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2020.02.03

夫婦仲が子どもに与える影響とは?子育て期の夫婦に大切なこと

「結婚当初は仲が良かったのに、子どもが生まれてから関係性が変わった」「夫婦で教育方針が違うため、衝突することが多い」。読者の中にも、そんな悩みや不満を持つ人は多いのではないでしょうか。今回から始まる連載「専門家が答える 夫婦関係のコーチング」。親である妻/夫が抱くモヤモヤした気持ちの根っこにあるものを知り、良いパートナーシップを築くための方法とは? コンサルタント・コーチとして企業や夫婦の関係性向上に取り組む白土詠胡さんがお答えします。

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連載1回目となる今回は、下記に挙げたような“夫婦関係の悩みの根源”について白土先生に解説してもらいます。

  • 夫婦関係は子どもにどう影響するのか?
  • 夫や妻への不満や怒り、悩みとどのように向き合うべきなのか?

夫婦仲が良ければ子どもに良い影響を与える?

“夫婦の関係性が子どもに影響する”というのは、皆さんも聞いたことがあるのではないでしょうか。「子どもの前では夫婦喧嘩を控えている」「本当はパートナーに不満があるけれど、子どもの前ではそれを出さない」という人もいるでしょう。

家族、学校、会社…何でもそうですが自分が属するコミュニティにおけるルールや習慣、関係性などは、自分の考えや行動を構築する基準となります。子どもにとっての両親、家族は生まれて初めてのコミュニティ。だからこそ親から子へと影響する部分は大きいといえます。しかし、その影響が必ずしも悪いものになるとは言い切れません。

なぜなら、何がその子の幸せにつながるのかは子ども自身にしか分からないからです。

「子どものためになるから…」と勘違いしたまま事を進めてしまうことは、子を思う親なら誰でもあり得ること。以前、こんなことがありました。娘が「バレエが上手い」と褒められたことがきっかけで「やらせたい」と強く思った時期がありました。その時の自分を振り返って思うのは、娘のことを見ていなかったなということ。娘はバレエは好きでしたが、いろいろ我慢をしてまで、レッスンに通いたいほどではありませんでした。それでも、「親がチャンスを作ってあげなくては!」と説得をしていました。思い返せば、私自身が「お嬢さん、すごいね」と言われたい、もしくはそう言われる娘を誇らしく思っていたことに気づいたのです。

夫婦喧嘩も自然なこと|子どもに自分の思いを押し付けていないか

「子どもの前では良い両親、仲の良い夫婦でありたい」「子どもに良い影響となるものは与えてあげたい」。それが子どもにとって幸せを構築する一つのピースになると多くの親は思っているでしょう。しかし、子どもに見せる夫婦の関係性を考える前に、まず子どもに「こうなってほしい」という思いを持つことについて考えてみてください。それは、本当にお子さんになってほしい姿でしょうか? 自分自身が、なりたかった姿ではありませんか? 突き詰めて考えてみると、多くの場合その原点が自分というか、自分の人生のリベンジになっていることがあります。

過去の自分の成功や失敗を振り返って、「こうした方が絶対にいいんだ」と決めつけてしまうんです。人生の先輩としてアドバイスするのはもちろん良いのですが、子どもの持ち物(個性)と自分の持ち物(個性)は違います。そして、置かれている環境も違う。子どもも独立したひとりの人間であるということ、子どもの個性と自分の個性は違うということは認識しておきたいですね。

つまり、親からの影響が良いものになるか悪いものになるかは、結果論であって誰にも分かりません。時には、子どもの前で夫婦喧嘩をしても良いと思います。それが夫婦として正常なかたちであり、子どもは「なぜ、けんかが起きるのか」ということを学ぶこともできるでしょう。私は、両親の仲の良し悪しは結果的にはどちらでも良いと考えています。子どもにとってそれが良い影響になるか悪い影響になるかは親がコントロールできることではありませんから。

夫や妻に不満を抱いた時、あなたはどう対処していますか?

夫婦関係や結婚生活の安定性の研究で知られるワシントン大学・心理学名誉教授のジョン・ゴッドマン博士は、「夫婦の間にある問題の69%は永遠に解決しない問題」だと言っています。幸せを感じている夫婦は“永続的な問題”への向き合い方に長けていると言われ、うまくいかない夫婦は、ちょっとしたボタンのかけ違いからお互いに“毒素”を与え合うようなコミュニケーションをとってしまうそうです。

 

夫婦の不和を生み出す“毒素”

  1. 「相手が悪い!」という非難
  2. 「私は悪くない!」という防衛
  3. 「あの人はああいう人なのよ」という侮辱・見下し
  4. 「無視しよう…」という無視・逃避

 

夫や妻にイライラをぶつける前に、自分を見つめ直すことが大切

例えば、パートナーである夫や妻に対して不満があっても見ない振りをしたり子どもの前だから我慢しようと思ったりすることはないでしょうか。しかし、相手に不満を抱く前にパートナーに対して何を求めているか、自分はいったい何が満たされなくてイライラしているのか考えてみてください。相手よりも自分の状態に目を向けてみてほしいのです。

また、問題をスルーするのは思考停止という究極の対処。問題解決を先延ばしにしているだけでその分、自分の中の不満や悩みは堆積していくことになってしまうので、おすすめしません。

子どもへの影響を考えているのであれば、なおさら自分の心の声と向き合うことが大切。親が問題にちゃんと向き合うかどうか、自分を整えられるかということは子どもにとって良い影響になる可能性が高いといえるでしょう。

親として怒りをため込んだり、作り笑顔で対応したりする姿を見せ続けたいでしょうか? 年齢にもよりますが、そのことを子どもに説明しないことが本当に子どもに良い影響を与えるでしょうか? 

