「部活動の地域移行」実施はたった2割未満。移行できない理由を公立中高の先生1181人に聞いた
教員の長時間労働、指導者不足、少子化による生徒数(部員数)減少……。今、「部活動」は厳しい状況に置かれていて、練習や試合ができないケースも多く見受けられます。解決策として提唱されたのが「部活動の地域移行」ですが、実際のところ、今どの程度まで実施されているのでしょうか。現状と課題を解説します。
「部活動の地域移行」実施はたった2割未満
菅公学生服株式会社は「部活動の地域移行の状況」について、公立中学校・高校の先生1181人にアンケート調査を行いました。
まず、「あなたの勤務する学校では、『部活動の地域移行』は実施していますか」と質問したところ、このような結果になりました。
全体的に、「部活動の地域移行」を実施しているのはたった2割未満。公立中学校では「今後、移行予定がある」の回答も目立ちましたが、公立高校では大半が「移行予定はない」としています。
現状打破の解決策として期待されている「部活動の地域移行」ですが、なぜこれほど停滞しているのでしょうか。「あなたの勤務する学校の『部活動の地域移行』の課題は何ですか」と質問すると、課題が浮き彫りになりました。
公立中学校・公立高校ともに「部活動指導員・外部指導員の人材確保」に悩んでいることがわかりました。2位の「部活動指導員・外部指導員の費用」も考慮すると、「いかに良い指導員を確保して安定的に報酬を払うか」が喫緊の課題といえそうです。
確かに、地域に専門的なスキルを持った指導員が都合よく在籍しているとは限りません。競技によっては指導者がまったく見当たらないこともあるでしょう。
また、指導者への報酬や施設のレンタル費などで、家庭に負担がかかることも懸念されます。そうなると、金銭的な理由で部活動に参加できない家庭も出てくるかもしれません。
「部活動の地域移行」の成功事例
課題山積な「部活動の地域移行」ですが、アンケート結果をよく見ると、公立中学校・公立高校どちらも1割程度は「すべての部活動で移行している」ようです。
実際に移行を完了した学校は、どのようにすすめていったのでしょうか。
東京都渋谷区の中学校の事例
東京都渋谷区の中学校では、2021年度から「シブヤ『部活動改革』プロジェクト」を開始しました。
このプロジェクトのために設立されたのが、一般社団法人渋谷ユナイテッド。これは区内8校の中学生たちが合同で参加できる部活動で、サッカーやダンスなど9種目を開設しているとか。なお指導者や活動場所は、地元の企業や団体と連携して確保しているそうです。
“ヨコ”のつながりもたくさんできるので、子どもの世界が広がりそうですね。まさに新しい部活動の形です。
茨城県つくば市教育委員会の事例
茨城県つくば市教育委員会は、地域クラブを運営しているそうです。
事務局は地元のサッカークラブ「つくばFC」。月額1500円で、月2~3回、1回あたり2時間程度の部活動を楽しめます。なお指導者は地元の大学などから専門的なスキルを持つ方に依頼しているそうです。
「部活動の地域移行」が期待されていますが、現状、実施しているのはたった2割未満でした。まだまだ学校も生徒も模索している段階ですが、成功事例も少しずつ増えています。一人ひとりが好きな部活動を存分に楽しめるような環境が整うと良いですね。
<参考資料>
・PR TIMES(カンコー学生服)
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