再婚相手と子どもが上手くいかない!間に立つ私はどう接するべき?
子連れで再婚をする場合、子どもの気持ちを最優先に考えるケースが多いのではないでしょうか? 今回の相談者さんもそのひとり。ですが、だからとって悩みが起こらないわけではないようで…。父娘の関係に悩む母親へ心理カウンセラーの野口房子さんがアドバイスをします。
今回の相談
- 今回の相談者(仮名) 深山雪子さん(47歳/埼玉県在住)
- 同居中の家族 夫、娘
- 相談内容 約10年前に一人娘を連れて再婚をしました。現在、娘は高校1年生なのですが、(現)夫との仲が悪くて悩んでいます。何とか関係を調整できるように努力をしてみましたが、娘の反抗期も相まって関係は悪化するばかりです。私はどのように2人と接すればよいのでしょうか?
不仲の理由は性格の不一致?
20年以上にわたり、思春期の子とのコミュニケーションについての相談を受けてきた心理カウンセラー・家族相談士の野口房子さん。今回の相談では、まずは過去と現在の家族関係、深山さんが抱えている思いを聞いていきました。
詳しく話していくことで、関係悪化の原因、家族それぞれが抱えている思い、そして深山さん自身が一番望んでいることなどが整理されていきます。
再婚当時の娘と夫の関係
現在、夫と娘の不仲に悩む深山さんですが、再婚をした際には娘の気持ちや意見を最優先に考えており、時間をかけて現夫と仲を深めていき、娘からも「絶対に結婚して欲しい」と言われたという経緯があったそう。
夫との性格、教育観の違い
再婚当時、夫と娘の関係は悪くなかったそうですが、一緒に暮らし始めて性格の違いが少しずつ気になり始めました。
「夫は細かいところによく気付くタイプ、私と娘は大雑把なタイプなんですが、再婚後、彼は、娘に対して細かく注意をするようになっていったんです。
夫としては『子どもの将来のために注意している』と思いますが、例えば、『部屋のドアを閉める力が弱くてきちんと閉めていなかった』『シャンプーボトルを決められた場所に戻していなかった』ということを高圧的に厳しく怒るんですよ。
私は親だからといって頭ごなしに叱るのは違うと思うし、さすがに厳しすぎると思って、言い方を変えて欲しいことなども伝えたのですが、理解してもらえず…。小さいときは、私が間に入って折り合いをつけていたんですが、今は私が仕事で家を空けることも多いので、いつも仲裁役に入ることもできず…。
娘は最近、『粗探しされているみたいで嫌だ』『世の中に1人だけ嫌いな人間がいて、それが父親だ』と話すほど夫を嫌っているようです」(深山さん)
特性が強いグレーゾーンの夫
教育観の違い以外にも、夫婦の会話で意思疎通の難しさを感じているという深山さん。過去には夫婦カウンセリングを受けていた時期もあるそうです。その際、カウンセラーの勧めがあり、発達障害の検査を受けたところ…。
「夫は発達障害の診断が出るほどではありませんでしたが、凸凹が大きく、いわゆるグレーゾーンであることが分かりました。夫は実際に白でも、黒だと思ったら絶対に意見を曲げないし、苛烈に私や娘に怒った後でも何もなかったように普通に話してくるんです。もしかしたら、発達傾向に関係あるのかもしれないと思っています」(深山さん)
娘は離婚することには反対している
深山さんと娘の関係はとても良好。深山さんとしては、娘に厳しすぎる夫を見ていると「自分がもっと稼いで離婚し、娘とふたりで生きていったほうがよいのではないか」と思うこともあるそうですが、娘からは「離婚はしてほしくない」と言われているそう。
「娘は『大学に行きたいし、離婚したら経済的に困ることになる』から、これ以上言ったらヤバイという境界は見極めているそうです。ただ、『だからといって完璧にはできないし、(父親に対して)ガマンはしない』とも言っています。私も娘にガマンをさせたいわけではないので、その点は同意するのですが、どう対応していくべきなのか悩みます。
夫には『娘は体は大きくなってもまだ未熟な年代だから長い目で見て欲しい』と話し、娘には『一緒に暮らすからには、お互いが不快にならないようにしていく必要があること、嫌いな人に悪い態度を取っていいという考え方は極論』ということは伝えているんですが理解してくれているかどうかは分かりません」(深山さん)
夫と娘に対してふさわしい対応とは
悪化していく娘と夫との関係に不安を感じている深山さんですが、カウンセラーの野口さんは、「娘さんが自分の気持ちを出せているのは悪いことではないですよ」と話します。
「家の中で自分を出せているというのはいいことです。家で出せなければ、別の方向で出しますし、自分を出せるというのは、基盤に愛情があり、いい関係性が基本的にあるからです。ただ、どれだけご主人や娘さんが望んでも相手が変わることはないんですよね。自分以外の人間を変えることはできないんです。
