざと間違えて読みます。どこが間違っているかを、子どもに当てさせます。

    <役割読み>
    親子で、登場人物を分担して読む方法です。

    <セリフ当てクイズ>
    一度、読み終わった後で「これは誰のセリフだった?」と聞き、本の内容を思い出させます。

    <挿絵の並べ替え>
    挿絵を作って、ばらばらにしたものを物語の順番に並べてもらう方法です。

②親が本を読む姿を見せる

「子どもは親のかがみ」「子どもは親を見て育つ」といわれます。「本を読みなさい」と子どもに言うより、親が本を読んでいる姿を見せる方が効果的です。

先述したように、今の学校には「朝読書」を設ける学校が多くあります。学校によっては、その時間は先生も一緒に読みます。その時間、「先生はテストの丸付けなど“内職”してはいけない」「子どもと一緒に読書しないといけない」という学校もあります。

親や先生が本を読んでいる姿を見せることで、子どもは「どんな本を読んでいるんだろう?」と気になることもあるでしょう。そこから、読書に興味を持つことも十分にあり得るのです。

休日には、子どもと一緒に図書館や書店に行ってみるのも良いでしょう。親子で一日過ごしてみるのもいいかもしれません。大型書店の中には、喫茶店が併設されているところもあります。そこで親子で読書してみるのも、子どもにとって良い体験、読書へのきっかけとなるかもしれません。

③子ども専用の本棚を作る

『子どもを読書好きにするために親ができること』(白坂洋一著)の中で、「読書に興味を持ってもらうための環境を整えることが大事」だと述べられています。読書に興味を持てる環境もまた、読書好きを育てることにつながります。

同書には子どもの机のそば、子どもがすぐに手を伸ばせる所に子ども専用の本棚を作ると良いとも書かれています。本棚には、子ども自身が選んだ本を並べます。自分で選んだ興味のある本ですから、読書しやすい環境ができます。

また、時には「この本を読んでもらいたいなあ」と親が思った本を置いてみるのも良いでしょう。子どもは「何だろう、この本?」と手に取ってみるかもしれません。ただし、強制はしないこと。「読んでくれたらラッキー」くらいに思っていたほうが良いでしょう。強制したことで、かえって読書嫌いになってしまったら逆効果です。

④子どもがよく目にする所に目立つように本を置く

専用の本棚と似たような方法として“子どもの目の付きやすい所に本を置く”ということも、読書好きを育てる環境の一つになります。

書店では、“面陳列”といって本の表紙がよく見えるように並べられている本があります。学校では、子どもが本の内容を紹介したカードと一緒に表紙やページを開いて置くこともあります。

家庭でも、子どもがよく目にする所に目立つように置いてみるもの良いでしょう。例えば“テレビのそばに百科事典を置く”、“リビングやベッドのそばに置く”などが考えられます。

読書好きの子どもに育てるには、読書をしたくなる環境を作ることも大切なのです。

⑤アニメ・ドラマ・映画になった原作本を読書のきっかけにする

アニメ・ドラマ・映画化された原作本から入っても良いのです。アニメ・ドラマ・映画を子どもが見た後であれば、文字だけの本を読んでもイメージがしやすくなります。

原作は、映像とは違ったストーリーであることもあります。映像と原作本に違いがあることを知れば、どこが同じでどこが違うかと興味を持って読み進めていくことができるでしょう。

今では、多くの本がアニメ・ドラマ・映画化されています。逆に、アニメ・ドラマ・映画を本にしたものも多くあります。このような導入の仕方で、読書好きにする方法もあるのです。

⑥どんな本を選んでもいい!

子どもに本を選ばせる時、「どんな本を読んでもいい」と伝えましょう。先述したように、漫画でも良いのです。

学校の図書室には、漫画を置いていることも多いでしょう。手塚治虫の『火の鳥』『ブラックジャック』などは、学校の図書室によく置いてあります。美内すすえの漫画『ガラスの仮面』は、“教師の必読書”だという人もいます。

最近では、小説の漫画化もよく見かけます。夏目漱石の『こころ』、太宰治の『人間失格』など、有名な文豪たちが書いた小説が漫画になっているのです。文字ばかりで読むのが苦手という子どもには、このような漫画を選ばせても良いでしょう。

本のチョイスに決まりはありません。本の見た目やタイトルのイメージで選んでも良いのです。ぱっと見て「面白そう」という直感、これだけの理由で選んでも構いません。

子どもが興味のある分野の本でも良いでしょう。おしゃれに興味があれば衣服の本、スポーツに興味があればスポーツの本、習い事に関係のある本でもOK。

まずは、子どもが読書好きになるきっかけをつくることが大切なのです。

⑦親が本をプレゼントする、紹介する

子どもに本を選ばせることが大切なのは分かったけれど、「この本を読んでほしい」という思いがある親も少なくないでしょう

そんなときには、子どもの誕生日やクリスマスなどに本をプレゼントします。プレゼントはやはり、うれしいもの。本嫌いな子どもでも、パラパラとめくってみるかもしれません。

また、テーマを決めて読ませるのも良いでしょう。私も学校で実践することがあります。「今日は5分間、物語を読もう」などとしていました。

家庭では、「マンガを30分読んだら、この本を5分だけでいいから読んでごらん」「読んだら話して聞かせて」と伝えておきます。子どもは話すために一生懸命、読むでしょう。読めたら、「よく読めたね」と褒めることも忘れないでくださいね。

何分読むかはそれぞれの家庭の事情、子どもの性格に合わせて設定しましょう。

⑧途中から読んでも、途中でやめてもいい!

