初潮とは何か?親が知っておきたい初めての生理の迎え方とサポート方法を解説
我が子が初潮を迎えることは、成長の中で大切なステップのひとつです。しかし時代も移り変わり、保護者が子どもの時代とは変わっていることも多く、どのように伝えたらいいのかなど、疑問や不安を抱く場合があるようです。
初潮は身体の変化にとどまらず、心理的にも大きな影響を与える出来事です。そこで今回は、初潮が訪れる時期や前兆、準備の仕方、思春期の子どもへの接し方について解説します。親として正しい知識を持ち、わが子の成長を温かくサポートするためのヒントになると幸いです。
目次
初潮とは
初潮(しょちょう)とは、女の子が初めて経験する月経のことです。これは思春期を迎え、子どもの身体から大人の女性の身体へと変化していく過程の一つです。初潮は子どもの成長の中でも大きな変化であり、周囲の大人は正しい知識を持ち、適切にサポートすることが重要です。
初潮はいつ頃くるのか?
初潮を迎える時期は個人差が大きく、日本における平均年齢は12歳頃とされています。早い子では9歳頃から、遅い子では15歳以降に初潮を迎える場合もあります。初潮の時期には、遺伝や生活習慣、栄養状態や心理的部分など様々な環境要因も影響するため、同年代の子どもたちと比べて早い・遅いといった時期は気にする必要はありません。
初潮の前兆とは?
初潮の前にはいくつかの身体的な変化が現れることが多いです。以下に身体の代表的な前兆を挙げます。
おりものが始まる:初潮の数か月から1年前頃になると、おりものが始まります。
胸の成長:思春期になると乳房が膨らみ始めます。
体型の変化:身長の急激な伸びや体脂肪の増加など体型への変化が見られます。
性毛が生え始める:ワキや下腹部の毛が濃くなり始めます。
おりものが始まったら下着の準備を
「おりもの」が始まると驚く子どももいます。ショーツにおりものが付き、自分の身体に膣口があることを知らない子の場合、自分の身体のどこからか何かネバネバした物が出てくると病気なのではないかと不安に思う子もいます。そのため、おりものが始まるのは身体が変化し始めていることを伝えましょう。気になるなら「おりものシート」を使うことをおすすめします。月経の時に使用するナプキンの練習になるのでおすすめです。
この頃は身体も変化するため、着用する下着などにも気を付けてあげてください。胸の部分が二重になっているものやジュニア用のブラなどの下着も身体に合ったものを準備し着用させてあげましょう。一緒に準備することで、大人の女性の身体になっていく変化についても話し合うことができます。
15歳までに初潮がこなかったら病院受診を
初潮が来る時期は、身長や体重、ホルモンなどによって個人差が大きいものです。しかし、身長150㎝以上体重40キロを超えていて、15歳を過ぎても初潮が訪れない場合は、内性器の発達やホルモンの問題が潜んでいる場合もあるため、婦人科を受診して医師に相談することも検討しましょう。
なお初潮が遅れる背景にはいくつかの要因が考えられますが、一般的な例としては以下が挙げられます。
体脂肪率の不足
女の子の体が成熟して月経を開始するには、ある程度の体脂肪が必要です。最近はメディアの影響もあり過度なダイエットを行う子どもが低年齢化しており、体脂肪率が増えず、初潮が遅れる場合があります。
ホルモンの問題
内分泌系の異常やホルモンバランスの乱れも、初潮の遅れの原因となることがあります。
遺伝や病気の影響
家族に初潮が遅い傾向がある場合や、特定の病気(甲状腺機能低下症、多嚢胞性卵巣症候群など)が影響することもあります。
初潮の特徴
初潮が訪れたときのために、事前にどのような特徴があるのかを伝えておくと、実際に初潮が来た際に安心して対応することができます。以下に初潮の主な特徴をまとめました。
出血の量や色
初潮の出血量は少量の場合が多く、色は薄い茶色や赤茶色の場合があります。この頃はまだ少ないことも多いです。
期間
初潮が始まって最初の月経は、1~3日程度で終わることが多いですが、期間や出血量は個人差があり、不規則になることもあります。
周期
まだまだ内性器やホルモンの分泌も未熟なため、初期の段階では1か月以上空くことも珍しくありません。体が成長するにつれて周期も安定していきます。
病院受診が必要なケースとは
以下のような場合には、早めに病院を受診することをおすすめします。
出血が止まらない、または極端に多い
初潮であっても異常に出血量が多い、1週間以上続く場合は、婦人科で診察を受けることが必要です。
強い腹痛や体調不良を伴う
初潮に関連して激しい痛みや体調不良が見られる場合も、受診をすることをおすすめします。
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初潮に備え、準備しておいた方がいいものとは?
