小学生向け英語アプリ7選。”家庭内留学”で楽しく効果的に英語を学ぼう!
子どもに英語力を身に着けさせたいと考える親は多いものですが、英会話教室に通っても上達しない、英語に抵抗があるという子どもは少なくありません。今回、紹介するのはゲーム感覚なのにしっかり学べるアプリを活用した“家庭内留学”。TOEIC990点の高校英語教員・呉 桂一さんが、英語アプリでの上手な学習法を教えてくれました。
英語学習で絶対的に必要なのはインプット!
英語学習というと話したり書いたりする“アウトプット”のイメージが強くなりますが、まず必要なのは良質かつ大量の“インプット”です。
わが子が赤ちゃんのときを思い出してください。初めて言葉を発した日、それから次々と新たな言葉を発していった日々を思い返せるのではないでしょうか。言葉を発するようになるまでは「ごはんできたよ」「おいしい?」「おしっこかな?」といった話しかけられる言葉、童謡、夫婦間やテレビの会話…これらを全て子どもはインプットしていたのです。もし「どうせまだ話さないから」と何も言葉を聞かせていなかったら、その後の言語の成長は著しく遅くなっていたはずです。
つまり、インプットがあってこそのアウトプットなのです。
低学年こそ習得しやすい“聞く”のインプット
インプットは、“聞く”と“読む”の二つの種類があります。「9歳の壁」という言葉がありますが、発達心理学ではこの時期に思考方法が変化していくといわれています。
9歳の頃より前の段階では、純粋にインプットを受けれ入れることができます。“Apple”という単語は、英語の発音そのままに認識することができます。
ところが9歳の頃を過ぎると、抽象的思考ができるようになります。今までの日本語の知識を活用して思考を整理し、結果“Apple”という単語はカタカナで“アップル”と認識するようになります。さまざまな単語や文法なども関連付けて理解することができるようになるという点では、学習面における非常に大きな成長です。しかし、音声的にはネイティブの発音を習得するのが非常に難しくなってしまうのです。
つまり発達段階が進むにつれて英語の発音の“仕方”を学ぶ必要が出てくるため、低学年のうちにより多くの良質な英語を聞かせることが重要だということが分かります。
もちろん、高学年になってもインプットは大切。ただし、その方法が異なります。
低学年と高学年に必要な「インプット」の種類は違う
低学年の子どもは“聞く”活動がメインとなりますが、高学年の子どもは“聞く”、“読む”を通して“考える”活動をメインにする必要があります。
もっとも、低学年であれ高学年であれ英語力には良質で大量のインプットが必要であることに変わりはありません。ただし1日10分、週に1時間程度では到底太刀打ちできるものではありません。1000時間~3000時間は必要だといわれ、毎日2時間勉強しても1年半~4年かかる量です。
そこで今回おすすめしたいのが、小学生向けの英語アプリ。英会話教室や英語塾に行かずとも、タブレットやスマートフォンがあればいつでもどこでも英語を学ぶことができるのです。
小学校低学年におすすめの英語アプリ
大量のインプットが可能「Disney+(ディズニープラス)」
ディズニーやアニメが好きな子どもにおすすめのアプリ。ディズニー作品はもちろん、他のアニメ作品やドラマ作品もあり、そのほとんどが英語音声付きです。方法は英語音声にしてひたすら毎日、見続けるだけでOK。
最初は、幼児向けの『ミッキーマウス クラブ ハウス』など分かりやすいアニメからスタートするのも良いでしょう。BGMとして常に流しておくというのも効果的です。
大量の英語をインプットをするのに最適なアプリです。気に入った作品を、何度も繰り返し気軽に見られるという点でも、魅力的です。
おすすめポイント
- テレビアニメを見る感覚なのに、大量の英語がインプットできる
- 難易度の低い幼児向けアニメもあるので、英語へのハードルが低い
- 初月は無料なので、夏休みなどの長期休暇中に気軽に試すことも可能
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英語の読み聞かせができる! 絵本作家 Dr. Seussの絵本アプリ
絵本作家ドクター・スースの絵本アプリ。アメリカでは、読み聞かせの定番として人気の絵本です。特徴的なのが、同じ表現を繰り返し使ったテンポのよい展開で、英語が全く分からなくとも楽しめる仕掛けです。
紙の絵本の場合、親など読んであげる人が必要になりますがネイティブが自動で読み上げてくれる点も魅力。また、テーブルや花などの絵をタップすると英語で読み上げてくれるので、子どもの知的好奇心を刺激するのにも効果を発揮してくれます。
まずは下記に紹介する無料の絵本からダウンロードし、読みたいものを親子で一緒に選び購入するのがおすすめです。
おすすめポイント
- App Storeで1冊120円、Google Playでは1冊100円からで紙の絵本よりリーズナブル
- 英語に自信がない親でも、自動音声で読み聞かせができる
- 絵本の中の仕掛けや効果音など、子どもが飽きにくい工夫が豊富
『Yertle the Turtle』(無料) App Store ダウンロード
勉強感覚がないからハマる! 「はらぺこあおむし と なかまたち ~ あそぼうよ!」
日本でも大人気のベストセラー絵本『はらぺこあおむし』のゲームアプリ。絵本自体は収録されていませんが、あおむしを成長させたり簡単なゲームを楽しんだりすることができます。アプリの言語設定を“英語”にするだけで、なんと英語学習アプリに早変わり。
英語が学べるだけではなく、子どもの五感を刺激する色鮮やかな世界観と優しい音楽も◎。“英語の勉強”という感覚がないため、子どもが夢中になること間違いなしです!
