【助産師・看護師に聞いた】小中学生にタンポンはあり?使い方はどう教える?
夏のレジャーの代表格といえば、海水浴やプール。家族や友達と遊びに行く計画を立てている人も多いのではないでしょうか?楽しみにしていた海やプールの予定が、生理の日とかぶってしまうことも……。そんなとき、小学生や中学生の子どもに「タンポンを使ってみたい」と言われたらどうしますか?助産師・看護師の河井恵美先生がアドバイスします。
目次
子どものタンポン使用に抵抗のある親は8割
インスタグラムで子どもをもつ母親に向けて行ったアンケートによると、自分でタンポンを使ったことのある親は67%。7割近くの母親が、タンポンを使用したことがあるという結果になりました。
一方で「小学生の子どもがタンポンを使うことに抵抗はありますか?」という質問では、「あります」と答えたのが79%と、8割近くにおよぶ母親が、子どものタンポン使用に抵抗を持っていることがわかります。
アンケートのなかでは「子どもが正しく使用できるのか不安」「処女膜がやぶれるのではないか」「抜き忘れが心配」といった声も多く挙がりました。
ナプキンと違い、膣に直接挿入するタンポンは子どもにとって扱い方が難しいといった印象があるようです。
子どもにタンポンを使ってもいい?
そもそも、子どもにタンポンを使っても問題はないのでしょうか?
助産師・看護師:河井恵美先生
「小学生の子どもでもタンポンを入れることはできるし、使うこともできますよ。ただ、使い方が難しく、気をつけなければならないことが多いのも事実です。子どもの場合、どこまで身体の仕組みについて理解しているのかも重要です。膣口がどの位置にあるのか、おしっこの穴とは違う場所にあるのだということをわかっていなければ、タンポンを使うことはできません」
保護者として、子どもにタンポンを渡すだけでは不十分です。性教育の一貫として、子どもに身体の仕組みを理解させることが先決です。
処女膜はやぶれない?痛みはある?
小中学生にタンポンを使うとなると、どうしても気になってしまうのが処女膜についてです。なかには「処女膜がやぶれてしまうのではないか」と不安を持つ人もいます。
助産師・看護師:河井恵美先生
「処女膜というのは、実際に膜が張っているものではなく、ひだになっています。タンポンくらいの細さでは、ひだは傷つきません。ただ、子どもの膣口はまだ小さいので、緊張を感じていたりすると、きゅっとしまってしまいます。その状態でタンポンを使った場合、痛みは感じるかもしれませんね」
また、生理周期が安定していない状態でタンポンを使うことにより、痛みは感じやすいといった側面も……。
助産師・看護師:河井恵美先生
「腟内におりものや、ある程度の潤いがないと摩擦が生じて痛むこともあります。初潮が始まったばかりのお子さんは、まだ生理周期も安定していません。おりものや、腟内の状況も安定しているわけではないので、スムーズに入れるのは難しいかもしれません」
早いうちからタンポンを使うことにより、将来的に子宮内膜症や不妊症になるなどのリスクを不安に思う保護者もいるかもしれません。しかし、河井先生によると、現時点ではそういったリスクがあるとの発表はされていないようです。
子どもがタンポンを使う際の注意点
タンポンを使う際に注意したいのが「抜き忘れないこと」です。ナプキンと違い、目で確認する頻度の少ないタンポンは、つけていることを忘れてしまうというケースも少なくありません。
助産師・看護師:河井恵美先生
「大人でもタンポンを抜くのを忘れてしまう人がいます。別の検診で来たときに、タンポンが入っていましたよ、ということもあるんです。タンポンに紐がついていても、外陰部にくっついていると気づけないんです」
タンポンを抜き忘れると、どんなリスクがあるのでしょうか。
助産師・看護師:河井恵美先生
「タンポンを入れっぱなしにすると、中で毒を発するんです。黄色ブドウ球菌が産生する毒素によって、ショックを引き起こします。トキシックショック症候群と言います。膣の中で毒素が増えてしまってショック状態になり、ひどいときは亡くなる人もいます。パッケージにもタンポンを8時間以上入れないでくださいと書いてあると思いますが、8時間と言わずにもう少し早く出して取り替えたほうが安心です」
子どもがタンポンを使う場合、自分で時間の管理ができるかどうかが重要です。遊びに夢中になってしまい、タンポンを抜き忘れる不安があるなら、ナプキンを使用したほうが安心かもしれません。
修学旅行や学校でプールがあるなど、小中学生がどうしてもタンポンを使いたいときはどうすればいいのでしょうか。
助産師・看護師:河井恵美先生
「タンポンを使いたいときは、プールの時間だけ、海に入っている間だけと、時間を決めて使うといいと思います。いきなり修学旅行や学校で使うのではなくて、事前に家庭で試しておくといいと思いますよ」
親が子どもに教えるときの注意点
子どもが初めてタンポンを使うのは、なかなか難しいといった面もあります。親が子どもにタンポンの使い方を教えるには、どうすればいいのでしょうか。
助産師・看護師:河井恵美先生
「親が実際に自分でタンポンを使ってみるのが早いと思います。タンポンを入れるときの角度や体勢も、自分で使ったことがないとなかなかわかりません。親が使ってみて、子どもに使い方を教えてあげてください」
とはいえ、親自身はタンポンに抵抗があるものの、子どものほうがタンポンを使いたいと言い出した場合もありますよね。
その場合は、タンポンを出している製品のサイトには、詳しく使い方が載っています。サイトを見ながら教えてあげるとわかりやすいでしょう。
タンポンについて教えるのは初潮の前
そもそもタンポンについては、どのタイミングで子どもに伝えるのでしょうか。
助産師・看護師:河井恵美先生
「タンポンは、初潮が始まる前の小学3~4年生頃に伝えるといいと思います。生理について教えるときに、ナプキンと一緒に選択肢のひとつとして教えてあげてください。その際に『お母さんはこれを使っているよ』と話すと、お子さんも安心して選ぶことができると思います」
最近では、月経カップや吸水ショーツなど、生理用品にも選択肢が増えています。全部を買い揃える必要はありませんが、子どもが選択できるよう、いくつか提示してあげることも大切です。
ナプキンは、実際に初潮が来る前に使ってもらい、おりものシートやナプキンをショーツにつけて1日過ごしてもらうと、実際に生理になったときもイメージがしやすいそうです。
小中学生がタンポンを使う2つのポイント
身体的には、生理になってからすぐに使い始めることもできるタンポン。とはいえ、小中学生がタンポンを使い始めることは簡単ではありません。
- 性器の位置を把握できているか(自分で出し入れできるか)
- 自分で時間の管理ができるか(抜き忘れることはないか)
このふたつが鍵になります。「何歳から使えるか」という年齢以上に、どれくらい自分の身体について理解していて、自己管理ができるかという部分も大きいです。
日頃から子どもと生理について話せる環境を整えておくこと。子どもの様子を見ながら、適切に使うタイミングを考えられるといいですね。
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