学校で子どもにテストをさせると、一番から順番に解いていこうとする子どもがいます。私は「順番通りに解かなくても、分かるところから答えていけばいいんだよ」と声を掛けます。

読書も、同じなのです。1ページ目から読まなくてもOK。読書の場合、「最初から読まないと意味が分からないのでは?」と思う人はいるでしょう。けれど、それでも構わないのです。意味が分からなければ、戻って読めばいいのですから。

読書は、国語の授業ではありません。いつ読んでも、どこを読んでも、いつやめてもいいのです。子どもの好きなように、自由に読ませてあげることも大切です。好きなように読めることで、読書の楽しさを知る子どももいるでしょう。

⑨本を読んでいることを褒める

子どもが本を読んでいたら、褒めましょう。「ひとりで本読んでるの? すごいね」などと、褒めることが大切です。褒められた子どもは、「もっと本を読もう」という気持ちになるものです。

中には、同じ本を繰り返し読んでいる子どももいるでしょう。「もっと違う本も読んでほしい」と思うかもしれませんが、子どもは本の内容を知っていて“楽しい”ことが分かっているから読みたくなるのです。同じ本を読んでいても、褒めてあげましょう。

逆に、子どもに言ってはいけないNGワードがあります。『子どもを読書好きにするために親ができること』(白坂洋一著)中で「いいかげん、本の一冊でも読んだらどうなの」「本を読まないと勉強できなくなるよ」という言葉はNGと書かれています。

こういったNGワードを投げかけては、義務で仕方なく読むことになってしまう可能性があります。一切、読まなくなってしまう、本が嫌いになってしまうこともあるので気をつけたいところです。

⑩子どもが話す本の話に耳を傾ける

子どもが本を読むようになってきたら、子どもが話す本の話に耳を傾けてあげましょう。親が一緒に喜んであげることで、読書好きになるきっかけができます。子どもは「もっと話を聞いてほしい」という思いから、どんどん読み進めることでしょう。

時間があれば、親も子どもと同じ本を読んでその本について会話ができるといいですね。

子どもを読書好きにする10の方法は、どれも特別なことではありません。ちょっとした時間でできることです。全て取り組むのも良いですが、この中のどれかひとつで試してみても良いのです。

特に、読み聞かせの経験が少ないのであれば、初めは読み聞かせだけでも十分ともいわれています。大切なのは、読書に親しむきっかけをつくってあげること。無理せず気長に、できることから取り組んでみましょう。

読み聞かせで人気のある本32選!

読み聞かせは、読書好きの子を育てるためには欠かせません。文部科学省の平成30年度「子どもの読書活動推進計画に関する調査研究」報告では、「子どもの学年が上がるにつれて、読み聞かせをする家庭の割合は減ってくるが、中・高学年まで読み聞かせをしていた子どもほど、本を読んでいない子どもの割合が低い」とあります。

読み聞かせは、幼児や小学校低学年の子はもちろん、中学年・高学年であっても効果があるということです。

最後に、私が小学校の低学年に読み聞かせをして人気のあった絵本を紹介しましょう。全部を読み聞かせる必要はありません。わが子が興味を持ちそうなものを選んで読んであげてくださいね。

なお、以下の本は小学校教師として私が選んだ本です。幼児向けの本もありますが、小学生に読み聞かせても大丈夫。実際、私は小学2年生の子どもたちに幼児向けの本を読み聞かせ、大喜びしてもらえました。読み聞かせた幼児向けの本を、自分一人で読み始めた2年生もいました。

『ツキを呼ぶ魔法の言葉』(五日市 剛著)は子ども向けに書かれた絵本ですが、大人が読んでも役に立つ本です。どの学年の子にも読み聞かせできます。

~参考文献~

  • さやま しょうこ著『学校では教えてくれない大切なこと22 本が好きになる』旺文社
  • 白坂洋一著『子どもを読書好きにするために親ができること』小学館
  • 向山洋一著『どんな子だって勉強できる子になれる!』PHP文庫
  • 向山洋一著『心を育てる家庭学習法』主婦の友社 
  • 江川ひろし著『成績がどんどん伸びる1分間刺激会話法』青春出版社

須貝 誠さん著書『5年目までに身につけておきたい! 若手教師の働き方』(東洋館出版社)

「教師は忙しすぎる」といわれる今の時代。仕事の質を落とさず効率を上げるためには、他律的で非効率な「がんばり」から自律的で効率的な「がんばり」を重視する考え方にシフトする必要があるそう。教師が伝えたい、教師のための本。須貝さんの思いが詰まっています。

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須貝 誠

東京都小学校準常勤講師・塾講師・ライター。30校以上の教育現場で教えてきた経験があり、進学塾では主に国語を担当。教師が集まる民間教育団体であるTOSS相模原・和(のどか)会員として指導法を学んでいる。https://www.toss.or.jp/

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