我が子が初潮を迎えたときに安心して対処できるようにするためには、事前の準備が必要です。初潮は予測が難しいことも多いため、予め準備をしておくことで、子どもの不安を軽減し、スムーズに対応することができます。
必ず用意しておきたいアイテム
初潮がいつ来ても良いように、基本的なアイテムを揃えておくことが大切です。以下はおすすめの準備リストです。
生理用ナプキン・吸水ショーツ
初潮を迎えたばかりの子どもには、使い方が簡単で吸収力の高い昼用ナプキンが適しています。子どもに合うサイズや厚さのものを事前に用意し、使い方を教えておきましょう。最近は吸水ショーツなどもいろいろな種類が出ているので利用するのも一つです。
ナプキンを持ち歩くための入れ物
最近はナプキンが学校においてあるところも増えているようですが、外出したとき用にハンカチ型のナプキン入れなどがあると便利です。
替えの下着
出血によって下着を汚してしまうこともあるため、替えの下着と黒いビニール袋をポーチなどに入れて用意しておくと安心です。
記録の習慣
カレンダーアプリなどを使い、自分の月経周期などの記録を付ける習慣をつけておくことは、スケジュール計画に役立つ他、婦人科にかかるときにも役立ちます。
相談先を決めておく
物理的なアイテムだけでなく、「もしものとき」に備えられるよう、どのタイミングで周囲の大人(保健の先生や親)に相談すればいいかを具体的に伝えておくと、不安が軽減されます。
子どもへの接し方、伝え方
「初潮とは何か」「体にどのような変化が起こるのか」「生理(月経)のときはどうすればいいのか」といった基本的な情報を、子どもの年齢に合わせて伝えましょう。
初潮は女の子にとって成長の一部であると同時に、大きな変化に伴う不安を感じやすい出来事でもあります。月経をポジティブに受け入れてもらうために事前の伝え方や、初潮を迎えた際の対応に注意を払うことが必要です。
月経を説明する際の注意点
月経の役割を子どもに伝える際に「生理(月経)は将来子どもを産むため」と伝えるのはおすすめできません。昔は「女性は子どもを産むための道具」だとされていた時代がありましたが、子どもの中には自分の「性」を受け入れられない子もいます。もし、自分の身体の性に違和感を持っている場合「子どもを産む」ことを望まない場合があります。子どもを将来産む、産まないは本人が成長し、その時期に選択することです。
あくまでも月経は自分の身体の健康維持のために必要なものなのです。月経をポジティブに捉えられるように「自分の身体の健康のバロメーターの一つ」と伝え自分の身体を大切にすることを教えましょう。
疑問に対するネットの活用
思春期は「性」についての興味や関心が出てくる年代です。子どもが抱える疑問や不安に丁寧に答えることは、親子の信頼関係が深まります。
無理にすべてを説明しようとせず、必要に応じて本やインターネットなどのリソースを活用することがおすすめです。しかし、ネットには嘘の情報もとても多く、今後の事も考え「性」についての疑問を検索する方法を一緒に考えておきましょう。気になった性についてのワードについては「医学」を付けると医療関係のサイトに繋がり正しい情報が得られます。検索の仕方なども一緒に確認しておくことがおすすめです。
かかりつけの産婦人科を見つけておく
月経は女性の身体にとって健康のバロメーターです。今後、月経痛がひどい場合や不調が続く場合には、産婦人科の診療が必要なケースも出てきます。産婦人科は女性の身体にとって重要な相談先です。安心して受診できるようにかかりつけの産婦人科を見つけておくことはおすすめです。
月経が始まったら:継続的なサポートと体調管理
初潮を迎えた後、わが子が安心して月経と付き合えるようにするには、長期的な視点でサポートを続けることが大切です。月経は成長の証である一方、ホルモンバランスの変化によって体調や生活に影響を与えることもあります。必要に応じてアドバイスを提供しましょう。
