2020.04.28

ゲーム依存解消!? 「はぁって言うゲーム」で子どものコミュニケーション能力を伸ばそう

小・中学生の子どもたちが集まると、会話もなく個々にコンピューターゲームに熱中してしまうということはよくありますよね。また、自宅で親子一緒に楽しめる遊びに悩む家庭も多いのではないでしょうか。ソクたま編集部が注目したのが性別・世代問わず、友達間・家族間で楽しめる「はぁって言うゲーム」。子どものコミュニケーション能力育成にも有効なようです。そこで今回は幻冬舎エデュケーション局に開発秘話を、心理士の車重徳さんにこのゲームの良さ、そして子どもの遊びについて話を聞いてきました!

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皆さんは「はぁって言うゲーム」を知っていますか? テレビやラジオ、YouTubeで紹介された人気のカードゲームです。

 

「はぁって言うゲーム」とは…

ゲーム内容は、与えられたお題を“声”と“表情”だけで演じて当て合うというもの。例えばお題カードが「はぁ」だった場合、「怒りの『はぁ』」「とぼけの『はぁ』」「感心の『はぁ』」など各プレイヤーに異なるシチュエーションが割り当てられます。身振り手振りを使わず“声”と“表情”だけでお題を表現し、お互いにどの「はぁ」を演じているか当てあいます。

 

“室内遊び=コンピューターゲーム”になりがちな、わが家の小学4年生の息子。友達が遊びに来ても友達の家に遊びに行っても、ゲーム三昧。「コンピューターゲーム以外で、家の中で楽しめる遊びはないものか」と探し求めていた時に出合ったのが、「はぁって言うゲーム」でした。

 

「何だろう?」と興味をそそるゲームタイトルにすんなりプレイに臨んでくれた息子でしたが、演技力を問われるお題に最初は恥ずかしがってなかなか上手に表現できません。しかし、他のプレイヤー(親、祖父母、叔父叔母)の演技を見て行くうちに楽しい気持ちが勝り、徐々に表現力豊かに「もっと上手に演じたい」という気持ちが芽生えたようでした。今ではすっかりこのゲームにハマり、遊びに来た友達とも大騒ぎしながら楽しんでいます。

 

 

 

 

私が感じたのは同じシチュエーションの場合でも人によって表現の仕方はさまざまだということ、自分が表現したいことは必ずしも相手に正しく伝わるものではないということ。また、ゲームをしているうちに息子のコミュニケーション能力が上がってきている!? ということでした。

 

教育現場などからの反響や問い合わせも多く、導入を検討している施設や団体からは「コミュニケーション能力を伸ばすトレーニングに使いたい」という声が届いているそう。

 

「はぁって言うゲーム」を導入(予定含む)している施設・団体

  • 学童
  • 児童館
  • 学校(ホームルームで使用)
  • 図書館
  • 子ども食堂
  • 寺子屋
  • シニアクラブ
  • 劇団
  • 特別支援学級
  • 通級指導教室
  • フリースクール
  • 公民館
  • 中学・高等学校の部活動
  • 大学のサークル

 

このゲームにはどんな力が秘められ、子どものコミュニケーション能力を伸ばすためにはどのような使い方をすれば良いのか。まずは、「はぁって言うゲーム」の発売元である幻冬舎エデュケーション局に開発秘話を聞いてみました。

 

目次

  1. もともとは大人向けだった「はぁって言うゲーム」
  2. 「はぁって言うゲーム」が人との関わり合いの大切さを教えてくれる
  3. 「はぁって言うゲーム」が発達障害児に与えるソーシャルスキルとは

 

 

もともとは大人向けだった「はぁって言うゲーム」

当初は一般向けに販売されたものではなかった「はぁっていうゲーム」。考案したのは「ぷよぷよ」など数々の人気テレビゲームを手掛けた、ゲームクリエイターの米光一成さんです。それがボードゲームカフェ「JELLY JELLY CAFE」を運営する白坂翔さんの目に留まり「ベストアクト」という商品になった後、幻冬舎から発売に向けて制作することが決まりました。

 

