小中学生のお年玉の相場をお金のプロが解説!ありがちトラブルの回避方法やお年玉のマナーとは
お正月の出費のひとつがお年玉。子どもにとってはうれしいイベントですが、大人にとっては「いくらあげるのか」「もらう額とあげる額のバランスが悪い…」などモヤモヤすることもあります。そこで、お金のプロであるファイナンシャルプランナーの資格を持つ子育てライターの曽田照子さんがお年玉について解説します。
子どものお年玉はいくらあげたらいいの?
お年玉の相場は低学年で3000円
お年玉をいくらあげたらいいのか。本来なら「その家庭の経済状況や価値観で決めてくださいね」といいたいところですが、やはり、だいたいの相場というものがあります。
住信SBIネット銀行株式会社が2019年12月に実施した「2020年・お年玉に関する意識」によると、あげる相手別の金額の平均は次のようになっています。
- 未就学児:1000円以下
- 小学校低学年:3000円以下
- 小学校高学年:5000円以下
- 中学生:5000円~1万円
- 高校生以上:1万円
住信SBIネット銀行「2020年・お年玉に関する意識調査」
ただし、必ずも相場通りではないですよね。
筆者の周囲では“学年×1000円”が主流でした。小学1年生で1000円、2年生で2000円…と学年が上がるごとに1000円ずつアップしていき、中学1年生は7000円、高校生になると1万円、というのがパターンでした。
このようにルールを明確に決めておくと、去年より今年、今年より来年と子ども自身が自分の成長を実感できます。
上の子と下の子の間で「お兄(姉)ちゃんばっかりたくさんもらってずるい」となりそうなときも、下の子に理由を説明しやすいというメリットがあります。
中学生のお小遣いについては、以下の記事で詳しく解説しています。
未就学児のお年玉は666円がおすすめ
年齢別に見ると、未就学児には1000円以下というのが相場です。親が預かって貯金するというケースが一番多いでしょう。子どもに渡すなら、硬貨であげるといい効果があります。
ひとつ目の効果は子どもが喜ぶ、という効果。大人はもちろん紙のお札のほうが嬉しいですが、未就学児には硬貨のほうが断然ウケます。
4~5歳の子は金額よりも数に反応しがちで、本当は金額が減っているのに1000円札一枚よりも10円玉5枚のほうが「増えた~!」と無邪気に喜んだり、「丸いお金がいい」と言ったりしますよね。
昔、私の母からうちの子へのお年玉が「500円玉2枚」だったことがありました。「お札を切らしちゃって」と母は申し訳なさそうでしたが、娘は「丸いお金だ!」と目をキラキラさせて喜んでいました。
また、子どもが興味を持ちやすい硬貨のお年玉は、お金について教えるのに絶好のチャンスになります。
特におすすめなのが、日本の現在の硬貨、全種類詰めあわせのお年玉です。500円、100円、50円、10円、5円、1円……と大きい順に並べてみたり、スーパーのお菓子コーナーで好きなものを選ばせお買い物を体験させたりすると、お金にはいろんな種類があることと、お金とものを交換することが買い物なんだと実感できます。お年玉のたった666円で、金銭教育のスタートです。
※3歳以前の子には誤飲の恐れがあるのでおすすめしません、来年か再来年の楽しみに取っておきましょう
親戚内で話し合ってトラブルを回避
いくらあげていくらもらって…という格差が場合によっては親戚間のトラブルの原因になることもあります。
親戚同士が話し合える関係にあるならば、“お年玉の金額を親戚内で一律にする”というのもいい方法ですね。水面下での「いくらにした?」の探り合いがなくなるだけで、親としては、お正月のストレスがひとつ減りそうです。
さらに進んで、思い切ってやりとりなし、とする方法もあります。私の友人のひとりは「親戚同士でお年玉のやりとりは一切しない」といっていました。お互いの子どもに与えあっているだけ、単なる儀礼だから、意味がないと、ある年から一斉にやめたのだそうです。
お年玉がもらえないとなると子どもにとっては「ガッカリ…」でしょうか。でも、親戚の子どもにあげていた分を自分の子どもにあげるとすれば、子どもの手元に入る金額は案外それほど変わらないのかもしれません。
お年玉はマナー教育にも役立つ
お年玉は単なる儀礼、という意見もありますが、ある程度の儀礼的や行事は、礼儀やマナーを育む上では必要だ、という考え方もできます。
親戚や友人のお子さんにお年玉をあげたとき、子どもの様子に引っかかったことはありませんか。
お年玉を受け取るときのマナー
- 両手で受け取る
- 「ありがとうございます」といって頭を下げる
