教育は未知にあふれている

ソクラテスのたまご

2019.08.19

子どもの読書意欲を高める! 図書館の上手な利用法

文部科学省の調査によると年々、子どもたちの「本離れ」が深刻化しているようです。お子さんは本を読むのが好きですか? 学校の図書室は授業の一環や休み時間に利用するという子が多いものの、地域の図書館からは子どもたちの姿が減りつつあるようです。そこで、本当は楽しい図書館の利用法と、夏休みの読書感想文にも役立つ図書館の使い方についてお伝えします。

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図書館に行かない子どもと図書館の魅力を高めたい自治体

平成16年に文部科学省が行った「 親と子の読書活動等に関する調査 」で、児童・生徒が1ヵ月の間に地域の図書館へ行った回数を調べると「1回以上行った」割合は38.1%、「行かなかった(0回)」は61.5%。学年が上がるごとに地域図書館の利用数が減少するということも分かりました。

 

世田谷区が平成27年に行った調査でも、学齢が上がるにつれ地域の図書館に子どもが訪れることが減るという結果に。背景には塾通いの他、「家から図書館が遠い」「学校の図書館を使っている」「買って読む」などが地域の図書館を利用しない理由として挙げられました。


こうした利用率の低さに危機感を感じた各地の図書館では、それぞれ対策を講じています。例えば千葉県市川市では2014年に富士通のシステムと連携し、手作業で行っていた貸出手続きなどの図書館業務を一気にシステム化。バーコードリーダによる貸出手続き自動化は、子どものたちの読書意欲向上の入り口となっています。自分で貸出手続きが行えることの珍しさと楽しさが、魅力ポイントになったようです。このシステムではインターネット上での蔵書検索画面も子どもに好まれるものにしており、デジタルネイティブ世代への配慮がうかがえます。また、長期休みの子どもたち向けに学校図書館と公共図書館をネットワークで連携、調べ学習などの授業に必要な資料図書の準備作業に活用できる工夫もしています。


もっともこうした自治体はまだまだ少なく、多くの自治体で策を練っているものの子どもたちであふれる図書館のイメージにはまだまだ近づいていないのが現状。ただし、行政のデジタル化が進んでいる中でこうした取り組みは今後増えるのではないかと思われます。

 

 

 

 

図書館に行きたくなる2つの要素に注目!

今まで図書館に行く機会の少ない子どもに、いきなり「図書館に行こう」と言っても、気乗りしなかったり利用法が分からないということもあるでしょう。まずは図書館ならではの特長を利用し、子どもの“行きたい”意欲を引き出してみませんか?

 

図書館開催のイベントに参加してみよう

「本を読もう! 図書館に行こう!」と思っても、なかなか子どもの気が乗らないということもあるでしょう。そんな時におすすめなのが、図書館で行われている子ども向けのイベント。夏休みは特に多い時期で、さまざまなジャンルが用意されています。例えば、杉並区立阿佐ヶ谷図書館では「工作会『はねるよはねる!スーパーボール!!」が、豊島区立目白図書館では「ロボット・プログラミングワークショップ」を開催。

 

夏休みならではの工作系が多いのが8月の特徴ですから自由研究のネタを探しがてら、ふらりと出かけてみてはいかがでしょうか。その他にも毎月、決まった曜日や時間にお話会や映画の上映会を行っている図書館もたくさんあります。ネットの配信サービスで子どもに映画などを見せている家庭も多いと思いますが、大きな画面で皆と見るのはここでしかできない体験。司書やスタッフがチョイスした名作に出合えるのも醍醐味でしょう。

 

図書館スタッフにおすすめの本を教えてもらおう

図書館に足を運んだものの、たくさん並んでいる本の中からどれを読めば良いのか選択に困る子ども、子どもに何を読ませるのか悩むという保護者も多いようです。そんな時には、気軽にカウンターに相談してみましょう。


図書館のカウンターにいる司書やボランティアスタッフは本のプロ。子どもや保護者の話を聞いて「それならこの本はいかがでしょう」と優しく勧めてくれるはずです。少しパラパラしてみて気に入ったらそのまま読めば良いですし、気に入らないようならまた違う本を探しても良いでしょう。そうするうちに「この本なら読みたい」というものが見つかるはずです。

 

 

 

 

好みのジャンルを知れば図書館に通う楽しさも知ることができる!

課題図書や図書館おすすめの本が既に借り出されてしまっていた、という経験もあるのではないでしょうか。どうしても課題図書にこだわるなら書店で購入するしかありませんが、買ってしまうと途中で嫌になっても引き返しにくく、子どもが追い込まれてしまうという場合も…。できれば図書館で気に入る本を見つけて最後まで読むという習慣を身につけたいものです。


2018年にポプラ社が実施した「小学生がえらぶ!”子どもの本”総選挙」では次のような結果に。まずは親子で図書館へ行き、好きな本のジャンルを探してみてはいかがでしょうか。

 

1位 今泉忠明監修「おもしろい! 進化のふしぎ ざんねんないきもの事典」(高橋書店)
2位 ヨシタケ シンスケ作「あるかしら書店」 (ポプラ社)
3位 ヨシタケ シンスケ作「りんごかもしれない」(ブロンズ新社)
4位 今泉忠明監修「おもしろい! 進化のふしぎ 続ざんねんないきもの事典」(高橋書店)
5位 トロル作「おしりたんてい かいとう VS たんてい」(ポプラ社)

 

上記に挙げた本はビジュアル中心のため、夏休みの読書感想文などには向かないかもしれません。しかし、こうした本をきっかけに読書への関心が高まる可能性も大いにあります。まずは子どもの興味や“好き”に少しでも関係のある本を手に取ることが大切です。興味がないものを手にしてしまうと、その後の本嫌いにつながりかねません。

 

読書感想文におすすめの本は?

読書感想文がまだ終わっていない! という方向けに、大田区立羽田図書館で司書を務める凍田伊津子さんにおすすめの本を紹介してもらいました。ルース・スタイルス・ガネット『エルマーのぼうけん』。長い間ベストセラーであり続けているこの本は大人もワクワクしながら読めるため、一緒に感想文を読むのに適していると言えそうです。他にも最近の本では、あさのあつこ『バッテリー』などが読みやすくておすすめとのこと。地域の図書館には、この時期「読書感想文コーナー」を設置しているところが多いので、そこから選ぶのもよさそうです。


たくさんの本があり、しかも無料で利用できる地域の図書館は宝の山。この夏、ぜひ使いこなして図書館マスターになり、本との良い付き合い方を探してみてください。

 

 

 

近藤 とも

近藤 とも

大学院で日本近代の都市生活史について研究し、博士号を取得。現在は歴史、文学、教育、ITについてのライティング、編集、書評などを手がける。教育情報メディアの編集部に在籍していた経験から、教育事情に造詣が深い。「紺野とも」の名前で現代詩を書き、詩集も出版。趣味は宝塚歌劇と漫才を見ることと散歩。 https://tomomeronpan0.wixsite.com/tomokondo

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