カタカナが覚えられない6つの理由と学習法を元教師が解説します
小学生になれば誰でもできると思っていたカタカナが覚えられない…。「まじめに取り組んでないから?」「この先、どうなっちゃうの?」と不安と焦りで頭がいっぱいになってしまいますよね。ですが、ひたすら書き取りをさせればできるようになるとは限りません。「なぜカタカナが苦手なのか」という理由を知り、適切な対策や勉強法をしていくために、元小学校教員の東美香さんが今日からできることを紹介します。
目次
カタカナが覚えられない6つの理由
子どもがカタカナを覚えられないと、保護者は「どうしてだろう?なんで覚えられないの?」と焦ってしまいますよね。
ですが「カタカナが覚えられない」ことには、理由があり、合った学習法を取り入れることでカタカナは覚えやすくなります。
【理由①】カタカナに興味がわかない
カタカナにやる気が出ない様子の場合、カタカナに興味をもてていない可能性があります。
子どもは、興味や面白みを感じることで生き生きと学習に向かうことができます。逆の場合は、なかなか学習に気持ちが向かずに、覚えられなくなります。そのため、子どもがワクワクするようなカタカナの学習法を実践していくと良いでしょう。
【理由②】カタカナに触れる機会が少ない
“カタカナに触れる機会が少ない=カタカナの学習経験が少ない”状況も考えられます
学習経験が少ないことで、カタカナが苦手になっているのだとしたら、大変もったいないです。カタカナに触れる機会を増やしていくことで、解決していけますよ。
【理由③】単語のまとまりを理解するのが苦手
子どもが、カタカナを拾い読みしている場合、”単語のまとまりを理解するのが苦手”だからかもしれません。
カタカナの一文字一文字は読めるのに、単語になると、つまずいて読み書きに苦戦していることはありませんか?
ひらがなでも同様ですが、「ネコ」、「メロン」など、言葉は全て「まとまり」でできています。「単語のまとまり」を意識できるとスムーズに読むことができるようになりますよ。
「拾い読み→単語のまとまり」につながる学習法を実践することで、苦手を克服していくことができます。
【理由④】文字の形を捉えるのが苦手
カタカナが、鏡文字になっていたり、「ウ」と「ワ」のように似たような形のカタカナを間違って書いたりしている場合、「文字の形を捉えるのが苦手」なのかもしれません。
文字の形や一画一画の位置を捉えるのが苦手だと考えられます。
このような子どもの場合は、「視覚へのアプローチ」や「具体的なイメージに結び付ける」学習法が効果的です。
【理由⑤】文字と音を結び付けるのが苦手
子どもが、“聞き取ったカタカナ”を正しく書くことが難しい場合、「文字と音を結びつけるのが苦手」なのかもしれません。
声を聞き取ることが苦手なため、カタカナを耳で覚えられずに、読み書きするのが難しくなっていることが考えられます。
私たちが、異言語の中にいるような状態だと想像すると、わかりやすいかもしれません。異言語を聞き取って、正しく書くことは、難しいですよね。
そして、そのような中にいるのは、とても苦しいし、辛いですよね。
このような子どもの場合は、「視覚」へのアプローチをすることで、聞き取りの弱さを補う学習法が効果的です。
【理由⑥】ワーキングメモリが弱い
同じカタカナを何度書いても覚えられない場合、ワーキングメモリのせいかもしれません。
たくさん書いて、一度は覚えたものの、日が経つと、読み書きできなくなっている・忘れていることがないでしょうか?
