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2020.09.03

【ヤゴの育て方】トンボまで育てるコツを昆虫ハンター/牧田習が教えます!

昆虫ハンター・牧田 習さん連載「好きが仕事になりました」。第6回目となる今回は、トンボの幼虫・ヤゴの飼い方。水生で池や川などの水辺で見られますが、学校のプールにいるヤゴを子どもたちが見つける場合も多いようです。中には子どもがヤゴを持ち帰ってきたけれど、飼い方が分からず困ったという保護者もいるのではないでしょうか。牧田さんがヤゴの特性や飼い方、捕まえ方について教えてくれました。親子で読んでみてくださいね!

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街中でも見ることのできる、身近なトンボ。けれど、トンボの幼虫・ヤゴの実物を見たことがある人は意外と少ないかもしれませんね。夏もそろそろ終わりですが、これからの季節もまだまだヤゴと出会うチャンスはいっぱい。記事の中では、僕が8月の終わりに捕まえたヤゴの写真も紹介します!

意外と知らない! トンボの赤ちゃん“ヤゴ”の生態とは

ヤゴは一年中捕まえることができる!

空に飛ぶトンボを見かけるのは、夏~秋にかけてが多いのですよね。そのため、ヤゴが捕れるのも春~夏の終わりとイメージする人が多いのではないでしょうか。

でも実は、年間を通してヤゴは捕まえることができるんです! ヤゴが羽化するまでの期間は数ヵ月ほどの種が多いのですが、中には1年、オニヤンマなどの大きいサイズは成虫までに3年程度もかかります。また、カブトムシやセミのように夏になると出てくるというわけではなく、成虫になるタイミングはトンボの種類だけではなく、その個体によってもバラバラ。たとえば秋に卵からふ化した幼虫は越冬して翌年、羽化します。同じ種類のトンボでも春に見られたり秋に見られたりというのは、そういった理由からなんです。

幼虫から成虫になるまでのタイミングというのは、人間のように“20歳で成人”と明確でないのも昆虫の特徴。クロトラカミキリムシの中には、50年近くかけて成虫になった個体もいるんです! 

冬でもヤゴを見つけることができます。他の季節に比べて種類も数も少ないですが、北海道でも池の氷を割って探すとヤゴが見つかります。ただし、寒いし水は冷たいし…あまりオススメはできません(笑)。また、トンボ(成虫)のまま越冬する種としてはオツネントンボが有名です。生息地は北海道から九州までと広いので、ぜひ探してみてください!

季節ごとに捕まえやすいヤゴの種類を大まかに分けると、春はギンヤンマ、夏はウスバキトンボやアキアカネ、秋と冬はシオカラトンボを挙げることができます。

ヤゴはどこで捕まえられる? 

ヤゴは水生でえらを持ち、水がないところでは生きていけません。池や田んぼ、沼などで見られる止水系ヤゴ、川で見られる流水系ヤゴに分かれます。トンボの種類によってヤゴの形状と大きさもさまざまですが、ヤゴから成虫のトンボを見極めるのはなかなか難しいかもしれません。そんな時は、トンボの飛んでいる場所に注目しましょう。イトトンボのヤゴを捕まえたいなら飛んでいるイトトンボを探し、その近辺にある水辺を探してみるといいですよ。トンボがいる場所には、必ずヤゴがいますから。

おそらく、読者の皆さんのお子さんが捕まえてくるのはギンヤンマやウスバキトンボの幼虫が多いのかなあと思います。街中でもよく見かける身近なトンボです。ギンヤンマのヤゴは細長く、ウスバキトンボのヤゴはサイズが小さいのが特徴です。

ヤゴやトンボについて、詳しく知りたい人にお薦めしたいのが『トンボのすべて』という図鑑。ヤゴの種類の見分け方なども詳しく載っているので、ヤゴ捕りに行く前に読み知識を高めるのも良いのではないでしょうか。

ヤゴを捕まえる時に注意するポイントは二つ

  1. 素手で触らない
    昆虫を捕まえる時に虫網を使うことはありますが、素手で捕まえることも多いですよね。でも、ヤゴは手で触ってしまうと弱ってしまいます。金魚網などでそ~っとすくって捕まえましょう。

     

  2. 持ち帰る時にはなるべく揺らさない
    移動する際にある程度の揺れが生じることは仕方のないことですが、むやみに振り回すとヤゴに大きなダメージを与え、死んでしまうこともあります。ヤゴはデリケートなので、扱いには優しさが大切です。

カトリヤンマのヤゴ。池や湿地などで一年中見られる/写真提供:牧田 習

また、捕まえたヤゴを虫かごなどのケースに入れる場合は、捕まえた場所の水(水道水はNG)や小石なども一緒に入れて持ち帰ります。ヤゴの詳しい飼い方については、次章で解説しましょう。

子どもがヤゴを捕まえてきた! 飼育はどうやって行うの? 

