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2019.10.09

【コグトレ③・無料プリント付き】家庭で認知トレーニングー写す・見つける・想像する編―

基礎学力の土台づくりをする認知機能強化トレーニング「コグトレ」。今回の記事では、「写す」「見つける」「想像する」という3分野を紹介します。「学習面における子どもの不器用さを何とかしたい!」そんな親心を行動に移すことができて家庭で続けられるトレーニングです。無料プリント付きなのでダウンロードして取り組んでみましょう。

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コグトレとは?種類や育まれる力

「コグトレ(Cog-Tr)」とは、認知機能を強化して学習や日常生活での困りごとを軽減したり、質の向上につなげたりするトレーニング。認知機能とは、「記憶」「言語理解」「注意」「知覚」「推論・判断」などの要素を含んだ知的機能のことで、学校の勉強や日常生活を支える土台となる力です。

コグトレは、以下の3種類のトレーニングで構成されています。

  1. 認知作業トレーニング
    身体面における不器用さの改善を目指す
  2. 認知機能強化トレーニング
    学習面における基礎学力の土台づくりを目指す
  3. 認知ソーシャルトレーニング
    社会面における対人スキルの向上を目指す

この記事では、②の認知強化トレーニングのうち、「写す」「見つける」「想像する」力を育むトレーニング方法について詳しく紹介していきます。無料のプリントも紹介しているので、実際に子どもと取り組んでみましょう。

「写す」トレーニングで視覚認知の基礎力を強化

図形を理解するのが苦手な子や音読をしていても読み間違いが多い子に知ってほしいのが視覚認知の基礎力を強化する「写す」トレーニング。

「コグトレ みる・きく・想像するための認知機能強化トレーニング (プリントして使えるCD付き)」(三輪書店)では、6種類の「写す」トレーニングが紹介されていますが、そのひとつが下記の「点つなぎ」トレーニングです。

【トレーニング4】点つなぎ

点つなぎPDF(ダウンロードはこちら)

<進め方>
上記をダウンロードします。上の見本と同じ形になるよう正方形の枠の中の点を結んで再現します。

教科に関わらず学習の基本になるのが模倣です。教師が黒板に書いたことを正確にノートに写すためには、視覚認知の基礎力が必要です。

前述の本の中には、今回取り上げた正方形の枠に比較的簡単な図を模写するものだけでなく、長方形の枠に複雑な図形を模写する問題や右上の見本を左下の枠、左上の見本を右下の枠に交差して模写する問題もあり、徐々に難易度が上がっていき視覚認知の基礎力を無理なく上げていくことができます。

「見つける」トレーニングで視覚認知の応用力を強化

形の恒常性を強化し、目に見えるたくさんの情報の中から共通点や相違点を見つけていくのが「見つける」トレーニング。形の恒常性とは、見る角度を変えても形に見える現象のことです。前述の本の中では、6種類のトレーニングがあり、そのひとつが「黒ぬり図形」トレーニングです。

【トレーニング5】黒ぬり図形

黒ぬり図形PDF(ダウンロードはこちら)

<進め方>
上記をダウンロードします。左に描かれた図の黒く塗ったものを右から選び、( )の中に番号を書きます。
※どうしても分からないときは、見本の図を塗ってみましょう

形の恒常性が弱いと文字がうまく認識できず、黒板に書かれた内容と自分がノートに書いた内容が同じなのか分からなかったり、図形問題が苦手だったりします。授業のノートや連絡帳など黒板に書いたものを模写したものを見て明らかに構成が分かっていない字や図形があるなら視覚認知力についても考えてみてはいかがでしょうか?

「想像する」トレーニングで視覚情報から結果を想像する

視覚情報から結果を想像するために必要な、“関係性の理解、論理的思考、時間概念”を強化するのが「想像する」トレーニング。また、ある課題に対して計画を立てて実行し、結果を見ながら計画を修正しながらさらに課題をうまく遂行していくという“実行機能”のトレーニングにもなります。

【トレーニング6】スタンプ

スタンプPDF(ダウンロードはこちら)

<進め方>
上記をダウンロードします。上に描かれたスタンプを紙に押したときにどんな模様になるかを下から選び番号を書きましょう。
※分かりにくいときは紙をもって鏡の前に立つと分かりやすくなります。

ひとつの視覚情報からほかの情報をイメージするトレーニングです。算数の図形問題や地図を読むことなどに役立ちますよ。ほかにも前述の本の中では、前5種類の「想像する」トレーニングが紹介されています。

「コグトレ みる・きく・想像するための認知機能強化トレーニング (プリントして使えるCD付き)」では、実際にどの問題を毎日何分、何カ月ほど行えばいいのかなどの進め方も書かれています。今回紹介したトレーニングで興味をもった人は試してみてはいかがでしょうか?また、コグトレはオンライン版であるWebアプリでも提供されています。

「コグトレ」を実践することは、子どもの認知機能を強化するだけでなく、子どもが苦手なことは何なのかを教科や学校の勉強とは違う視点で理解するヒントになります。目の前の苦手を解消するためだけでなく、今後の“困った”を減らすためにもぜひ注目をしてみてください。

※記事内の記事の内容、トレーニングは「コグトレ みる・きく・想像するための認知機能強化トレーニング (プリントして使えるCD付き)」宮口幸治(三輪書店)から出版社の許可を得て引用させていただきました

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宮口幸治

立命館大学産業社会学部・大学院人間科学研究科教授。少年院矯正教育から学校教育等へ応用した効果的な支援法について教育・心理・福祉・医療の観点で行う「コグトレ研究会」(http://www.cogot.net/)を主宰。著書が多数あるほか、全国で研修なども行っている。医学博士、子どものこころ専門医、日本精神神経学会専門医、臨床心理士、公認心理師。

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