ワーキングメモリは、ものごとを一時的に覚えて使うための、脳の機能であり、人によって個人差があるので、一度学んで覚えたものが、定着しやすかったり、しにくかったりします。
このような子どもの場合は、視覚や聴覚へ働きかける学習法が効果的です。
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東さんへの相談ページを見てみる【理由①の場合】遊び心をくすぐりカタカナに興味をもたせる
子どもは興味があるときこそ一番伸びます。それは、「知りたい!」「やってみたい!」という気持ちが強いからです。
その気持ちをもってもらうためには、勉強する雰囲気ではなく、ゲーム感覚・遊びの延長線上でカタカナの学習に取り組むことが重要です。
下記のような方法はいかがでしょうか。
カタカナパズル
カタカナの50音を描いたカタカナパズル。子どもが興味のあるキャラクターのカタカナパズルを選ぶと最も効果的です。
例えば、トーマスが好きなら、トーマスに出てくるキャラクター名からカタカナを覚えられる可能性があります。他にも、ポケモンやプリキュアなど、子どもが好きなキャラクターを十分に活用してみましょう。
カタカナカードでかるた遊び
カードにカタカナが1文字づつ書かれているカタカナカード。筆順や書き方、その行の何番目の文字なのかを記しているカードもあります。
購入しなくてもメモ帳・画用紙など身近にある、適当な紙で作ることもできますよ。
初めは、一文字ずつのカタカナカードで、かるた遊びをしてみましょう。慣れてきたら、2文字の単語や3文字の単語など、文字の量を増やしていきましょう。
家や街でカタカナ探し
子どもと一緒に家の中にあるカタカナを探してみましょう。チラシから見つけても良いですし、ダンボールや本のタイトル、パッケージなどからも、たくさん見つけられますよ。
外出先でも同じようにカタカナ探しができます。商品のパッケージ、ポスターなどから、子どもと一緒に探してみてください。遊びの延長線上で取り組むことで、カタカナ探しが楽しくなります。
【理由②の場合】カタカナにたくさん触れる学習を
カタカナに触れる機会が少ない=学習経験が少ない場合は、よりたくさんカタカナに触れられるようにしましょう。
カタカナに触れる機会が多くなれば、読む機会・書く機会が増え、カタカナを身につけていくことができます。
カタカナにたくさん触れるための学習法には下記のようなものがあります。
目につく場所にカタカナ表を貼る
家の中で、子どもが必ず目にする場所にカタカナ表を貼ってみましょう。可能であれば、好きなキャラクターなどが描いてある表が良いです。
ただ貼っておくのではなく、保護者が“一緒に読んだり、書いたりすること”が大切です。子どもも安心してカタカナの学習に取り組むことができます。
好きなキャラクターの「イラスト+名前」を貼る
子どもが好きなキャラクターのイラストをカタカナで書かれた名前をセットにして目につく場所に何枚か貼りましょう。
上記のカタカナ表と同様に、保護者も“一緒に”読んだり、書いたりすると、より効果的にカタカナを覚えていくことができます。
図鑑を活用する
子どもが好きなもの(キャラクター・動物・虫)の図鑑も使いましょう。好きなものならば、興味をもって見たり、読んだりできるはずです。何度も見ているうちにカタカナを読めるようになっていきます。
【理由③の場合】単語カードまとまりを覚えていく
一文字ずつなら読めるのに、単語になると難しいという子には、単語カードの活用が有効です。
カタカナ単語カードは一枚の紙に単語を書いたものです。
100均に売っている単語帳や身近にある紙にカタカナの単語を書いて作ることができます。作ったものをリングでまとめると使いやすいです。
単語カードの使い方
- ネコ、サルなど2文字の単語カードを10枚程度用意する
- 保護者が提示したものを子どもに読ませる
2文字がスムーズに読めるようになったら、次は3文字、4文字と文字数を増やしていきましょう。
4文字程度の単語の読みがスムーズになったら、次は、保護者が提示したものを書くようにレベルアップしていきましょう。
【理由④の場合】イラストを使い文字の形を捉えられるように
鏡文字や似たようなカタカナが混ざってしまう子には、イラストを使うのが有効です。