おすすめポイント
- お絵描きや宝探しなど、アプリ内での遊びの幅が広い
- 無料でダウンロードが可能
- 子どもが勝手に課金しない工夫が施されている
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小学校高学年におすすめの英語アプリ
高学年の子にもおすすめ! 「Disney+(ディズニープラス)」
低学年向けでも紹介しましたが、高学年にもおすすめ。ただし、低学年はとにかく見せて聞かせるだけだったのに対し、高学年は何度も同じ作品を見ることが大切です。なぜなら、理解できないものは雑音として処理する、つまり英語を英語として吸収できない可能性があるからです。
最初は日本語音声で見て理解し、次に英語音声+英語字幕にします。学校で習った英単語や英文を探すなど、目的を持って理解しながら見ることが大事です。
ただし、英語音声+日本語字幕はおすすめしません。漢字の理解度や読むスピードが上がる高学年は、大人同様に日本語字幕に頼ってしまい、英語を“雑音”として処理してしまう可能性が高いからです。もちろん子どもの発達段階や英語への関心度合いによって異なるものなので、わが子に合った視聴の仕方を見つけることも大切になります。
身の回りの“英語”を調べてみよう! 「Google 翻訳」
スマートフォンのカメラで英文を撮影するだけで、日本語翻訳が可能。また、アプリに音声を聞かせると英語を日本語に翻訳して読み上げる機能もあります。もちろん、このアプリだけ渡して「英語を学ばせよう」というわけではありません。
便利な翻訳アプリを有効活用させるためには、インプットするための“別の英語”が必要。一番おすすめなのが、「Nintendo Switch」などのゲーム機で言語設定を“英語”にすることです。分からない英語は、Google翻訳で確認。最初は戸惑ったり面倒くさく感じることがあるかもしれませんが、ゲームソフトはコマンドや会話で同じ表現を繰り返し活用することが多いので、徐々に慣れていきます。
スマートフォンやタブレットの言語設定を英語にするのも◎。慣れてきたら日本語非対応の海外の英語アプリを親子で一緒に探し、やり方を試行錯誤しながら楽しむのも良いでしょう。
ゲーム機などを利用せず、洋服にデザインされている英語のロゴや自宅にあるものの英語表記、好きな歌の英語の歌詞などを翻訳する方法は「探究学習」にもつながります。探究学習では知識を先生や大人に教えてもらうという受け身の姿勢ではなく子ども自らが調べて分析、まとめるという主体的な姿勢が重要になります。分からないことをそのままにせず、自分で調べていく習慣が英語学習を通して身に付けることも可能なのです。
おすすめポイント
- 普段の生活の中で、英語に関心を持ち学びたい意欲が芽生える
- “自分で調べる”という探究学習の姿勢が身に付く
- 親子のコミュニケーションツールになる
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1日5分のチャレンジでも効果を発揮する「Siri」・「Googleアシスタント」
インプットだけでは物足りなくなる高学年は、音声認識アプリに英語で話しかけてみるのも良いでしょう。おなじみの「Siri」や「Googleアシスタント」の言語設定は、英語にしましょう。
最初は、単語や簡単な英文の発話でOK。1日5分でも英語を話す習慣を身に付けると、インプットの重要性に気が付くことができます。
おすすめポイント
- 「Good morning」や“Apple”といった簡単な英単語・英文でもOK
- 1日5分でも、継続することで英語のインプットにつながる
- 親子一緒にチャレンジすると、ゲーム感覚で楽しめる
フォニックス学習法で英語の上達度がアップ! 「ABC Spelling」
「フォニックス」の学習ソフト。フォニックスとは英語のつづりと発音の規則性から正しい読み方を学ぶ、アルファベットを覚えた後にやるべき学習法です。
英語の発音には、ある程度の規則性があります。例えば“A”はアルファベット読みで“エイ”と発音するとき(例:cake)と、ローマ字読みで“ア”と発音するとき(例:cat)があることを学びます。また、“B”は“ブッ”と発音する(例:book)ことを学ぶなど、それぞれのアルファベットがどのような発音をするかを学んでいきます。
このアプリではアルファベットのパズルを組み立てていくことにより、それぞれのアルファベットがどのような音をするのかを聞き取って単語のスペルを覚えていくことができます。これにより一からスペルを丸暗記することなくある程度、発音やスペルを予測しながら英語学習を進めていくことができるようになるのです。
おすすめポイント
- 英語圏の子どもたちの学習法「フォニックス」により正しい発音が学べる
