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2020.10.15

小学生の恋愛|彼氏・彼女ができたとき親が気を付けることは?付き合うって何をするの?

小学校高学年生の娘、息子に恋人ができたみたい!そんなとき、親としてどう思いますか? 微笑ましく感じる反面、相手はどんな子なんだろう? 性教育はどうしよう?と不安を感じる人もいるのではないでしょうか。そんな親のモヤモヤを解決すべく、家庭教育師の藤田郁子さんに小学生の恋愛についてアドバイスをもらいました。

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10人に1人以上が小学生の間に恋人ができる!?

親世代が小学生の時代にも「A君とBちゃんは付き合ってる」という話はあったのではないでしょうか。それから時は経ち、当時の子どもたちよりもずいぶん大人っぽく見える現代の小学生たちの恋愛事情はどうなっているのでしょうか?

(引用元:10代女子の恋愛観についてアンケート。約9割が「告白されたい」と回答|マイナビティーンズラボ)

2017年にマイナビティーンズラボが581人の10代の女の子を対象に行った調査によると約15%の女の子が小学校高学年の間に彼氏ができていたよう。1クラスで2~3人の子には恋人がいることになります。

小学生の恋人たちは何をするの?

では、小学生同士が“付き合う”とどんなことをするのでしょう。そこで、実際に彼氏がいるという小学生の女の子に「彼氏とどんなことをするの?」と聞いてみたところ…。

一緒に帰ったり、オンラインで一緒にゲームをしたり、公園で遊んだり。休み時間に目が合ったときに指でハートマークを送ってきたときは恥ずかしかった!(小4女子)

私の家で一緒に宿題をしたり、好きなマンガの話をしたり。手をつないだり、距離が近づいたりするのはちょっとイヤ。バレンタインにチョコはあげるつもり(小4女子)

お母さんのスマホでLINEを送りあったり、一緒に帰ったりぐらい。誕生日にプレゼントをくれてうれしかった。(小5女子)

これはあくまで個人の意見なので小学生のカップルがみんなそうとは限りません。大人にすべてを話すかどうかは分かりませんが、彼女たちからは性的な話は出てきませんでした。

一方、彼女たちの保護者は何を思っているのでしょうか。次からは、わが子に恋人ができたという保護者から寄せられた悩みや不安を紹介。家庭教育師の藤田郁子さんにアドバイスをもらいました。

藤田郁子さん家庭教育師

1961年、神戸市生まれ。日本家庭教育学会認定の家庭教育師。幼児生活団の指導者・保育士・健康体操インストラクターなどの経験があり、1991年に公益社団法人スコーレ家庭教育振興協会に入会。日本家庭教育学会第24回大会(2009年)、同32回大会(2017年)では、研究論文を発表したほか、ゲームなど、身体から心の交流をはかる「ふれあいトレーニング」や「キッズ保育者研修」のトレーナーとして活躍中。スコーレ協会の首都圏北地区のリーダーも務めている。

相談①|悪い影響を受けたり危険な目に合わないか心配

<相談①>
娘の彼氏がどういう子なのか気になります。まだ正しい判断ができない年齢だからこそ、何か悪い影響を受けたり、危険なところに誘われてしまうことがないように親がサポートしたほうがいいと思いますが、どう話せばいいか迷っています。(小5女子の母)

「まず、日頃から恋愛について話しやすくする事は大事だろうと思います。たとえば、恋愛ドラマを見ているときに『こんなの憧れるよね~』とお母さんから話したり、彼氏や恋愛に憧れている気配がしたら『好きな人ができるってことはいいことだよ』『彼氏が出来たら連れておいで』とか『応援するから好きな人ができたら教えてね』と軽い感じで話しておくんです」(藤田さん、以下略)

お母さんは“自分の恋愛を応援してくれている”という感覚をもたせることは、いざ彼氏ができたときにふたりの状況を知るためにとても大切なことのよう。

「恋愛について話しづらい雰囲気だと、結局、子どもは隠すようになってしまうのですよね。隠されてしまうと、悪い影響や危険なことを避ける機会を失ってしまいます」

恋愛に対する男女の違いを話すことも必要

大事なこととは、男女の性の違いについてのことをも含まれます。いざ、娘から「彼氏ができた」という話があったら、「よかったね!」と娘の気持ちに寄り添いながら「でも、お母さんからも大切なことを話していいかな?」と、保護者の思いを伝えてみては?と藤田さんは続けます。

