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2019.09.04

HSCが不登校の原因に?敏感な子どもが負担を感じてないか「学校との相性チェック」で確認しよう

「学校がつらい」「学校に行きたくない」と感じて不登校になる子の多くに、HSCの気質が見られることを知っていますか? 今回は、多くのHSCにとって、学校がどんなふうに負担になるのかを把握していただくために、学校との相性を知るチェックリストを紹介します。

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HSCの“ポジティブな側面”

HSCとは、Highly Sensitive Child=人一倍敏感な子のことで、これまでの記事でも、敏感さ・繊細さ・感受性の強さ・思慮深さ・共感性の高さといった特徴について紹介してきました。

今回は、HSCが不登校の原因になる可能性について取り上げたいと思いますが、その前に、HSCのポジティブな面について触れておきたいと思います。

HSCには、その気質ならではのポジティブな面がたくさんあります。生まれ持った気質や感覚にフィットする環境・関わり方を大切にされて育つことができると、そのポジティブな面が表に出やすいといえます。例えば、下記のような面です。

HSCのポジティブな面

・人の気持ちを鋭く察知したり、その場の空気を読み取ったりするなど、共感力や直感力に優れている。 
・思いやりがあり、細かい気配りができる。
・自分が交流を深めたい相手を選び、その相手と深くつながって共感し合うことを好む。
・正直で誠実である。 
・想像性豊かで、芸術性や創造性に優れている。 
・好き嫌いがはっきりしている。 
・感じる力(感受性)が強く、感性が鋭い。 
・物事を深く考えたり、深く読み取ったりする。
・責任感が強い。 
・面倒見がいい。 
・平等で人権が尊重される平和や調和を大切にする。 
・調和や秩序が保たれるためのルールを大切にする。

ところが、生活の場が、家から園や学校などの慣れない外の場所に移ることによって、その子のかけがえのない魅力や個性がかき消されてしまい、逆にネガティブな面が表に出 てきてしまいやすくなるのです。

HSPの医師が作成。“学校との相性を知る 20 のチェックリスト”

では、いったい、HSCにとって何が負担で「学校に行きたくない」と感じるのでしょうか。 
親としては不登校を心配してとても気になるところですが、実は子ども本人もその理由がわからず言葉にできないことも多くあります。

そこで、今回は、自らもHSP(Highly Sensitive Person)で、不登校の経験を持つ斎藤裕医師が臨床経験やHSCに関する書籍や資料をもとに研究・分析を重ねて作成された「気質と学校との相性を知るためのチェックリスト」を紹介したいと思います。

子どもと学校との相性を知るための、 20 のチェックリスト

お子さんは、次のチェック項目にいくつ当てはまりますか?

<チェック項目>

刺激を受けすぎて圧倒されたりすると、落ち着きがなくなる、話を聞けなくなる、物事がうまくできなくなるといった状態になりやすい。(どれか一つでもある)
刺激を受けすぎると疲れやすい。神経が高ぶりすぎた時はなかなか寝つけない。(どち らか一つでもある)
□ 刺激が多すぎて不安を感じる状況や環境では、冷静さや自制心を失って、持っている 本来の良さや力が発揮できなくなりやすい。
□ 人の集まる場所や騒がしいところが苦手である。
□ 大勢の前で発表をすることや、大勢の人と会話をすることが苦手なようである。(どち らか一つでもある)
□ 誰かの大声や、誰かが怒鳴る声を耳にしたり、誰かが叱られているシーンを目にした りするだけでつらいようである。(どれか一つでもある)
□ 物事を始めたり、人の輪に加わったりする時など、行動を起こすのに時間がかかる。
□ 想定外のことや突発的な出来事に対してパニックになってしまうことがある。
□ 嫌だと思っても、なかなか「NO」が言えない。
□ 他人のネガティブな気持ちや感情の影響を受けやすい。例えば、他人の気分に影響されて、動揺したり、悲しくなって元気がなくなったりするなど。
□ 安心できない人に、急に話しかけられる、頭をなでられる、顔や体を触られる、抱きつかれることなどを嫌がる。(どれか一つでもある)
□ 子ども扱いする人や権威を示す人、権力をふりかざす人がとても苦手である。(どれか 一つでもある)
□ クラス替えで親友と離れなければならなくなって、すごく落ち込んでいたことがある。
□ 1対1で話をするのを好む。
□ 集団に合わせることよりも、自分のペースで思索・行動することを好む。
□ 観察される、評価される、急かされる、競争させられる、やりたくないことをやらされることなどをとても嫌う。(どれか一つでもある)
□ 人と比較して、自分が劣っていたり、うまくいかなかったりしたことで自信を失いがちである。
□ ストレスに対する反応が学校と関連した状況で繰り返される。例えば、「落ち着きがなくなる」「固まる」「泣きやすくなる」「言葉遣いや態度が乱暴になる」「引きこもる」「便秘になる」「眠れない」「熱が出る」「吐きそうになる」「お腹が痛くなる」など。(どれか一つでもある)
□ ちょっとしたことを気にしやすい。
□ 人のささいな言葉や態度に傷つきやすい。

