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2020.03.09

夫婦間で相違する教育観で口論に…。考え方の違いはどう解決する?

子どもの習い事や塾、家庭での学習、しつけなど、育ってきた環境が違えば考え方もそれぞれ。たとえ夫婦であっても、意見に相違が生まれるのは当然のことでしょう。しかし、そのことで夫婦喧嘩が生じたりお互いへの不満が鬱積してしまったりというのは避けたいもの。コンサルタント・コーチとして企業や夫婦の関係性向上に取り組む白土詠胡さんによる連載「専門家が答える 夫婦関係のコーチング」。2回目となる今回は価値観の違いの対処法について、実際に読者から寄せられた悩みに回答してもらいます。

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今回のお悩み

夫婦間で子育て観、教育観があまりにも違います。夫婦共に自分が正しいと思っているかもしれません。どちらが正解か分かりませんが、このことで夫婦喧嘩になることもしょっちゅうです。解決策はあるのでしょうか。(7歳男子の母)

コンサルタント・コーチとして企業や夫婦の関係性向上に取り組む白土詠胡さんの回答を見てみましょう!

衝突が夫婦と親子の発展に必要なプロセスだとしたら?

夫/妻との価値観の違いについて悩む夫婦は、少なくないでしょう。子どもが生まれる前は許容できていたことも、子どものことに関してはお互い譲れない部分が多くなります。それは、子育てというのは自分にとってもパートナーにとっても共通の“目標”だから。互いに同じ方向を向いているはずなのですが、ズレが出てきてしまうのは一生懸命に考えているがゆえ生じる問題です。

考え方に違いを感じた時、互いに「自分の方が正しい」という考え方を持ち続けると衝突は永遠に収まりません。

私たちは何かに悩んだり困ったりした時、解決者になろうとしがちです。例えば子どもの成績が悪かったら良い成績にするための解決策を考えますよね。

教育観の違いから生まれた衝突も、実は夫婦それぞれが子どものために解決策を見出そうと必死になっているからこそ起きているのです。だからこそ意見が対立したからといって好戦的にならず、相手に抱く「それ、違うんじゃない?」という“眼鏡”をいったん外してみてほしいのです。この意見の対立や衝突は、家族にとって必要なこと(プロセス)として見てみる。衝突や感情的なもつれが大きいのは相談者もご主人も、そしてお子さんも一緒に家族として成長しようとしている証だと思ってほしいです。

こういった衝突や葛藤の中で、育っていくのは子どもだけではありません。親も成長して親としての在り方、考え方が深まり進化していきます。「夫の考えは違う、私の方が正しい」とセパレートしてしまうのではなく、「私も夫も、この問題で何かを学ぶことができる。今はその過程にいる」と意識してみてほしいと思います。「子育ては親育て」と昔から言われますが、ぜひ自分たちを育む機会として子育て期間を捉えてみてほしいのです。

「セルフリフレーミング」で思考回路を変えてみよう

相談者のご夫婦を含め、多くの親は子どもに対して“解決者”や“指導者”であろうと無意識に思っていると感じます。しかし、先述したように親も子どもに育てられている部分はたくさんあります。

子どもに対して抱く悩みについて夫婦それぞれで意見が合致しないのであれば、無理に合わせる必要はないでしょう。誰も子どもの未来にとって良いことの正解を持ってはいません。けれども、子どもの成長や個性を信じることは無条件にできる。何があっても「この子は成長する過程なんだ」「こうやってこの子は社会性を身につけていくんだ」といった風に思えることを増やせば、肩の力が抜けて夫婦間の衝突も自然と少なくなると思っています。だって、私たちも間違えながら傷つきながら大人になりましたよね。

とはいえ、意見の食い違いから話がヒートアップしてしまうことはあると思います。そんな時、深呼吸をして気持ちを落ち着かせるというのは良い方法なのですが、私は言いたいことを我慢したりのみ込んでしまったりするのはお勧めしていません。抑圧されたものは必ず噴き出してしまうので、必ず昇華させることが大切です。

では、夫婦関係を対立させずに気持ちを昇華するためにはどうしたら良いのでしょう。

行き場のなくなった気持ちを昇華させるために行う方法の一つに、“書き出し”があります。

自分が嫌だと感じたこと、不満に思ったことを書き出す。そして、書いたものを見て「もしこの出来事にプラスな意味があるとしたら、どんなことだろう」と考えてみましょう。一見ネガティブなことばかりが羅列してあるものから、メリットを見つけ出すのです。

例えば「子どもの勉強には無関心なのに、ゲームや遊びになると子どもより熱中している」という夫への不満を書き出したとしましょう。「夫にもっと子どもの教育に参画してほしい」という願いがあると思うのですが、「夫は遊び担当に徹してもらおう」と発想を転換することもできるのです。

この方法は、心理学の用語で「リフレーミング」といいます。

【リフレーミングとは】

出来事や物事に対しての自分の中にある既存の枠組みを外し、違った考え方や見方で捉える手法。例えば苦手だと感じる人に対して“苦手だと感じる部分”に目を向けるのではなくその人の良いところに目を向けるといったように、マイナスなものからメリットやプラスの作用を見出すこと。