例えば、”イ”という文字を覚えさせたい場合、イカのイラストの中に”イ”を書き込み、“イカのイ”と覚える方法です。
“ア”を覚えさせたいなら、アリのイラストの中に”ア”と書き、“アリのア”と覚えていきます。
地道な学習ですが、文字の形を捉えるのが苦手な子には、“イラストから、カタカナをイメージする方法”は効果的です。
また、この後に紹介する【理由⑤⑥】向けの学習法も効果的です。あわせて実践してみると良いですよ。
【理由⑤の場合】クイズ形式で文字と音を結び付ける練習
カタカナを書くときに、文字が抜けたり多くなったり、小さい”ッ”の表記が正しくできないような場合は、先ほど紹介した単語カードを使い、クイズ形式の学習を試してみてください。
単語カードをクイズ形式で学習する方法は以下のようになります。
単語カードの使い方
- カタカナの単語カードを10枚程度用意する
- 保護者が一枚ずつ提示し、それを子どもが読む
- 単語の中の一文字をシールなどで隠し、隠れた部分も含めて読む
- 隠す部分を変えて、同じように読む
例えば、アサガオという単語の場合、まずは、そのまま「アサガオ」と読ませて、次に、「ア⚫ガオ」というように一文字隠して読ませたり、「アサ⚫オ」というように隠す部分を変えるということ。
途中で出題者と解答者の役割を親子で交代すると、勉強という雰囲気になりづらいので、子どもも楽しく学習ができますよ。
【理由⑥の場合】分解して組み立てワーキングメモリをフォロー
何度書いても覚えられない場合は、カタカナを分解して組み立てる学習をおすすめします。
例えば、アの場合は”フ+ノ”、ケの場合は”ノ+一(いち)+ノ”となります。
初めは画数の少ないカタカナから取り組むと、学習しやすいです。
ほかにも、理由④の場合で紹介したイラストを活用した学習法も効果的です。文字の形に対して、具体的なイメージをもつことによって、カタカナを覚えやすくなります。
不安を親がひとりで抱え込む必要はない
子どもが勉強でつまずいている姿を見ると、保護者は「どうしたらいいんだろう」「自分がしっかり教えられないからかな」と悩んでしまいますよね。
ですが、子どもが勉強でつまずいているのは、親の責任ではありません。
自分を責めるよりもつまずいている理由を探り、今回のように理由に合った学習法を試してみてください。
しかし、理由に合った学習法を保護者だけで対応するのは大変ですよね。学校の先生、信頼できる人・機関などに相談しながら、学習への悩みに向き合っていきましょう。
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東さんへの相談ページを見てみるカタカナができなくても焦らなくていい
今は、子どもがカタカナを覚えられなくて、「どうしよう」と不安な中にいるかもしれませんが焦らなくても大丈夫です。
今すぐに覚えられなくても、つまずいている理由に合った学習を続けていたら、「いつの間にか覚えていた!」ということも十分あり得るのです。
それよりも親が焦って、「どうして覚えられないの?」「どうして何回も書いてるのに書けないの?」と子どもに言い続けてしまうことの方が心配です。
覚えられなくて一番苦しいのは子どもです。
苦しいのに、さらに「どうして覚えられないの?」と言われることで、子どもの心はますます苦しくなってしまうかもしれません。
一番大切なのは、親子の信頼関係です。
まずは、覚えられなくて苦しい子どもに寄り添い、子どもの歩みに合わせてカタカナの学習を進めていってくださいね。
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特別支援学校・小学校特別支援学級の教員を14年間経験。 繊細で気難しい息子(6歳)の母。 教員時代は、「どんなアプローチをしたら、この子は伸びるか?」を常に考えて支援・指導を行う。また、息子が繊細で気難しいことで、“子育てにおける困り感”・“お母さんの心のモヤモヤ”をたくさん経験。 「特別支援教育と息子の育児で得た学びを“今”困っているお母さん・お父さんに伝えていきたい。」、「お子さん・お母さん・お父さんの困り感を減らしたい。」の思いでブログ執筆や子育てに関する悩み相談などを行っている。