「友人や家族でボードゲームをする、あるいは仲間とお酒を飲みながらゲームをするコミュニケーションツールとして企画したものでした。ここまで小学生に広まって人気が出るというのは想定外でしたね。幻冬舎エデュケーション局では教育関連書籍や知育玩具を発行しています。一般的なおもちゃやボードゲーム、カードゲームと違いおもちゃや雑貨売り場だけでなく書店で購入できる点も、多くの人が手に取るきっかけになったのではないでしょうか」(幻冬舎・佐藤有希さん ※以下、佐藤さん)

 

 

 

 

「人類がAIに勝つために必要なのが愛嬌と気持ちを伝える技術」、そのツールとなるのがこのゲームだと話すゲームデザイナーの米光一成さんは、このゲームに込めた思いを次のように教えてくれました。

 

「人に気持ちを伝えるということを、気軽に楽しく遊べるといいなあと思って作りました。『あんな言い方をされるってことは嫌われているのかな』と思って落ち込むことはあると思いますが、勝手に想像し過ぎているケースも多いですよね。だから『案外、自分や他人の気持ちは間違って伝わるんだ』ということが遊びの中で実感できると、無駄に落ち込まずに済むのではないかと思うんです。“コミュニケーションスキルを鍛える”というと通じ合うことばかり考えますが、『人と人とは通じ合えないこともある』ということ、『伝わらないこともあるけれど、それを楽しむことや補うこともできる』ということに気が付くとラクになれるのではないでしょうか」(米光一成さん)

 

「ゲームの中には、ルールが難しかったり覚えることが多かったりなど求められるスキルが高いものもあります。けれど『はぁって言うゲーム』はゲームに詳しくない人、初めてカードゲームをする人でも気軽に楽しめるライトな仕様。これが、幅広い世代に受け入れらた理由の一つだと思います。タイトルから『何だろう?』と興味を引かれて購入した人や、持ち運びやすいコンパクトなパッケージも好評なようです」(佐藤さん)

 

開発に携わった佐藤さん自身も、ゲームをする中で発見した点があったそう。

 

「友人や小学生などいろいろな人とこのゲームで遊びましたが、同じ一言でも自分が伝えたいことと相手が受け取る内容がズレることは多いのだと感じました。自分が思っていることが人に伝わらないこともあるし、自分も人の思いを読み取れていないこともある。表現力や洞察力を養うトレーニングになることはもちろん、相手のことを想像し理解することも“歩み寄り”というコミュニケーションになるんじゃないかと思います」(佐藤さん)

 

 

 

 

次章からは発達障害や学習障害、精神疾患の子どもや大人のサポートや指導を行う心理士の車重徳さんにこのゲームとコミュニケーション能力の関係性、子どもの遊びに大切なことを教えてもらいます。

 

インタビュー

車 重徳さん心理士、カウンセラー、アンガーマネジメントファシリテーター

長年、発達障害や学習障害、精神疾患の子どもや大人のサポートや指導に従事。「WISC-Ⅳ検査」については、臨床心理士に対しての研修や指導も行っている。

車重徳の発達心理サポートセンター 

 

「はぁって言うゲーム」が人との関わり合いの大切さを教えてくれる

最近の子どもの特徴として、“コミュニケーション能力の低下”を挙げた車さん。コンピューターゲームへの依存や核家族化による人との関わり合いの減少、家族間でもSNSで会話するなど、人と人との関わり合いが根本的に少なくなっている印象だと話してくれました。

 

ゲーム依存にしない方法

「最近の子どもが“ゲームでしか遊べない”と悩んでいる親は多いですよね。今の子どもたちに欠如していると感じるのが「流動性知能」です。今あるものを生かして新しいものを作るという発想や想像力が低いのです。例えば新聞紙であれば剣のように丸めて戦いごっこにしたり、紙飛行機や楽器にしたり、ちぎって文字を作ったりさまざまな遊び方ができるものです。しかし、今の子はこういった遊びが苦手な傾向にあります」(車重徳さん ※以下、車さん)

 

流動性知能=想像力や発想力が足りないため、既存の物や場所から遊びを創造する力が低いのだそう。また、コンピューターゲーム以外の遊びを提案しても、なかなか興味を持ってくれない場合も少なくありません。

 

