教育は未知にあふれている

ソクラテスのたまご

2019.04.17

【インタビュー】発想力を鍛えるための2つのキーワードと親がすべきこととは

今年3月、Hondaが行った調査では、半数以上の親が「子どもの発想力が現状伸びていない」と思っていることが分かりました。そこで、同社が行ったのがワークショップ「おわりのないえほん」。10組の親子が参加し、後半が白紙になっている絵本の続きを子どもが自由な発想で描きました。しかし、絵本と発想力にはどんな関係があるのでしょう。そして、発想力を鍛えるために家庭できることとは? 同ワークショップに登壇した石田勝紀さん(一般社団法人教育デザインラボ代表理事)に話を伺いました。

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教育改革でも注目を集める力、発想力とは何か? 

ーそもそも発想力とはどんな力のことなのでしょうか?

 

まず、ワクワク感があることを前提に制約や批判や否定がなく自由な思いや考えを生み出す力のことです。

 

2020年の教育改革以降、生きる力を育むための21世紀型能力として基礎力・思考力・実践力という3つの力が求められます。

 

基礎力とは、読み書きや計算力といった従来の教育にもあったような基本的な学力に加え、情報を使いこなすという力のこと。思考力とは、課題解決のために想像したり、アイデアを生み出したり、答えのない問題に取り組むこと。実践力とは、知識や考えたことを周囲と協力しながら実行する力のことです。

 

このなかで発想力に関わるのが思考力。クリエイティビティともよばれ日本人に最も弱い力だといわれています。これまでの教育でも音楽や美術、体育などで育まれてきた思考力ですが、これからは主要教科の中でも求められるようになっていき、すでに入試では発想力を求められる問題が増えている傾向があります。

 

ーまさにこれからの時代に求められていく力なんですね。

 

これからAI時代が訪れます、AIはビッグデータによる解析やパターン認識力には長けていますが、新しいことを生み出す力や感情、感覚はまだ獲得しているわけではありません。AIにはない人間らしい力こそ発想力なのです。

 

そもそもAI自体、人間の発想力によって生み出されたものであり、発想力こそが新しい時代、世界を作り出しています。人間がAIに左右されず人間たらしめる力を生かし続けるために発想力は求めらていくのではないでしょうか。

 

石田勝紀さん/一般社団法人教育デザインラボ代表理事、都留文科大学特任教授。20歳で学習塾を起業した後、都内私立中高一貫校の常務理事に就任し、経営・教育改革を実践。現在は、全国で母親向け勉強会「Mama Cafe」を年間100回以上開催している。

 

 

 

子どもの思考力を鍛えるために親ができること

ーでは、発想力を育むためにはどんなことをすればいいのでしょうか。教育改革に先駆けて家庭のなかでできることはあるのでしょうか?

 

答えのない課題に取り組むことですね。今回のワークショップのように絵本(「おわりのないえほん」)の続きを考えることも答えのない課題に取り組んでいるということです。しかも、絵本には常識という枠がなく既存の思想の枠を超えた表現が可能で、それによって子どもたちは新しい思考の枠を創ることができます。

 

ー絵本に興味をもてないような年代や子の場合でも、発想力を育むために家庭でできることはあるのでしょうか?

 

自然体験や折り紙、レゴ、絵、書道、料理、整理整頓など夢中になれることなら遊びでもいいんです。遊びならルールを自分たちでつくることも発想することのひとつですし、できないことや困難なできごとに直面したときに考えることが大切です。

 

このとき、正しい答えは必要ありません。大人は子どもの失敗を肯定し、チャレンジすることを尊重して子どもに実験する習慣がつくようにしましょう。親は、つい子どもに答えを与えたくなったり、失敗をすると口出しをしたくなったりするかもしれませんが、考えるのは親ではなく子どもだということを覚えておきましょう。

 

ほかにも、人と同じであろうとせずにワンパターンから外れる習慣、「ここまでしかできない」という枠を外して天井をつくらない習慣を意識するのもいいでしょう。

 

ー子どもが試行錯誤する姿や失敗する姿を見守ることが、意外に難しいという親も多いように感じます。

そうですね。どうしても親にゆとりがなかったり、イライラしているときは、子どもの欠点にばかり目がいきがちです。子ども自身が同じ行動をとっていても親が元気なときは、子どものいいところにも目がいくようになります。現代は、母親たちが子育ての悩みをひとりで抱え込みやすく余裕のない方も多い時代です。そのため、私は母親たちを対象にした勉強会なども開催しています。

 

ワークショップ「おわりのないえほん」の様子

 

 

子どもの発想力を促進させる2つのフレーズ

ー答えよりも考えることが大切とのことですが、考えることが苦手な子にはどうすればよいのでしょう。

 

親が答えを与える口出しはよくないですが、考えることを意識させる、考えさせるように言葉がけをするのはいいと思います。2つのマジックワードを紹介しましょう。

 

1つめが、「どうすればいいだろう?」という意味の「How」。2つめが「もし~だったらどうなるだろう」という意味の「If~What」です。このように答えのない問いかけを繰り返していくうちに考える習慣がついていき、発想力が鍛えられていくと思いますよ。

 

「おわりのないえほん」概要

2018年に開催されたHonda「第16回子どもアイディアコンテスト」で最優秀賞を受賞した2作品を本人との対話を通じて絵本にしました。途中からは絵が消えて白紙になっており、子どもが自由な発想で物語の続きを描くことができます。3月27日に開催されたワークショップでは、10組の親子が「おわりのないえほん」でアイディアを出すおもしろさを楽しんだほか、同日より本書は港区の児童館などで無料配布された。また、下記の特設ページでは、絵本の内容を見ることができます。

 

<特設ページ>

https://www.honda.co.jp/ehon

 

「ソクラテスのたまご」編集部

「ソクラテスのたまご」編集部

教育に関する有識者の皆さまと一緒に、子を持つお父さん・お母さんでもある「ソクラテスのたまご」編集部のメンバーが、子どものために大人が知っておきたいさまざまな情報を発信していきます。

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