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2023.02.24

子育て世代の9割が、岸田首相の「異次元の少子化対策」に疑問を感じる、これだけの理由

岸田文雄首相が2023年の年始に掲げ、話題となっている「異次元の少子化対策」。「ソクラテスのたまご」子育て世代80人に独自アンケートを実施したところ、実に9割もの人が疑問を感じていることが分かりました。こんなにも多くの人たちが疑問を感じる理由とは、いったい何なのでしょうか。回答の一部を紹介します。

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「異次元の少子化対策」とは

岸田文雄首相は、年頭の記者会見で「異次元の少子化対策に挑戦する」と述べました。

“異次元”というインパクトあるワードが世間をにぎわせていますが、いつどんなことをするかは今のところ明らかになっておらず、2023年3月末までに下記の3本柱を中心に具体策をとりまとめていくとしています。

「異次元の少子化対策」3本柱

  1. 「児童手当」などを中心とした経済的支援の強化
  2. 学童保育や病児保育を含む幼児教育・保育サービスの強化、産後ケア・一時預かりなどの拡充
  3. 働き方改革の推進と制度の充実

財源を含めた具体策は、少子化対策を担当することになる「こども家庭庁」が発足する4月以降に調整。子ども関連予算の倍増に向けた道筋を2023年6月までに示すとしており、岸田首相は「若い世代から『ようやく政府が本気になった』と思っていただける構造を実現すべく、大胆に検討を進めてもらう」と述べています。

「異次元の少子化対策」アンケート結果の圧倒的意見

しかし、岸田首相の意気込みとは裏腹に、「ソクラテスのたまご」が0歳~18歳までの子どもをもつ子育て世代80名に対して実施した「岸田文雄首相が掲げている『異次元の少子化対策』についてどう思いますか?」というアンケートでは、約9割もの人から疑問の声が上がりました。

その理由は大きく3つあるようです。子育て世代から寄せられた生の声を紹介します。

1.何が異次元なのか分からない

最も多かったのは、「異次元とまで掲げているのに具体策が定まっていない」ことに対する疑問です。「口だけではないか」「当事者にきちんと向き合っていないのではないか」という声が多く寄せられました。

言葉のバズり、パワーワードになるだけ、中身はなんなのか不明。逆にこのような話題性ある言葉だけという点で、現実的な課題に向き合っておらず、力を入れる気もない、支持率目的だけの政治戦略だと感じてしまった。

(40代後半・女性)

正直言って何が異次元なのかと疑問しかありません。元々の施策の拡充しか議論に出ていない上、口を開いたと思ったら産休育休中の勉強だなんて呆れて物も言えません。全く子育て世帯の方を向いていない政権なのだとよく分かりました。

(30代前半・女性)

異次元と感じられる要素が無い。お金をばらまくことが少子化対策になると思えない。『物理的』のみならず、世間や親自身の『意識的』にも、仕事と子育ての両立できる環境が整わないと子供を産もうと思う人は減る一方だと思う。また、晩婚化に歯止めがかからないと少子化は止まらないと思う。

(40代前半・女性)

2.家計の負担につながるのではないか

次に多かったのは、「予算の拡充が、家計への負担につながる」のではないかという声です。

岸田首相は子ども関連予算を倍増するとしていますが、その財源はいったいどこからくるのかと不安に思っている人もいるようです。増税や保険料の増額につながるのであればやらないほうがいいという意見が多くみられました。

これまでの実績から、あまり期待はできない。子供関連の予算を2倍にして、他にも皺寄せが来るならやらない方がいいと思うし、その予算が捻出できるなら所得税を下げた方がインパクトがあるし体感的には暮らしが楽になったような気になって、間接的に少子化対策になるような気がする。

(40代前半・男性)

子育て支援をより一層充実させるという意味では賛成ですが、その財源を確保するのに消費税増税や社会保障や各種保険料を増額させて国民に負担させるのであれば家庭の支出も増えるので結局意味のない政策になるのではないかと危惧しています。

(30代前半・女性)

少子化対策は必要だと思いますが、財源がどこからか分からないのでは不安になります。まず先立つ財源を確保してから少子化対策を打ち出してほしいです。増税ありきの政策では問題の先延ばしにしかならず、少子化の解決に至りません。

(30代後半・女性)

3.出生一時金を上げても意味がない

出産育児一時金の引き上げについては、これまで子ども1人につき42万円だったものが、2023年4月から50万円に引き上げられることが決定しています。

これに対し、子育て世代は「出生一時金を上げただけでは少子化対策にならない」「産院も費用をあげてくるから意味がない」という意見が寄せられました。

そもそも、子供を産んだときにかかるお金だけではなく、育てるほうがお金がかかります。おそらく出産一時金は病院側も上げてくるでしょうし、意味がないです。高校や大学の学費が高すぎるのをなんとかしない限り、二人目を産むのも難しい時代です。

(30代前半・女性)

やっている事が今がよければいいという考えで長期的にみると、全然物足りないと思います。出産一時金を増やしたりしただけでは、その時は助かっても、大学進学までするとなると約20年間、子供にお金がかかるわけだから、少子化対策にはなっていないと思う。

(30代後半・女性)

少し短絡的ではないかと思う。妊娠して10万円もらうよりも、産んでから継続的に月額でもらえる方が絶対に使いやすい。また出産一時金についても出産は保険診療ではないので、病院側が出産費用を高く設定しなおして結局手元に残るお金は無くなるか赤字になるだけだと思う。

(30代後半・女性)

これから具体策が調整される「異次元の少子化対策」については、「異次元とまでインパクトのある言葉を選んだのだから、高いレベルでこの施策を実現させて欲しい」という期待の声も上がっていました。4月以降に調整される具体的な内容に注目が集まりそうです。

<参考資料>
DIAMOND online「岸田首相「異次元の少子化対策」は小手先?出産費用は抜本対策が必要だ」
東京新聞「岸田首相肝いり「異次元の少子化対策」 肝心の財源は春の統一選後に議論先送り」
日テレニュース「【解説】国や東京都「新対策」発表 “異次元”少子化の歯止めに? 専門家「最大の問題は教育費」」

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