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2021.05.10

【2021年最新版】小学校の通知表のつけ方、評価の仕方はどうなってるの?

2020年度から、小学校での通知表が変更されました。どこが今までと異なるのか、今までと同じ点はあるのか。現在の評価の仕方の裏側を解説します。

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2020年度からの小学校の通知表はどう変わった?

保護者の中には「5・4・3・2・1」といったように、他の子と比較された通知表の評価を経験した人も多いのではないでしょうか。現在は、他の子と比べての評価は行われていません。小学校に通う子どもが持って帰ってくる通知表。「よい」「普通」「もう少し」という項目になっているのではないでしょうか。

2020年度から新しい通知表になりましたが、この点は同じです。

改定前は、学習指導要領に定められた4つの観点で評価されていました。「興味・関心」「思考・判断」「技能」「知識」です。この4つを基本として、各教科ごとに細かな評価項目を学校で決めていました。

例えば社会科の「興味・関心」であれば「社会のことがらに関心を持ち、意欲的に調べることができる」といったように通知表に具体的に記され、これを「A・B・C」や「◎・〇・△」などで評価していたのです。

2020年度からはこの4観点が3観点になりました。「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3つに変更されたのです。

この項目の順序も変わっています。これまでは、「興味・関心」「思考・判断」「技能」「知識」と並んでいました。現在は、「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の順で並んでいます。

これまでは“学習に興味を持たせることが一番大切”ということで、一番に「興味・関心」が置かれていました。現在は「知識・技能」が一番上に来ています。前回の「興味・関心」に当たる「主体的に学習に取り組む態度」は、最後です。学習内容をしっかりと習得させることが一番、大切だという考え方に変わったことが読み取れます。

しかしながら、教師の評価の仕方は、今までと全く変わりません。絶対評価でつけていきます。では、絶対評価とはどのようなものなのでしょうか。

小学校の通知表の3つ評価方法とは

学校の先生が子どもの成績を出す方法は、大きく分けて①相対評価、②絶対評価、③個人内評価の3つがあります。

①相対評価

クラスの中(集団の中)で皆と比べたとき「あなたの順位はこの辺りですよ」と分かる評価の仕方。周りの子と比べて評価されます。「5・4・3・2・1」は、それぞれ何人までと決めてつける評価法です。

したがって国語の100点満点のテストで毎回、自分は90点ばかりだったとしても一番成績が良いとされる「5」にならず「3」になってしまうような時もあります。

極端な例ですが、周りと比べる評価のため周りの子の多くが100点を取っているといった時にはそうなることもあるでしょう。

②絶対評価

相対評価と対照的な位置にあるのが、周りの子とは比べない絶対評価。自分の成績が以前よりもどのくらい伸びたのか、または下がったによって評価する方法です。

評価項目を一人ひとりの子どもによって設定するのではなく、評価する共通項目だけを決めておきます。

国語であれば「漢字を正しく書くことができる」などと決め、どのくらい伸びたのかなどを「よい」(A)、「普通」(B)、「もう少し」(C)といったように3段階または5段階で評価します。

周りと比較しないため極端な話、クラス全員が「A」という場合もあるでしょう。

③個人内評価

個人内評価も、その子の伸び率だけを評価する方法。

絶対評価と異なるのは評価する項目がクラス共通であるのに対し、一人ひとり評価項目が異なるという点です。

A君の評価項目は「漢字を間違えずに書ける」なのに対して、Bさんは「たくさんの漢字を使うことができる」というような例が挙げられます。

このように、評価の方法には3つあるのです。

通知表の評価項目が変わっても「絶対評価」のはずだが…

小学校の通知表は、4観点の評価項目になってから「相対評価」から「絶対評価」に変化しました。これは、2020年度からも変わっていません。

中学受験のことを考えると「わが子がクラスの中でどのくらいの位置にいるのか知りたい」「相対評価のほうが良かった」という方もいるかもしれません。

しかし塾とは違い、小学校では中学受験を意識した評価をしません。全員が受験をするわけではないからです。ではなぜ、「相対評価」から「絶対評価」に変わったのでしょうか。

文部科学省が提言する評価法の変化の理由について、簡単に解説すると…。

「相対評価」から「絶対評価」に変化した理由

①児童一人ひとりの進歩の状況や目標の実現状況を把握して学習指導の改善に生かすため
②学習指導要領に示された基礎的・基本的な学習内容を確実に習得したかどうかを図るため
③各学校段階の目標を実現しているかどうかを図るため
④習熟の状況に応じた指導などを重視しているため学習集団の構成も多様となるため
⑤少子化等によりかなりの広範囲の学校で児童生徒が減少しているため、集団に準拠した評価よりも目標に準拠した評価のほうがいいため

絶対評価では、評価項目に合わせて個人の伸び率だけを評価。相対評価のように「5」は何人まで、などと人数を決める必要はないのです。

ところが、多くの小学校で純粋な絶対評価が行われていないのが現実です。では、いったいどんな評価をしているのでしょうか。

小学校で実際に行われている不思議な評価の仕方

評価項目が4観点から3観点になった今でも、現実には「相対評価を加味した絶対評価」という不思議な評価が行われているのです。絶対評価を基本とするのですが、「A」の人数を決めてしまっていることもあるのです。

