親のストレスを救う!中学受験「8割が伸びる」学び方
中学受験は、子どもだけでなく“親の受験”ともいわれるほど、家族一丸となっての長期戦。SNSでは「思った以上に大変」「家庭の空気がピリピリする」といった声も少なくありません。実際のところ、保護者たちはどんな場面でストレスを感じているのでしょうか。今回、ソクたま編集部では、中学受験を控えた保護者100名を対象にアンケートを実施。
さらに家族が直面しやすいストレスについて、その背景や上手な向き合い方について、これまで1万人以上の親子をサポートしてきた学習法指導塾PHI塾長の切替一薫先生にお話を伺いました。
目次
中学受験にストレスを感じる要因で多いのは「成績や合否への不安」
今回のアンケートでは、一都三県に住み、今後3年以内にお子さんが中学受験を予定している保護者100名にご協力いただきました。すでに受験対策を始めていて、その過程でストレスを感じている方々のリアルな声を集めています。
中学受験を控えた保護者は、どのようなストレスを抱えているのでしょうか?

アンケートの結果を見ると、ストレス要因の1位は「子どもの成績や合否への不安(33%)」2位は「勉強の付き添いや送迎などの時間的な不安(25%)」、そのほか学習についての悩みが上位に目立ちます。
また、自由回答では、以下のような声も寄せられました。
- やる気が続かない
- 成績が伸びない
- 子どもの真剣さが足りない
- 子どもの熱意が出てこない
自由回答の有効回答数のうち約半分が子どもの学習・やる気・成績に関する悩みに集中し、見守りながらも日々もどかしさを感じている様子が伺えます。
ストレスはありつつも受験勉強は順調に進んでいる家庭が多い
一方で「受験勉強が順調に進んでいますか?」の質問については、「順調に進んでいる(17%)」「どちらかといえば順調に進んでいる(64%)」とポジティブな回答が全体の約8割以上を占めています。

「順調に進んでいない」と答えた人の理由には「結果が出ない」「成績が伸びない」など、学習の手ごたえについての回答が複数寄せられました。
これらのアンケートを元に、保護者の抱えるストレスの要因と対策について、切替先生にお話を伺いました。
中学受験のストレスの要因は親の思い込みや理想が大きい
親がストレスを抱える理由について、切替先生は「思い込みによるすれ違い」が大きな原因だと指摘します。
今は社会的にも「こうしたほうがいい」「こうするべき」のような情報で溢れていて、保護者がそうした思い込みにとらわれている気がします。費用や時間をかけて勉強させているなかで、子どもが親自身の“良い”とする形にそぐわないと「こうなってほしい」という思いが強くなり、イライラしたり、すれ違いが生まれやすくなります。まずは思い込みをなくすことが大事だと思います。
思い込みによって生じる現実とのズレが、保護者のストレスの一因となっているようです。そもそもそういった思い込みをしてしまう原因は、どこにあるのでしょうか?
塾のやり方や与えらえる情報に振り回されることも多い
以下は「中心としている学習形態」についてのアンケートです。これを見ると、最も多い回答が「大手進学塾に通っている(41%)」と、約4割の子どもたちが大手進学塾で中学受験に備えていることが分かります。
特に大手の塾に関しては、小6まで辞めずに続けてもらうことが運営上の目標となっていることが多いです。さらに偏差値の高い学校への実績をつくるために、より高い目標を第一志望にして、チャレンジをさせる傾向があります。
そうした背景から塾が宿題や情報を与えすぎていることも、保護者が受験教育に振り回されてしまう一因となっているようです。
塾の運営方針によって、保護者には大量の情報が、子どもには高い目標設定や膨大な宿題が課されがちです。こうした“過剰な負荷”が、家庭内でのすれ違いやストレスを生み出しているとも考えられます。
地域性や環境要因も
また、住む地域によっても親子の受験ストレスには差があるようです。
地域によって“受験熱”の温度差があります。たとえば東京都内などでは「中学受験が当たり前」という空気がある地域もあって、そこでは日常的に成績や塾の話題が出る。そういう環境にいると、どうしても意識せざるを得ないし、比較の中で焦りやプレッシャーも生まれやすいんですね。
一方で、地方の個別指導塾に通うような環境だと、そうした競争的な空気はあまりなく、トラブルも少ない傾向があります。つまり、受験のストレスは本人や家庭の問題というより、地域や周囲の空気に左右されやすいんです。
「しんどい」から「楽しい」中学受験にするには“子どもの目を見る”
また「子ども自身はストレスを感じていますか?」という質問には、親の目から見て約8割が「ストレスを感じている」という結果に。これを受けて、切替先生は次のように分析します。