「男女の違いについてどこまで話すのかはご家庭の判断によりますが、以前、私が中学校の養護教員の方から聞いた話では、キスに興味がある女の子が自分から彼氏にキスをしたら、彼女はキスだけと思っていたのに彼氏が止まらなくなってしまいそのまま性行為をしてしまった子たちがいると聞いたことがあります。

これは、どちらが悪いという話ではなく恋愛に対する男女の違いですね。ただ、男の子がその気になってしまったら女の子の力では止められない可能性があることを話しておくことも必要なことかもしれません。

ここまで具体的な話はしなくても『もし、あなたがなんとなく『えー?』って感じる事があったらはっきり伝えた方がいいよ。何かあったらお母さんに相談してね』ということは話しておいたほうがいいのではないでしょうか」

「“小学生だから性教育はまだ早いだろう”と侮ってはいけないのでは?」と話す藤田さん。「性的な進展もあることを想定内に考えて親子で具体的な相談やアドバイスが出来る親子関係なら心配はないと思います」 

<藤田さんからのアドバイス>
恋愛について話しやすい親子関係をつくり、何かあれば子どもが相談できる存在になっておくこと。

相談②|性的なことを求められた娘が断れるのか心配

<相談②>
小学生高学年の男子は性に対して興味を出ているもの。ですが、もし性的な何かを求められた場合、娘に正しい判断ができるとは思えません…。心に傷が残ることのないようにするためにはどうすればいいでしょうか。(小6女子の父)

具体的な対応策として「二人きりの空間を作らない」ということを提案する藤田さん。

「もし、彼氏とふたりで子ども部屋にいるとしてもドアは開けておいてもらうようにしましょう。『密室にふたりきりになってしまうと心配』『監視したいというわけではなくて、なんとなくドキドキするムードになっちゃうこともあるからドア開けていて欲しいな』と伝えてください。

また、このような注意をすると、親は自分たちの恋愛を悪いことと思っているのではないかな、と思う子もいるかもしれません。

「そんなときは『ムードに流されてしまって後悔したり、あなたや彼に傷ついたりしてほしくない。あなたが子どもだから言うのではなく、あなたにいい恋愛をしてほしいと思っているよ』と応援している姿勢を言葉で伝えてもいいですね

ドアは全開でなくてもOK。密室にならないことで効果はありそうです。

夫婦で連携して心配しているお父さんの思いを伝えて

お父さんからの相談という点にも着目する藤田さん。

「お父さんから彼氏のことに口を出すことが難しければ、夫婦で連携してお母さんから伝えてもらうのもいいですね。『お父さんは自分では言えないけどすごく心配しているよ』ということをお母さんからうまく伝えてもらうのもいいかもしれません。

親が自分のことを本当に大事に思っていることが伝わっていると、いざというときに親の顔がパッと浮かぶんです。『親に叱られる』と思うのではなく、『親が悲しむ』『親が泣く』と思うことがブレーキになるはずです。

親が自分のことを大事に思い、心配してくれている。そして、いい恋愛をして欲しいって願ってくれていることは、 小学生からしっかりと伝えていいと思います」

<藤田さんからのアドバイス>
いい恋愛をしてもらいたいから、いいムードを作らないことが必要と子どもに伝える。親が子を大事に思う気持ちが子ども危険から救うことがある。

相談③|息子の彼女に悪い評判があり、交際を辞めさせたい

<相談③>
息子(小学6年生)の彼女があまり感じの良い子ではなく、良い噂を聞きません。せいぜい一緒に帰るくらいの付き合いだと思いますが、親として応援する気になれません。正直、付き合いを辞めさせたいのですが、どうしたらよいでしょうか。(小6男子の母)

「わが子のことでも人の恋愛に口を挟むのは基本的にやめましょう反対するのはもってのほか。『その子はやめておきなさい』なんて言うと反抗心が芽生えて逆に二人の恋が燃上がっちゃいますよ」

障害があると恋に執着してしまうのは大人も子どもも同じこと。

「子どもが成長する過程には、親からすると『え?そんな子を好きなの?』と思う時期があるものです。ですからあまり心配しないで『今はああいう子が好きなんだ』と見守っておくのがいいですよ。

自分と違うタイプの人に憧れることはよくあることです。でも、付き合っても長続きしないことが多いのですよね。そういう風に“合わない”ということを体験するのもいい経験だと思いませんか」

噂に惑わされずリアルな二人を知ろうとする

では、親としては黙って見守るしかないのでしょうか?

