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2020.04.02
2020.08.22

子どもが言うことを聞いてくれないなら”指示”の出し方を変えてみよう! 

勉強や生活面における、親から子どもへの“指示”。子どものためになるからと促しても「一度で素直に言うことを聞いてくれない」「叱っても効果がない」など、言うことを聞いてくれない子どもにため息をつく親は少なくないでしょう。一人で何十人もの子どもたちをまとめる教師は、どのように指示を出しているのでしょうか。家庭でも実践できる子どもへの指示の出し方を、現役教師が伝授します。

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子どもに言うことを聞かせたいなら直球よりも変化球!

勉強だけでなく、子どもが何かを学習する時、親はどのような声掛けを行うのが良いのでしょうか。

「早く宿題終わらせなさい!」「部屋を片付けなさい」などと、ストレートに指示を出すことが多いと思います。しかし、そのような指示を出してもなかなか動いてくれないという子は少なくありません。

子どもに言うことを聞いてもらいたい時、一部分に目を向けるのでなく違った角度、視点から考えると良い場合があります。

ダンスを練習していたあるグループの例を挙げてみましょう。手先をそろえて踊ることがなかなか難しく、苦労していたそうです。手先をそろえようと考えると、手先にだけに目が行くのが普通です。しかし、ダンスチームのリーダーが指示した内容は「手先だけを意識するのでなく、体の重心や角度を意識するといいよ」だったそうです。リーダーは、手先をそろえるために体全体に目を向けていたのです。手先という一部分だけに目を向けるのではなく違った角度、視点からダンスチームのリーダーはアドバイスをしています。

子どもの学習の場面でも同じことが言えます。

授業中、子どもたちに素早くノートに書かせたかった時、小学校の教師、大学教授、教材・授業開発研究所代表を務めた今は亡き有田和正氏の指示を真似して「鉛筆の先から煙が出るように書きなさい」と指示を出しました。子どもたちは「え~!?」と言いながらも楽しそうに指示を受け入れてくれました。普通の指示であれば「早く書きなさい」が一般的でしょう。

子どもの学びに対する大人の指示は一部分だけに目を向けるのではなく違った角度、視点から考えること、つまり直球より変化球の方が効果が表れることが多いのです。次章以降で詳しく説明しましょう。

子どもが言うことを聞きたくなるのは“イメージ”と“ユニークさ”

子どもたちが言うことを聞きたくなるのは、どのような指示なのでしょうか。

まずは、子どもたちの学びの場面での体験や先輩教師から教わったことを紹介しましょう。

授業の場面では

  • 授業中、子どもたちは発言のために挙手をします。しかし、中には上げているのかいないのかが分からない子がいます。こういった時、普通であれば「まっすぐ上げなさい」と言うでしょう。これでまっすぐになる子もいますが、ならない子もいます。私は「天井に引っ張られるように上げなさい」と指示します。すると、まっすぐ上げられなかった子もピンとまっすぐ上がるようになるのです。
  • 授業中、子どもたちが騒がしくなった時には「静かにしなさい」「話をやめなさい」「教室の中では走りません」という指示が直接的でしょう。しかし、私がよく使うのは「この教室に誰もいないと思えるようにしてごらん」。変化球な指示を出すことで、鉛筆を動かす音も聞こえなくなるほど、静かになることもあります。
  • 授業中、できていない子に指示をするのではなく、できている子を褒めてできなかった子を動かすこともあります。「一班のみんなは姿勢がとてもいいね」と言うと、姿勢の良くなかった子が急に背中をピンとさせ、姿勢が良くなります。これも変化球、間接的な指示と言えます。

授業以外の学びの場面では

  • 水泳のクロールでは、頭を下げると体が沈みにくくなります。これを指示する時は「頭を下げなさい」でなく「おへそを見てごらん」。子どもにとって具体的なこの指示は、イメージしやすいのです。
  • 伏し浮きをさせたい時には「体の力を抜きなさい」ではなく、「おばけになってごらん」と指示した方が効果が出るようです。
  • 音楽の授業などでリコーダーを吹かせる時には「ゆっくり息を入れなさい」でなく、「小さなシャボン玉を少しずつ膨らませるように吹いてごらん」と指示すると良いようです。

このように指示の中に子どもの想像力がかき立てられるようなイメージやユニークさを盛り込むと、子どもたちは指示を受け入れてくれるようになります。

イメージしやすい指示とは…

「天井に引っ張られるように上げなさい」「この教室に誰もいないと思えるようにしてごらん」「おばけになってごらん」「おへそをみてごらん」などの指示は、いずれも子どもにとってイメージしやすいもの。イメージできなければ動くことができないのです。「早くやりなさい」という指示も、どうすれば早くできるのか分からなければ動けないのです。

ワクワクするような楽しさ、ユニークさのある指示とは…

「鉛筆の先から煙がでるように書きなさい」という指示には、鉛筆と煙、子どもにとって身近でイメージしやすいワードが使われています。加えて、楽しさやユニークさがあります。鉛筆から煙は出ませんが子どもたちはどうしたらよいかを考え、結果的に鉛筆を速く動かそうとするのです。ちょっとしたクイズのような指示になっているため、クイズを解くような楽しさも感じることができます。

『AさせたいならBと言え』(岩下修著・明治図書出版)という本があります。「AさせたいならBと言え」のAが直接的な指示でBが視点、角度を変えた変化球型の指示のこと。大きな声を出させたい時に「あの壁に穴をあけるつもりで言ってごらん」というのもそうです。この本の中には、子どもがイメージしやすくユニークな指示の例がいくつか載っています。ぜひ、参考にしてみてください。

こういった指示の出し方は、家庭でも活用できます。次章で紹介しましょう。

家庭でもできる! 子どもに言うことを聞いてもらう秘訣

子育てをしている中で、“子どもがなかなか言うことを聞いてくれない”ということにイライラすることもあるでしょう。しかし、それも親の指示の出し方次第という部分は大きいのです。

ポイントは、前章でも書いたように子どもの身近な物事にたとえ、イメージしやすくすること。

  • 家の中で走りまわるのをやめさせたい時
    「走るのをやめなさい」 ➡ 「家の中で忍者になってごらん」など
  • お皿をきれいに洗わせたい時
    「きれいに洗いなさい」 ➡ 「ゴシゴシ洗う音がここまで聞こえるようにしてごらん」など
  • 丁寧な作業(色塗り・文字を丁寧に書かせたいなど)をさせたい時
    「丁寧にやりなさい」 ➡ 「髪の毛1本分もはみ出さないように色を塗ってごらん」「印刷された文字かなと思えるように書いてごらん」など
  • 勉強でノートに余白を持たせて書かせたい時
    「詰めて書かないようにしなさい」 ➡ 「指2本分空けて書いてごらん」など

ぜひ身近なものにたとえたり、子どもがイメージしやすい指示を作ってみてください。もちろん、それでも子どもが言うことを聞いてくれないということもあるかもしれません。でも、何回かに1回だけでも「はーい!」と素直に言うことを聞いてくれたら、イライラする回数もグンと減少するのではないでしょうか。

つい突発的に「〇〇しなさい!」と言いたくなるものですが一呼吸置いて、子どもがイメージしやすいものや楽しさを感じるものを指示の中に入れてみてくださいね。

須貝 誠

須貝 誠

東京都小学校準常勤講師・塾講師・ライター。30校以上の教育現場で教えてきた経験があり、進学塾では主に国語を担当。教師が集まる民間教育団体であるTOSS相模原・和(のどか)会員として指導法を学んでいる。https://www.toss.or.jp/

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