ここで、私たち夫婦の話を紹介させてください。実は、私は夫に自分の仕事の話をよくします。けれど、夫は私が思う“感じの良い受け答え”で仕事の話を聞いてくれないのです。夫としては彼なりにしっかり聞いているつもりだと思うのですが、私は「もっと反応しながら聞いてよ!」と感じてしまう。コーチングの仕事や講演など“人に言葉を届ける”仕事をしているせいか、自分の言葉が届かないことに歯がゆさを感じるんです。

でも、このことからも私に教えてくれるものがあります。講演会やコーチングのカウンセリングなどで自分の言葉が“響いている”と感じることがあるのですが、冷静に考えると100人いて100人全員が私の話を「素晴らしい!」と思っているはずはないんです。目をキラキラさせて聞いてくれていても1ミリも響いていない人もいれば、無表情に聞いていた人がものすごく感動してくれているということはよくあります。夫の独特の聞き方から、私は「人は思っていることが全て態度に出るわけではない」「伝える技術は、常に磨き続けなければならない」ということを教えてもらっています。つまり、夫は私にとって最大の理解者であり最強の辛口評論家なのです。

「家族会議」でお互いの考えをさらけ出す時間を作ろう

また、書き出して終わらせるのではなく「やっぱり気持ち(意見)を夫(妻)に伝えたい!」と思うのであれば“非難ではなく、お願い事”として伝えられるといいですね。

ただし、タイミングが悪いとどんなお願い事も非難に聞こえてしまいます。

そういった意味でおすすめしたいのが、「家族会議」です。テレビを見ている時やご飯を食べている時など自分の状況を無視して相手から何か言われてしまうと、お願い事ではなく批判に聞こえてしまいます。

でも、会議であれば意見を言い合う場であるとあらかじめ心の準備ができていますよね。「毎週、土曜日の午後8時は夫婦や家族で話し合いをする時間にする」といったように、ルーティン化させるのです。家族なので、参加するのは夫婦だけではありません。子どもたちも参加して発言させることで、人前で自分の意見をしっかり伝えることを学ぶ良い経験となります。

会議の内容は「片づけをしよう」といったルールのリクエストでも良いですし、「家族のみんなは私にお願い事はある?」とか「帰宅したら、お互い目を見てお疲れさまと言い合う」といった小さな約束でも良いです。先日のわが家の家族会議は、“お互いの良いところと直してほしいこと”。自宅だと家事のことが気になってしまうので、場所は近くのカフェなどで行います。

合意を求め合わず互いの考えをシェアしよう

そもそも子育てや教育に対して夫婦の意見が相違している場合、夫婦で意見を合わせる必要があるのでしょうか。

人には、“認められたい”という根源的欲求があります。話し合いをする時に“分かり合うこと”、“一致すること”をゴールにしてしまうと、そこに行き着かない場合のショックが大きくなってしまいます。

したがって家族会議の場でも合意をゴールにするのではなく、まずはお互いが何を思っているのか理解することをゴールにすることから始めませんか。お互いが持つ経験、価値観、固定観念をシェアできれば、それぞれでは思いつかなかった方法、解決策が生まれる可能性が高まります。

母親と父親の意見が違うことで、子どもが混乱するのではないかと心配する人もいるでしょう。けれど、やはり無理に互いの意見を合わせるのではなく子どもも含め、家族みんなで話し合うプロセスが大切ではないでしょうか。

そもそも、夫婦の意見が常に完全一致の方が不自然です。違いからスタートし、折り合いをつけていくプロセスを体感することは確実に“学び”になります。あくまでわが家の例ですが、私たちは子どもに自分の気持ちを表現できなかったり、我慢ばかりして誰かの意見に折れてしまったりする人になってほしくないと思っています。だから、親が率直に対話する姿を見せますし、子どもにも率直に意見をし意見を求めるようにもしています。勝手にしゃべってきますが。

これまでのやり方、思考を変えるというのは難しいと感じる人は多いでしょう。でも、それはなじみがあるかどうかというだけのこと。右利きの人が左手で字を書くのは難しいと感じますよね。でもそれは、難しいのではなく右手で書くことに慣れているから。思考を変える=リフレーミングの習慣に慣れれば、きっと難しくないはずです。親一人ではカバーできない部分が多いのが子育てです。違う考えを持つ二人だからこそ見出せる、新しい発想があるかもしれませんよ。

<構成・執筆>濱岡操緒

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白土詠胡

つなぐカンパニー代表。筑波大学出身。大学卒業後、大手人材サービス企業に就職した後、(株)リクルートマネジメントソリューションズ組織行動研究所研究員を経て、コンサルタント・コーチとして独立。大手企業~中小企業まで幅広く各種研修・コンサルティングを行いながら、夫婦関係やパートナーシップ・家族のより良い関係性をテーマに活動中。小学生の娘と保育園児の息子の育児にも奮闘中! 【つなぐカンパニーお問い合わせ eikoshirato@tunagu-all.jp】  サステナブルな社会を目指し、オーガニックな野菜の生産・販売などを行う(株)いかす(https://www.icas.jp.net/)にてワーキングマザー向けの食育イベントなど実施している。

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