「まず、噂に流されるのではなく、お母さん自身が相手の子のことを知ってみてはいかがでしょう。『どんな子なの?』『家に連れておいで』と声をかけてみてください。

ふたりのことを知るうちに、恋愛のパワーバランスも分かるし、息子がどんな風に人を見ているのかということも分かると思います。否定はせずにリアルなふたりの恋について知るようにしましょう。

逆に『あの子の悪い噂を聞いたのだけど…』なんて言ったら、『お母さんは僕のことより、世間の噂を信用するんだ』と子どもは思います。彼女を否定することは、彼女を選んだ息子のことも否定することになるのを忘れないでくださいね」

決して否定はせず、2人を見守ることで母と息子のいい関係ができていれば、もし、息子自身が彼女に対して疑問を感じたときに相談をしてくれるかもしれません。

「大人でも『このまま、この人と付き合ってもいいのかな』と思うときがあるじゃないですか。そのとき、『ほらね、だから言ったでしょう』という人には相談しないですよね。だから、相手が気に入らなくても聞く耳はもつこと。子どもが相談したくなる関係は作っておきましょう」

<藤田さんからのアドバイス>
反対するのは逆効果。噂ではなくリアルな2人を知ろうとすることで、息子が迷ったときに相談できる存在になれる。

相談④|娘と彼氏のLINEを盗み見するのはやっぱりダメ?

<相談④>
始めて彼氏ができた小学6年の娘が、ずっとスマホを手放さずLINEでやりとりをしています。子どもには「プライバシーを尊重したいからスマホのチェックはしないけど、節度のある使い方をするように」と話していたのですが、どんなやり取りをしているのか気になります。スマホをこっそりチェックしたいのですが…。(小6女子の母)

「親子といえどもプライバシーがあるので見るのはダメですね。というか、見ない方がいい。こっそりチェックしていいお母さんは、見ても心が右往左往しない人。

例えば、『この前キスしたよね』と書いてあっても『もうそういうところまでいってるのね。気をつけて見ないと』ぐらいの反応しかしないお母さんならいいですが、問い詰めたくなるお母さんは盗み見したのがバレてしまうので見ない方がいい

LINEの内容にショック、娘に『こっそり見るなんて最低』と言われてショック、自分の注意も娘に聞き入れてもらえずショックのトリプルショックになりますよ」

また、親が彼とのLINEを反対しているような行動をすると親から隠れてLINEをするようになり、今後恋愛関連の話題から親をシャットダウンするようになってしまう可能性もあります。

もし、LINEの内容で不安に感じるようなことがあるなら、“いい意味”で気になっているスタンスで声をかけることを藤田さんは推奨します。

「『お母さんの時代にはLINEなんてなかったから、今どきのカップルがどんなLINEするのか教えて?』と好奇心や軽い気持ちで聞いている風にするのです。

娘さんは『いやだよ~』と言うかもしれませんが『えー、だって楽しそうだもの。教えてよ~』とまたまた軽く返していると、もしかすると『じゃあ、ちょっとだけ』と言って見せてくれることがあるかもしれないし、『彼マメなんだよね』とポロっと2人のことをもらすかもしれません。

LINEについて話すとしても、『お母さんは応援している』という姿勢を崩さないことが大切ですよ」

気になるのはLINEの内容かスマホの使用時間の長さか

「ただ、相談内容を読ませていただき、相談者の方が気になっているのはもしかするとLINEの内容ではなく、スマホを手放さずLINEを送り続けていることのなのかもしれません。

その場合、“相手が彼氏だから”ではなくスマホの使い方が気になっているということを伝えましょう。

頭ごなしに『何時間やってるの!』と言ってしまうと娘さんも素直に話を聞けません。『LINEをするのも楽しそうでいいね。好きな人とやり取りするのって楽しいよね。でも、もう●時間やっているよ(●時だよ)。そろそろやめたほうがいいんじゃない?』と彼氏とLINEをすること自体は否定せずに注意をしてみてはどうでしょうか。