身体の変化、感情の変化を記録する
初潮の後、しばらくは月経周期が不規則になることが一般的です。この時期に、月経の記録をつける習慣を身につけることは重要です。体調や、感情の変化など大人が手伝い記録することを教えましょう。自分の体を理解しやすくなります。
月経痛や体調不良への対応
初潮後の月経では、体調不良や月経痛が見られることがあります。特に思春期の子どもは自分で症状を把握しきれないこともあるため、大人の女性のサポートが重要です。
症状に応じた対応を知る
軽い月経痛であれば、身体を温めたり、緊張をほぐすなどが有効な場合があります。温かい飲み物やリラックスすることで緩和されることがあります。睡眠不足も影響することがあります。横になるなど少し休息を取ることで楽になる場合があります。
重い症状の場合は専門医に相談
月経痛が強すぎて日常生活に支障が出る場合や、出血量が異常に多い場合は、婦人科を受診することを勧めます。産婦人科で処方をしてもらい鎮痛剤などお薬の使用も選択肢の一つです。
心理的なサポート
ホルモンバランスによる体の変化は、思春期特有の感情の揺れにも影響を与えます。この時期に子どもが安心して過ごせる環境を整えることが大切です。
自己肯定感を育む言葉かけ
思春期は周囲の人間関係に敏感になりやすく、自己肯定感が下がりやすい時期でもあります。身体の変化をポジティブに捉えられるよう、自己肯定感を下げないためのサポートは重要です。
日常生活での配慮
月経期間中は、体調や気分の変化に合わせた日常生活の調整も必要です。睡眠や規則正しい生活など基本的な生活習慣を整えることが重要になります。
食事面での注意
メディアの影響も大きく、過度なダイエットなど、食事を減らしたりする子が低年齢化しています。この時期に栄養面が偏ることで月経周期が不規則になったり、来なくなってしまったりすることも少なくありません。バランスの良い食事を心がけ、体調を整える手助けは必要になります。
生理用品について
ナプキンを収納するスペースなどの情報を共有し、使用済みナプキンの捨て方なども事前に話し合っておきましょう。ナプキンには容量とサイズが異なるものがあり、就寝時や多い日に使うものなど説明も必要な場合があります。吸水ショーツの場合は洗濯の仕方など家庭で話し合っておく必要があります。
まとめ
初潮は、女の子が大人の女性へと成長する大切なステップであり、親として正しい知識を持ち、適切にサポートすることが欠かせません。この記事では、初潮の時期や前兆、準備すべきアイテム、子どもへの接し方、初潮後の体調管理や心理的サポートについて具体的なアドバイスを提供しました。
初潮は身体の変化だけでなく、心の成長にも影響を与える出来事です。子どもが初潮をポジティブに受け入れ、自分の身体と上手に向き合えるよう、親子で一緒に準備を進めていきましょう。また、初潮後も定期的な見守りやケアを続けることで、わが子の健康をサポートし、安心して成長していく環境を整えることができます。
月経は、女性の健康を示すバロメーターです。体調や月経に関する悩みがある場合には、早めに専門医に相談し、必要なケアを受けることも大切です。正しい知識と温かいサポートで、わが子の新しいステージを迎える準備を整えてください。
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療育20年、放課後デイ10年運営のベテラン。子どもの「できない」に悩む親へ、行動の原因と対策に徹底的にサポート。幼少期にこそできる家庭内療育を提供。発達障害の子への性教育も。 これまでに、『発達障害の女の子のお母さんが、早めに知っておきたい「47のルール」』(エッセンシャル出版社)、『発達障害の女の子の「自立」のために親としてできること 』(PHP研究所)と2冊の本を執筆。現在も出版に向け本の執筆をつづけている中、子育てのポータルサイトにて発達障害の子の子育てコラムを連載中。