もちろん、親として“合格してほしい”という気持ちは自然なことです。でも、本当に大切なのは、成績よりも子どもの意欲や関心の向く先をちゃんと見ることなんです。そもそも中学受験って、“合格がゴール”ではなくて、なぜその学校に行きたいのか、なぜ受験をするのかを親子で考える時間でもあると思うんです。
子どもの目を見ていれば、どんな瞬間に興味を持つのか、どんなことにワクワクしているのかが伝わってきます。学校見学でも、親は設備や偏差値ばかり見てしまいがちですが、子どもがどこに目を輝かせているかを見てあげてほしいんです。
結局いちばん大事なのは、子どもが受験そのものを楽しめているかどうか。プレッシャーの中でも、学ぶことや挑戦することに喜びを感じているなら、それはすでに“うまくいっている受験”だと思います。
実際に、子どもが親の望み通りに動いてしまい、後からうまくいかなくなるケースも増えているそうです。反抗するのではなく、親の期待に応えようと我慢してつらくなってしまうという、現代の子どもたちならではの傾向です。
| 詳しくはこちら:仲良し親子ほど危ない!? 中学受験が奪う子どもの笑顔 |
子どもに合わせた勉強のやり方をすると8割が伸びる
親と子、双方がストレスを感じない中学受験を目指す方法はあるのでしょうか。これについても、“子どもの目を見ること”がカギを握っています。
塾のペースに合わせようと頑張るよりも、子どもに合わせてやり方を変える方が、断然うまくいくんです。
私のところでも実際に見ていて、塾のやり方に完全に合わせて成果が出る子は1割いるかいないか。でも、子どもに合わせたやり方に切り替えると、8割の子がしっかり伸びていくんですよ。
たとえば、宿題も全部こなそうとするのではなく、本当にその子に必要なものだけを残す。それだけで、無理なく理解が深まっていくんです。
大事なのは、“こうしなきゃ”という思い込みからいったん離れて、子どもの表情や反応をちゃんと見ること。そうすれば、勉強のやり方も、そして成績も、自然といい方向に変わっていきます。
ポイントは、塾の方法や周囲の情報に親が振り回されないこと。一番のヒントは、子どもの様子をよく観察することにあります。その子に合った勉強スタイルが見つかれば、自然と成果が出て、親子ともに納得できる中学受験へと進んでいける——切替先生はそう語ります。
親子で一緒に同じ方向を見て受験に向き合う
学校選びについても同様に、子どもが主体となって志望校を決めることが大切なポイントです。
実は、子どもの第一志望って多くの場合、親の影響を受けて決まっているんです。だからこそ、親の理想や印象で導くよりも、子どもが自分の目で見て“行きたい”と感じる学校を一緒に探していくことが大切です。
学校説明会でも、情報や偏差値より、子どもがどんな場面で興味を示しているかに注目してほしいですね。そこに、志望校選びの本当のヒントがあります。
中学受験は“合格”がゴールではなく、親子で同じ方向を見て歩む過程そのものに意味があります。
まずは、親が子どもとしっかり向き合い、子どもの目線や気持ちを大切にすること。現実が見えてきて焦りを感じがちな時期も、ブレない心を持っていれば、余計なストレスに振り回されることはなくなるはずです。親も子も納得できる受験期間にするために、結果よりも「一緒に考え、成長する時間」を大事にしていきましょう。
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