- 英単語の発音やスペルを予測できるようになる
- 「世界の子どもたちのために」開発されたアプリのため、無料で広告や課金もない
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Lyriko
「ABC Spelling」より少し上級になるのが「Lyriko」で、音楽を通して英語に触れることができます。
最初は、「Referenceモード」からチャレンジしてみてください。英語の曲を聞きながら英語の歌詞を“なんとなく”確認、表示される日本語訳で歌詞の意味も“なんとなく”確認しておきましょう。
この、“なんとなく”というのがポイント。あくまで、音楽の英語をたくさん聞くことがメインです。読むというより、見るイメージになります。
ちなみに歌詞の単語をタップすると意味が表示されますが、この機能を使うと“英語を勉強する”という雰囲気になってしまうため、最初はこの機能は使用しない方が良いでしょう。
このアプリの真髄は、「Picture Itモード」。流れる曲の歌詞で一単語だけ太字になっており、その単語の意味を表す絵を選ぶゲームになっています。何度も同じ曲を耳にしながら、英語の意味にもフォーカスすることができるのです。
さらに「Impostorモード」という間違っている言葉を見つけるゲームや、「Interludeモード」で抜けている言葉を見つけるゲームもあり、徐々に難易度をアップさせたり、子どもに合わせてレベルを選んだりといったことも可能です。
おすすめポイント
- 音楽を聴きながら英語のリスニングとリーディングのスキルが磨ける
- 子どもの英語習得レベルに合わせたゲームが選べる
- ゲームクリアで新しい曲をゲットできるなど、“飽きさせない”工夫がある
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親の知恵で英語アプリをもっと効果的に!
今回、紹介したアプリ以外にもファッションや虫、電車…それぞれの子どもの興味関心に合ったものはたくさんあります。好きな“英語アプリを探す”という行動もまた英語学習につながるので、ぜひアプリ検索もしてみてくださいね。
低学年の子には親が実践して楽しさをアピール
保護者の中には、「うちの子は、すぐに飽きたり諦めちゃったりしそう」と感じる人は少なくないでしょう。けれど、低学年の間はまずは親が率先して行うことが大事。例えば子どもが英語のアニメに興味を持たなかったとしても、親は見続けてみましょう。このことで、少なくとも英語を耳にすることはできますし、次第に内容に興味を持ってくる可能性もあります。英語の絵本も「どんな話なのかな?」など、子どもと内容を想像しながら一緒に楽しみましょう。
ただし高学年になると、いくら保護者が率先してやったり話しかけたりしても全く関心を持たない子は増えてきます。また“日本語と英語のどちらで見るか”を選択させても、日本語という子が大半でしょう。
高学年の子には“商品価格設定”戦略が効果的
そんなときには、家庭のルールにひと工夫加えてみるのもおすすめです。
- タブレットで遊ぶのは1日1時間まで→ 英語のアプリであれば、後1時間してもOK
- ゲームは宿題が終わってから →ただし、宿題前でも英語モードならゲームOK
- テストの点数が悪ければゲーム禁止 → テストの点数が悪ければ日本語でのゲーム禁止
商品の販売で最終的には5割引きで消費者に販売する予定であれば、最初は高めの価格にしておきますよね。その方が、消費者は“お得感”を抱きやすく購買意欲にもつながるからです。
英語アプリで子どもの学習を促すためも、この戦略が有効です。実際は「1時間くらいならゲームさせてもいいかな」と思っていたのであれば、最初は30分に設定しておき「英語モードであれば特別に30分追加するよ」というように、英語モードでのアプリやゲームがが特別なプラスアルファの時間になるよう環境設定してみるのです。
親世代に比べ、今の子どもたちは世界中のどこにいても英語環境に触れることができます。親のほんの少しのサポートがあれば、子どもの興味や関心、やる気を引き出すことができるのでぜひ、チャレンジしてみてくださいね。
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公立高校英語教員。TOEIC990点、英検1級(オーストラリア大使賞受賞)。米国での留学経験、カナダ・オーストラリアでのワーキングホリデー経験あり。ICTを活用した教育に関心を持ち、高校情報教員免許も取得。基本情報技術者試験合格。ロイロノート認定ティーチャー。またワークショップデザイナーの資格も持ち、ICTとファシリテーションの力を生かした生徒主体で言語活動中心の授業を展開している。