「基本的には、代替行為がないとダメなんです。何か違う“ハマるもの”を用意しないといけません。『これやろう』と一つだけ提案するのではなく2~5個、代替となる遊びを用意して選んでもらうんです。また、子どもに「はい、これで遊んで」と与えるだけというのもNG。一緒に楽しむ、あるいは親が楽しんで引っ張り込むこと、親がムーブメントをどう作るかが大事です」(車さん)

 

 

 

 

ゲームで仕掛けられるコミュニケーション能力

「コミュニケーションには、言語的なものと非言語的なものがありますが『はぁって言うゲーム』は特に非言語的コミュニケーション能力にアプローチできます。今は、SNSやインターネットを活用する時代。それが悪いということではないのですが、やはり最終的には人との関わり合いが大切なのではないでしょうか。今の学校には、英語やプログラミングなど子どもにとって素晴らしい教育がたくさん用意されています。しかし、非言語コミュニケーションを養う“日本語でのコミュニケーションを学ぶ”という部分も強化していくべきだと感じています。」(車重徳さん ※以下、車さん)

 

言語的コミュニケーションとは…話す言葉(内容)や手話、筆談など

非言語的コミュニケーションとは…身振り手振りといったジェスチャー、表情、視線、相手との距離、声のトーンなど

 

「例えば不登校の原因として挙げられるのが①授業についていけない、②友達とのトラブル、③担任との相性ですが、中でも②友達とのトラブルに関しては解決の糸口が引き出せない場合が多いんです。それが非言語的コミュニケーションの弱さに依拠する場合、このゲームを通して“空気を読む”力を伸ばし人との距離感やコミュニケーションに必須な想像する力を育成してくれるはずです」(車さん)

 

また、うちの息子のように初めてこのゲームをやる時、照れや恥ずかしさで上手く表現できないという子どもは多いのではないでしょうか。こういった表現することへの消極性は、日本人特有の自己肯定感の低さも影響しているそう。「自分の気持ちや表情をなかなか表に出せないという子には「感情をコントロールすることや自己開示のトレーニングにもなる」と車さんは教えてくれました。

 

さらに、「はぁって言うゲーム」は発達障害を持つ子どもの学習指導にも活用できるそう。

 

「はぁって言うゲーム」が発達障害児に与えるソーシャルスキルとは

発達障害の子にもたらす良い影響とは、具体的にはどのようなものなのでしょうか。

 

自閉症スペクトラム症(ASD)

「自閉症の特徴として①コミュニケーションの欠如、②想像力の欠如、③社会性の欠如が挙げられます。「はぁって言うゲーム」では、表情と声のトーンで相手のことを読み取らなければなりません。人の気持ちを推察したり、状況を判断したりするトレーニングになるでしょう」(車さん)

 

注意欠如・多動症(ADHD)

「衝動性が強いため、最後まで聞かずに自分の意見を言ってしまったり周りの空気を読まずに答えてしまったりという傾向があります。コンピューターゲームのように自分主体で行うものと違い、順番を守ることや周りとの協調性を学ぶことができるでしょう」(車さん)

 

 

 

 

また、先述したように自己開示のトレーニングという観点からHSCの子どもにも良い影響を与えてくれそうです。

 

HSC

「HSCの根本にあるのが、自己肯定感の低さ。空気を読む力はありますが、敏感すぎるという負のバイアスにより相手の気持ちを読み間違えることがよくあります。人の気持ちを正しく推察できるようになれば、その子自身の自信のなさにもプラスに働くと思います。もし遊ぶこと自体に抵抗を見せるようなら、まずは皆で楽しく遊んでいるところを見せて「やってみたいな」と思える雰囲気を作ってみてください」(車さん)

「はぁって言うゲーム」制作チームも、心理士の車さんも未来に向けてAIなどのテクノロジーがさらに進んでいっても、一番大切なのは“人との関わり合い、コミュニケーション”だというのが共通する思い。子ども同士、親子や家族のコミュニケーションツールとして、「はぁって言うゲーム」を活用してみてくださいね。

 

 

 

 

濱岡操緒

濱岡操緒

ソクラテスのたまご編集部員。ゲーム会社で広報宣伝職を経験した後、ママ向け雑誌やブライダル誌を手掛ける編プロに所属。現在はフリーランスのエディター&ライター。一人息子の中学受験に向けての学習フォローに四苦八苦しています!

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