誰かに合わせて生きていくのではなく「自分はこうやって生きていきたい」という意思が両親に明確にあれば、おのずと子どもにも伝わります。子どもなりに何かを感じ、学ぶはずです。

お話する多くのご夫婦が、子どもに好きなように自分の人生を生きてほしいとおっしゃいます。もしその願いが本当であるならば、まず、親である私たち自身が“have to(~しなければならない)”に縛られず、“want to(~したい)”でいられるよう自分の中の問題を理解することが大切ではないでしょうか

子育て期の夫婦に大切なのは、信頼関係の構築

多くの人は、会社の仲間や友人に対しては感情をコントロールできますよね。でも、パートナーや家族に対しては感情を包み隠さず出してしまう。そこには「家族だから本当の自分を出したい」「ありのままの自分を受け入れてほしい」という願いもありますが、同時に「受け入れてくれるのが当たり前」だという慢心もあるのではないでしょうか。だから、自分の期待とは違った反応に対してイライラしてしまうんです。

そういった時に問題をスルーしたり、相手に原因を求めたりする習慣を少しずつでも良いので変えていきましょう。外側に向いていた矢印を内側に向ける、つまり自分の問題として捉えることが大切です。

パートナーに不満を感じるということは何でも許せた新婚夫婦のような時期が過ぎたということもありますが同時に、人間として成熟していく段階、相手ではなく自分を見つめ直す時期に入ったのではないでしょうか。相手に対して感じるイライラを、まずは「自分は何を望み、何が満たされないのか」を考える。そういう思考の癖をつけ、無意識の思考回路を変えてみましょう。

夫婦間で積極的にコミュニケーションを取ろう

夫婦は、人生のパートナーです。それは友情関係にも似たもので、信頼関係が大切になります。子どもへの影響を気にして夫婦関係に感じる不満や悩みにふたをしてしまうこと、その不満や悩みの原因を全て相手に委ねる“思考の癖”をまずは見直しましょう。

夫婦関係が子どもに及ぼす影響は、単に親同士が仲が良い・喧嘩がないといったシンプルなものではありません。どのように他者と関係を紡ぐのか、どのように他者と信頼関係を築いていこうとしているのか、互いを支え合おうとしているかを子どもは見ています。それだけで全ての問題が解決するという単純なものではないかもしれませんが、相手に向けていた意識を自分に向けることで必ず世界の見え方は変わります。結果、少しでも改善の方向、解決の糸口になるのではないかと思います。

夫婦であろうと、かたちあるものは必ず姿を変えていきます。時に役割を終える関係もある。

しかし、夫婦も家族もひとつのチーム。仕事に置き換えれば、コミュニケーションを取らないなんてあり得ないはずです。

かけがえのない家族との時間が、ストレスフルなんてもったいないです。自分の心地良さを探求するのを「合わないから」と簡単に諦めず、いま一度、夫婦の関係を振り返ってみてください。多くの場合、人は自分の見たいように現実を見ています。思考の癖を変えてみる、対話をすることで捉え方が変わることがきっとあるはずです。

<構成・執筆>濱岡操緒

白土詠胡先生×ソクたまのコラボレーション企画!

白土先生がナビゲーターを務めるレインボータウンFMのラジオ番組(FMラジオ 88.5MHz)『いかす パートナーシップ』。
番組では記事と連動し、ソクたまに届いた読者からの悩みに白土先生がアドバイスしてくれます! 白土先生に悩みを相談したい、夫婦でコーチングを受けたい!という方も募集中です。

1回目の放送では編集長が登場し、「ソクラテスのたまご」を紹介しております。番組内容は、YouTubeでもご視聴いただけます!ぜひ下記バナーから御覧ください。

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白土詠胡

つなぐカンパニー代表。筑波大学出身。大学卒業後、大手人材サービス企業に就職した後、(株)リクルートマネジメントソリューションズ組織行動研究所研究員を経て、コンサルタント・コーチとして独立。大手企業~中小企業まで幅広く各種研修・コンサルティングを行いながら、夫婦関係やパートナーシップ・家族のより良い関係性をテーマに活動中。小学生の娘と保育園児の息子の育児にも奮闘中! 【つなぐカンパニーお問い合わせ eikoshirato@tunagu-all.jp】  サステナブルな社会を目指し、オーガニックな野菜の生産・販売などを行う(株)いかす(https://www.icas.jp.net/)にてワーキングマザー向けの食育イベントなど実施している。

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