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2019.01.04

受験後は要注意! 子どもの燃えつき症候群との向き合いかた

慢性的に過度の緊張とストレスの下に置かれた場合に陥りやすい「燃え尽き症候群」。一種のうつ病ともいわれており、受験勉強によって生じることもあるといわれています。子どもの様子に違和感を感じたとき、子ども自身は何を考えていて、親はどう受け止めたらよいのか。私の経験をもとに子どもの燃え尽き症候群について紹介します。

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中学受験後に発症したバーンアウト体験

別名バーンアウト(Burnout)といわれる「燃え尽き症候群」。精神科医・心理学者のハーバート・フロイデンバーガーの定義によれば、持続的なストレスに起因する衰弱状態によって意欲の喪失や情緒不安定を起こし、対人関係に対する積極性を失ったりすることで社会的に機能しなくなってしまう症状のことを指します。 私は中学受験を終えたとき「燃えつき症候群」に陥りました。

小学4年生から受験勉強を始めた私は、両親から言われるがままに塾に通うもののたいして成績は上がりませんでした。そのため、5年生になると転塾をさせられ、そこから猛烈なスパルタ指導が始まりました。日々、余暇や娯楽もなくテレビ視聴も制限。私自身が受験校を選ぶこともなかったせいか目的意識をもつことができないまま、単に怒られるから勉強するという生活をしていました。

その結果、受験で合格を勝ち取ることができましたが、受験後の私には「ようやく解放された」という安堵感しかありません。そして、入学手続き後、入学までに行う宿題が膨大に出され「新しい勉強の日々が始まる」という現実を目の当たりにした瞬間、完全に心が折れてしまったのです。

中学生活が始まっても、部活に意欲を燃やせず、勉強にも手がつかず、がんばらないといけないのにがんばれない。そして自室にこもってはひたすらにゲームに没頭する日々。ゲームは、現実逃避ができるという感覚に近かったのだろうと思います。中学2年生時には不登校になってしまいました。

逃げることが必要なときもある

一種の逃避行動としてゲームを行い、他者の影響を受けないクローズされた世界観の中で自己を表現することで精神的なバランスを保っていた中学時代。これは臨床心理学的な観点で捉えるのなら遊戯療法や箱庭療法といった心理療法にも通じるものがあります。

当時、そんなことは考えていませんでしたが、結果として精神的な回復を促すきっかけになったのでしょう。 私にとってのゲームは、一見すると単なる逃避であり社会不適応な行動でしかありません。しかし、「がんばれ」「ちゃんとしなさい」という叱咤よりも「燃え尽き症候群」から回復していく手段としては確かに有効でした。

「燃え尽き症候群」から回復するには、精神的なエネルギーの回復を待つしかありません。私自身、周囲のストレスポイントから一旦切り離されることが必要だと無意識のうちに感じ取っていたのかもしれません。

燃え尽き症候群からの回復

バーンアウトからの回復に関しては、さまざまな説がありますが実証研究はあまり進んでいないようです。しかし、その中でヒューマンサービス職のストレスによるバーンアウトについて述べた論文(※)から回復方法を紹介したいと思います。

<バーンアウトからの回復過程>

第一段階:問題を認める段階 この段階では心身の不調や意欲の減退が単なる疲労ではなく心理的な要素が深く関わっていることを自覚することです。

第二段階:仕事から距離を取る段階 この段階では仕事との間に心理的な距離をとる、すなわち、仕事に関わる様々な思いを断ち切ることにあります。

第三段階:健康を回復する段階 仕事から距離をとり心身ともにリラックスすることが、この段階の最初の過程で、徐々に気持ちの落ち着きを取り戻していくことが必要な時期となります。

第四段階:価値観を問い直す段階 この時期の期間は個人差が大きいようですが、立ち直った人の多くが、この時期を経て、極端に仕事に傾斜していた生活のバランスを見直していったと述べていて、生活の中で何を大切にし、何をあらためるかを自らに問い直す作業ともいえます。

第五段階:働きの場を探す段階 これまでは個人の内面的葛藤とその克服がテーマであったのに対し、この段階では外の世界との関りを取り戻し、新しい価値観に合った仕事を求める時期となります。

第六段階:断ち切り、変化する段階 それまでの自分のキャリアを断ち切り、新しい環境で人生を再設計していく段階で、その意味でバーンアウトは行き場のない終着点ではなく、新しいキャリアへの出発点ともなっているといえるのかも知れません。

※「バーンアウト(燃え尽き症候群)-ヒューマンサービス業のストレス」同志社大学、久保真人(2007)

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諸葛 正弥

大手進学塾で長年指導を行ない、2007年に「イラスト図解でわかるプロ教師力アップ術55」(明治図書)を出版。教育委員会・各種学校などで教員研修を行ないながら、私立中高一貫校の学校改革などを手掛けている。また、「ロボット教室」や「学習教室まなび-スタイル」の運営、「よい子を育む家」の監修なども行ない、教育について幅広く活動を行っている。

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