子どもの昆虫飼育というと、カブトムシやクワガタムシが人気ですね。ホームセンターなどで簡単に飼育キットが手に入り、飼いやすい点も人気の理由でしょう。一方、ヤゴの飼育は少々マイナー。でも、身近な飼育グッズとほんの少しの知識があれば誰でも育てることができますよ! 

ヤゴの飼育に用意するもの

  • 虫かごや水槽などの飼育用ケース
  • 砂利・水草
  • 割り箸や小枝

ヤゴの飼育法

虫かごや水槽など、ヤゴを飼育するケースに水をMAX10㎝を目安に入れます。その際、金魚や魚を飼う時と同じように必ずカルキ抜きはしてください。水道水に含まれる塩素を抜くためのカルキ抜き剤があると便利ですが、カルキ抜き剤を使用しない場合は1日程度、放置して塩素抜きをしましょう。空気を送り水を循環させるエアーポンプを設置すると、ヤゴの飼育環境としてはより良いですね。

水温は20~25℃をキープ。ケースの清掃は2週間ごとを目安に行い、ヤゴが常にきれいな水で過ごせるようにします。

オニヤンマのヤゴ。河川や淀みなどで一年中、捕まえることができる/写真提供:牧田 習

ヤゴは肉食で、共食いをするので1ケースに1匹ずつ飼うのが◎。餌は生きた赤虫やメダカなどの小魚で、ペットショップや釣り具屋などで手に入ります。赤虫はドライや冷凍タイプもありますが、必ず生きているものを与えてくださいね。

それと、カブトムシのようにゼリーを与えればOKというわけではなく餌の好き嫌いが多いのもヤゴの特徴。また、水の中に餌をまいてしまうとヤゴが餌を見つけられないことが多いので、ピンセットで餌を一つずつ口の前に持っていくとパクっと食べてくれます。

ヤゴが羽化する際に必要なのが、割り箸や小枝。ケースの中に立てて、登れるようにしておきましょう。

ヤゴの羽化に成功した! トンボ(成虫)も飼育できる?

僕ももちろん、何度もトンボを飼ったことはあります。けれど、長くても1ヵ月くらいしか飼育できませんでした。トンボは、昆虫の中でも飼育が難しい種なんです。

なぜ、トンボの飼育が難しいのか。まず、ヤゴを飼育していたケースでそのままトンボを飼育することはできません。それは、一生の大半を飛んで過ごしているから。羽を動かす筋肉が非常に発達していて、飛行能力に優れています。北海道から沖縄まで飛行する種もあるほどですから、小さなケースでは満足に飛ぶことができません。

また、目が人間に比べてあまり良くないため狭いスペースではケースにぶつかって死んでしまうことも…。だからといって、ケースから出して家の中で放し飼いにすれば良いかというわけでもありません。家の窓ガラスや鏡などにぶつかってしまいます。

トンボを飼う場合は、ぶつかっても衝撃が少ない蚊帳などを張りトンボを飼うある程度の広さを確保する必要があります。飛行距離の少ないイトトンボならスペースをそれほど必要としませんが、サイズが小さいので餌のサイズも小さくなります。トンボの餌はヤゴと同じく生きた昆虫などですが、イトトンボの場合は蚊やハエなど小さな虫でないと食べることができません。また、目があまり良くないのでピンセットで与える必要がありますが、蚊やハエを日に何度も捕まえて与えるというのはなかなか至難の業なのではないでしょうか。

卵からヤゴになり、トンボ(成虫)になれるのは全体のわずか数パーセントほどだといわれています。幼虫のヤゴから成虫のトンボになった時は、自然界に帰してあげるのがベストでトンボにとっても幸せだと思います。けれど、水の中で過ごすヤゴがどんな風に成長していくのかを見届けるのは、とても興味深く貴重な経験になります。

食べ物の好き嫌いがあったり個体ごとの特徴があったり、図鑑や飼育マニュアルには載っていないことがヤゴを飼育する中でいろいろ発見できると思います。僕はまだ子育てを経験していませんが、個性豊かなヤゴを育てるのは人間の子育てと似ているんじゃないかなとさえ思います。

まだまだ、ヤゴがたくさん発見できる時期。ぜひ、親子で近所の池や川を探しに行ってみてください!

<構成・執筆 濱岡操緒>

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牧田 習

昆虫ハンター。1996年、兵庫県宝塚市生まれ。オスカープロモーション所属。2015年北海道大学 総合教育部入学後、理学部に転部。特技は三線、小学5年生時に取得したダイビングのライセンス資格を所持。現在、昆虫ハンターとして「猫のひたいほどワイド」(テレビ神奈川)水曜レギュラー出演の他、「3度の飯より昆虫が好き」(WEBザテレビジョン)にて現在連載中! その他、 テレビやラジオなど各メディアでも活躍中。2020年4月から東京大学大学院に在学中。

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