『彼氏が出来たことはいいのだけど、スマホの使い方やルールをもう一度思い出そうよ』と恋愛ではなくスマホの使い方について娘さんと話し合ってみてくださいね」

スマホではなく娘さん自身を見るようにしましょう

最後に、彼氏との関係に不安があるなら「スマホを見るよりも大切なことがある」と藤田さん。

「スマホを頼るのでなくしっかり娘さん自身を見て『今この子はどういう状態なんだろう』というのをきちんと見る方が大事。毎日、しっかり見ていればスマホを見なくてもウソをついたり、隠し事をしたりしていることを察することができると思います。

そのとき、『ウソついてるでしょ!』『何やってるの!』ではなく『何かあったら相談してね。お母さんがあなたを守るから』ということを伝えること。思春期の子には、北風ではなく太陽となって接したほうがいいと思いますよ」

親が北風になると子どもは心の内を見せなくなります。そして、「私を理解してくれるのは彼だけ」と彼氏に依存してしまい、いくところまでいってしまう可能性もあるそう。

わが子に心配なことが起きたとき、反射的に問い詰めるような言い方をしてしまう人はいませんか? 気を付けたいものですね。

<藤田さんからのアドバイス>
動揺するならLINEチェックはしないこと。スマホよりも子ども自身をよく見て、変化を察したときに手を差し出すようにしましょう。長時間のスマホが気になるなら、恋愛を否定せずに使い方のルールについて話し合おう!

相談⑤|彼氏がいないことに劣等感を感じる娘に話すべきことは?

最近、娘の友達に彼氏ができたようで、娘がとてもうらやましがっています。「私も彼氏が欲しい」と思っていると同時に「私には彼氏がいないから○○(友達)よりダメだ」と自分を卑下するようになりました。無理して作るものではないし「いずれ素敵な人が現れるよ」と声をかけていますが…。(小6女子の母)

友達に彼氏ができる寂しさや恋愛に憧れる気持ちは、多くのお母さんが共感できるのではないでしょうか。ただ、恋愛はどちらか一方が選ぶものではなくお互いが好きになって成立するもの。わが子には本当に好きな人といい恋愛をして欲しいから焦らないで欲しいと伝えたいですよね。

「私なら『今、焦って恋愛ごっこをするよりも本当に好きな人ができて、心から楽しいと思えることをしたほうがいいんじゃない』と言うかもしれませんね。

“友達に彼氏ができたら私も”と焦って誰かを見つけて付き合っても本当に好きじゃなかったら“恋愛ごっこ”にしかならないと思います。

『友達がデートしたから私も。キスしたから私も。といろいろなことをして本当に楽しいと思う? それがあなたにとって初めての恋愛になってしまったら悲しくない?』と話してみます」

お母さん自身が自分の過去の初恋や初めて付き合った人との思い出を話すのもよいそう。

「お母さんの恋愛話を聞きたくなる年代でもあります。話せることだけでいいので『初めて付き合ったときのことは、今思い出してもいい恋愛したなって思うよ。人を好きになることは素敵なことだよね』と。

そして『本当に好きで彼氏彼女になれてうれしいという体験をお母さんはして欲しい』と伝えてみてはいかがでしょうか」

<藤田さんからのアドバイス>
子どもの気持ちに寄り添いながらも卑下する必要はないこと、本当に好きな人ができたときにいい恋愛をして欲しいという思いを伝えてみては?

今回の相談を通して繰り返し藤田さんから挙げられたのは、わが子の恋愛(彼氏・彼女)を否定せず、応援する姿勢で話しやすい親子関係を作ることでした。

親に話しにくければ、子どもは隠すようになり、子どもと恋人の間に何が起きているのか分かりません。そして、いざというときに不安を打ち明け、相談する相手が親ではなくなってしまいます。

「あなた(子ども)を大切に思っている」という親心を伝えながら、子どものヘルプを逃さない親でいられたらいいですね。


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浜田彩

エディター、ライター、環境アレルギーアドバイザー。新聞社勤務を経て、女性のライフスタイルや医療、金融、教育、福祉関連の書籍・雑誌・Webサイト記事の編集・執筆を手掛ける。プライベートでは2児の母。

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