絶対評価ですから「A」が何人までなどと決める必要はないはずです。決めてしまえば絶対評価にはならないのです。それにもかかわらず、どうして人数を決めてしまうのでしょうか。

担任が指示されるのは、他のクラスと差をつけないためということ。例えば「1組では漢字の評価が全員Aなのに対して、2組では3人しかAがいない」というのはあまりにも差が大きすぎるというのです。

それが、「相対評価を加味した絶対評価」にしてくださいと指示される理由です。要するに「A」といった評価の段階をそれぞれある程度、人数を他のクラスとそろえるということです。

あまり差がありすぎると「A」の多いクラスの先生は教え方が上手な先生、「A」が少ないクラスは教え方がそれほど上手ではない先生というようにも考えられてきます。保護者からも「どうして1組はAが多いのに、2組ではAが少ないのですか」などと言われることもあるようです。

そもそも、絶対評価ですから「A」の人数に差が出てきても何の問題もないはず。その子の伸び率だけを評価すればいいのです。

先生の中には、校長などから「あなたのクラスはAが多いので減らしてください」と実際に言われたという話もよく聞きます。しかし、この指導にはどうしても疑問が残ります。絶対評価になっていないからです。

現実的には今でも「相対評価を加味した絶対評価」を行う小学校は、少なくありません。この評価の仕方に疑問を持つ教師も多くいます。「絶対評価」をするのであれば純粋に子供の伸び率だけを評価すべきでしょう。

通知表の「主体的に学習に取り組む態度」の評価は?

上記の3つの観点のうち差が出やすいのが、テストでは判断できず客観的に評価しにくい「主体的に学習に取り組む態度」です。「主体的に学習に取り組む態度」も、絶対評価。しかしながら、これだけは「興味・関心」のときと同じで教師の主観が入ってしまいます。

そもそも「興味・関心」は絶対評価だろうとなんだろうと評価できない、と考えている先生は少なくありませんでした。「主体的に学習に取り組む態度」と項目が変わっても、同じです。

学校で算数の授業中、発言しなくてもきちんとノートをとってまじめに授業を受けていれば主体的だといえるかもしれません。まじめにノートをとっていても、発言しないから主体的ではないと考える先生も出てくるかもしれません。“主体的”の定義の仕方次第で、評価が変わってきてしまう可能性があります。

子どもの発言の回数やノートなどを見て評価しようとする先生の中には、ABCをきちんと分けてつける人もいます。

子どものノートを評価すること自体は悪くはありません。ただ、それが「主体的に学習に取り組む態度」」の評価として、客観的な資料として使えるかどうかは別。どこまでできていれば主体的といえるのか、はっきりとした定義を作ったとしても教師の主観も入ってくると考えられるからです。

そうすると全員「A」のクラスとそうでないクラスが出てきます。ある学級では発言しなくても「A」、ある学級では発言しないと「B」となるかもしれません。発言一つ取っても、どのくらい発言すれば「A」なのかもはっきりしません。ここで評価に差がつくのです。

「純粋な絶対評価」ではなく「相対評価を加味した絶対評価」にするというのには、このような理由があるのです。新しい通知表になっても「相対評価を加味した絶対評価」というのは、おそらくすぐには変わらないでしょう。

本来、このような項目は客観的に評価するのが難しいため“所見”にすべきなのではないでしょうか。

純粋な「絶対評価」へ!

文部科学省は「相対評価」ではなく「絶対評価」をするように提言しています。「相対評価を加味した絶対評価をしなさい」とは言っていません。

「相対評価」を加味してしまうと、子どもの伸び率が正確には出てこないということにもなりかねません。純粋な「絶対評価」でないと、本来であれば自分の子は「A」という評価をもらえるはずが「B」になってしまっているかもしれません。

例えば1学期、わが子の「漢字を正しく書くことができる」という項目の成績が「B」だったとします。1学期に何回か実施されたわが子の漢字テストの平均点は70点。2学期、わが子は漢字の練習を頑張り平均点が90点になりました。20点も平均点が伸びているのですから、「A」をもらってもいいはずの成績です。

ここに相対評価を加えたとします。周囲の子も平均点が伸びていたとしたら、「A」をもらえる人数が限定されてしまうため「B」のままになってしまうかもしれません。

純粋な「絶対評価」でないと、自分の子の本当の伸び率が判断できないことになってしまいます。純粋な評価でない場合、文科省が提言している5つのポイントをクリアできなないことにもなるでしょう。

新しい通知表では評価項目が3観点になりましたが、教師の評価の仕方は何も変わっていないのです。

「相対評価を加味した絶対評価」に、疑問を抱く教師は多くいます。保護者も「他のクラスと評価に大きな差が出てくることもあったとしてもおかしくない」ということを認識しておくと良いかもしれません。

須貝 誠

須貝 誠

東京都小学校準常勤講師・塾講師・ライター。30校以上の教育現場で教えてきた経験があり、進学塾では主に国語を担当。教師が集まる民間教育団体であるTOSS相模原・和(のどか)会員として指導法を学んでいる。https://www.toss.or.jp/

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