特に深山さんの夫さんの場合、発達傾向のこともありますよね。細かいことへのこだわりの強さはそこに由来するのかもしれません。自分の中のルール(こだわり)が強すぎてコミュニケーションが取れないのかもしれませんね」(野口さん)
発達傾向のことは先天性の問題であり、心がけや考え方で変えることはできません。ただ、特性を知ることで対処を考えることはできます。
「娘さんの気持ちに共感しつつ、コミュニケーション不全の一因が変えることのできない特性にあるかもしれないことを伝え、スルーする方法を一緒に考えてみてはいかがでしょうか」(野口さん)
また、娘さんにはダンスやピアノ、友達関係など楽しいことがあり、嫌なことがあってもうまく気持ちをリカバリーできているようです。
「思春期はもう数年続くと思いますし、夫が変わることも難しいかもしれません。今のように娘さんのよき理解者になり、夫と娘の間に入るという対応でいいと思いますよ」(野口さん)
あなたの悩みを野口房子さんに相談できます
ソクラテスのたまごの姉妹サービス「ソクたま相談室」なら、オンライン上で野口さんに悩みを相談できます。
野口さんへの相談ページを見てみる心配なのは夫や娘より仲裁役のあなた
一方で「心配なのは、仕事をしながら、家でも夫や娘さんのためにエネルギーを使ってる深山さん自身です。疲れていませんか?」と話す野口さん。
「今、夫や娘のことに悩むだけでなく、私の仕事もハードな時期なので、気持ちをリセットするためにひとりの時間も欲しいのですが、夫は常に同じ部屋にいたがるタイプなので、休日にもうまく気分転換ができていませんね」(深山さん)
夫に気持ちを話せば、ひとりの時間をつくることはできるかもしれないと話す深山さんですが、平日の家事を担ってくれていることを考えると、「ひとりの時間が欲しい」と言うことが自分のわがままのように感じてしまうそうです。
「家事は家族が生活するためのもので、できるほうがすればいいんです。そして、長い夫婦生活の中で、家事の役割が時期によって交代しているだけで、たまたま今がご主人がその役割の時期というだけなんです。だから、感謝はしても遠慮をする必要はありません。
また、役割は大変なところもあるけれど、実行することで達成感がありますよね。もしかしたら、家事をすることでご主人の中のこだわりやルールがいい方向に発揮できているかもしれませんし、感謝されることが彼を満たし、幸せにつながっているかもしれません。だから、深山さんは遠慮するのではなく、自分を満たすために『ひとりの時間が欲しい』と言っていいんですよ」(野口さん)
自分をほめることも大切
また、家庭内の関係修復だけでなく仕事面でも神経をすり減らす日々を送っている深山さん。野口さんは、「自分をほめてください」とアドバイスします。
「自分をほめるというのは難しいことだと思うかもしれませんが、例えば、『今日は仕事に行った』『収入を得た』『税金を収めた』など、普段の生活の中にもほめるポイントはたくさんあるんです。深山さんの場合は、『明日できることも今日しなければ』など常に全力を出し続けてがんばりすぎるところがあるので、『明日できることを明日に回した』『目をつぶることができた』ということもほめポイントかもしれませんね」(深山さん)
カウンセリングを終えて…
「気持ちを汲み取りながら話を聞いて頂いて、当初の相談内容だけでなく、いつもひとりで考えている自分自身に対する考え方まで聞き出してもらえたことに驚いています。マッサージの後に体がほぐれているのと同じように、今、心がとてもほぐれています」(深山さん)
あなたの悩みを野口房子さんに相談できます
ソクラテスのたまごの姉妹サービス「ソクたま相談室」なら、オンライン上で野口さんに悩みを相談できます。
野口さんへの相談ページを見てみる子育てのお悩みを
専門家にオンライン相談できます!
「記事を読んでも悩みが解決しない」「もっと詳しく知りたい」という方は、子育ての専門家に直接相談してみませんか?『ソクたま相談室』には実績豊富な専門家が約150名在籍。きっとあなたにぴったりの専門家が見つかるはずです。
子育てに役立つ情報をプレゼント♪
ソクたま公式LINEでは、専門家監修記事など役立つ最新情報を配信しています。今なら、友だち登録した方全員に『子どもの才能を伸ばす声掛け変換表』をプレゼント中!
エディター、ライター、環境アレルギーアドバイザー。新聞社勤務を経て、女性のライフスタイルや医療、金融、教育、福祉関連の書籍・雑誌・Webサイト記事の編集・執筆を手掛ける。プライベートでは2児の母。