これらは、HSCに見られやすい傾向です。

チェック項目に5~9コ該当するようでしたら、学校生活は負担になる (なっている)ことが予想(推測)されます。 10 コ以上該当するようでしたら、負担がかなり大きい(大きくなっている)ことが予想(推測)されます。

学校に行きたくないのはその子に原因があるのではないこと、自然な反応であること、その子にとって学校はとてもストレスフルな場所であることがイメージできるのではないでしょうか。

HSCがときに不登校の原因になるのは「学校との相性」が問題

子どもに備わっている特性は、認知、行動、情報処理、社会性などの面において多様です。しかし、日本では子どもの多様性よりも、みんなで同じことを学ぶ(行う)、という意識が強い傾向にあります。そのため、学校では、子どものそれぞれの特性に関係なく、画一的な内容と方法で教育が行われているというのが現状です。

それはある子どもにとっては適したものであっても、ある子どもにとっては適さないということも十分に起こり得ることなのです。

まとめると、HSCが「学校に行きたくない」と感じ不登校になる原因は、以下の2つであると言えます。

①気質に合わないことによる拒否反応である。
②本来の気質が活かされないまま、本当はやりたくないことをやらされることが多く、自分のペースで「自発的」に「主体性」をもって自分らしく生きることができなくなるなどの結果である。

学校という環境と相性がよくない場合、「期待に応えようと精一杯頑張ってきたことに対する息切れ」や「集団のペースに合わせて生きることへの疲弊」が起こっていることが十分考えられます。

特に夏休み明けなどは、つらくても中々言い出せず無理して頑張る子や、体調に表れるケースも増えてきます。「学校がつらい」「学校に行きたくない」といったメッセージを受け取ったら、まずは「学校との相性」をチェックリストで確認してみてください。

さらに、「学校に行きたくない」と感じて不登校になってしまったHSCが心の中でどのような苦しみを抱えているのか、また親としてどのように接してあげたらよいのか、などについて以下の記事で精神科医の斎藤 裕医師により深く解説していただきます。

精神科医が解説/不登校中のHSCが抱えるトラウマと心の中で起こっていることとは
精神科医が解説/不登校中のHSCが抱えるトラウマと心の中で起こっていることとは
とても敏感で感受性が高い気質を持つHSC(Highly Sensitive Child)の中には、学校生活の中でトラウマを抱えてしまう子もおり、そのまま不登校に.....

<参考資料>

子育てラボHSC

HSC(ハイリーセンシティブチャイルド=敏感で繊細、感受性の強く豊かな子)という気質の概念の認知・理解を広める活動をしています。また、HSCの子育てに必要な知識や情報を提供する、勉強会を開くなど、敏感な子やそのお母さんの安全・安心の基地を目指しています。 https://xn--hsc-qb4bpxncv211bpr2c.net/

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