- その場で開封しない
- 金額について人前で話さない
上記のようなマナーについては、親からお年玉を渡す場合などにしっかり伝えましょう。目の前にお年玉がぶら下がっているのですから、普段は親のいうことを聞かない子も、素直に耳を傾けやすくなります。
子どもの態度が悪くても、表だって文句をいう人は少ないかもしれません。でももらえて当然、という態度では、あげるほうはモヤモヤしてしまいます。逆に礼儀正しく子どもが受け取ってくれれば、親子ともにほめられ、好感を持たれます。
自分の子にお年玉をあげない派は約20%
自分の子どもにはお年玉はあげない、という人も一定数います。
アンケートによると「わが子にはお年玉をあげない」と回答した保護者の割合は次のようになっています。
- 3歳未満:32%
- 未就学児:20%
- 小学校低学年:19%
- 小学校中学年:19%
- 小学校高学年:15%
アクトインディ株式会社【2018年お正月調査】
子どもの年齢が上がるにつれて減っていますが、全体を平均すると2割ほどの家庭がお年玉をあげていないようです。
子どもがまだ小さいうちは現金の価値が分かりません。私は年中さんくらいまではお年玉はあげなくてもいう家庭が多いのかもしれません。
でも、もらえないことに子どもが不公平感を覚えるようなとき、特に上の子がもらっているのをうらやましがる場合は、気持ちのバランスを取るために「お年玉ごっこ」をしてあげるといいでしょう。
3~4歳くらいまでは、お金が欲しいのではなく「あげる、もらう」といったやりとりをしてみたいとか、カラフルなお年玉袋がうらやましいだけ、という場合がほとんどです。お年玉袋やかわいい紙の封筒にお菓子を入れて渡してあげる「お年玉ごっこ」をしてあげると、たいてい気持ちが収まります。
子どもがお金の価値が分かるようになっても、親があげるかどうかはケースバイケースです。
お年玉は、親戚からもらうからこそマナーの練習にもなりますし、ふだんお小遣いをくれる親からもらうよりも“特別感”があり、より価値を感じるという面もあります。
一方でお年玉をくれる親戚の人数が少なく、さらに親もお年玉をくれない…というケースは子どもにとってはちょっと残念です。せっかくの新年ですから、何かの形で「お正月ならでは」の嬉しい弾むような気持ちを子どもに感じてもらえるような工夫は必要だと思います。
お年玉という形で毎年現金を渡すことに抵抗があるのであれば、別の形にしてもよいでしょう。
私の知人で「お年玉の代わりに家族でハワイ旅行」という人もいました。子どもと話し合ったうえで、思い出に残る旅行などの体験や、欲しがっている高価なもの(自転車やパソコンなど)を「お年玉代わり」にするのもひとつの考え方ですね。
お年玉を受験後の楽しみに取っておく方法も
明光義塾が小学4年から中学3年の子を持つ親を対象に行ったアンケートでは、「お年玉をあげましたか」という問いに対して「あげた」74.8%、「あげなかった」25.2%という結果になっています。
前述の結果に比べて「あげなかった」という回答が多いのは、調査元が受験用の塾で、受験生がいる家庭が多いからではないかと筆者は推測しています。
受験など冬~春にかけて大切なイベントが控えている場合は、つい遊びたくなってしまったり、勉強以外のことに気がいったりするお年玉をお正月にあげるのではなく、「(楽しみは)受験が終わってからにしようね」と親子合意のうえで先送りにしてはどうでしょう。
周囲の喧噪をよそにひたすら目標に向かってがんばる、そういう特別なお正月も、ひとつの思い出になるのではないかと思います。
<参考資料>
住信SBIネット銀行「小中学生のお年玉に関する意識調査」
~お年玉に関する意識調査2020~お年玉の平均支出予定総額は26,642円前年から横ばいで推移
「小中学生のお年玉に関する意識調査」(2020年1月)株式会社バンダイ
子どものお年玉、どう管理する?賢い活用術や使い道を教えます!|くらしのお金ニアエル
アクトインディ株式会社【2018年お正月調査】
明光義塾【お年玉に関する実態調査】
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ライター・エディター、ファイナンシャルプランナー。3人の娘の母。著書「子どもを伸ばすママの言葉がけ 言ってはいけないNGワード55」(メイツ出版)「『お母さんの愛情不足が原因』と言われたとき読む本」(中経の文庫)『「決定版 ママ、言わないで!子どもが自信を失う言葉66』(学研プラス)ほか。子育てのコトバについて雑誌やWEBで執筆中。自身のライフプランに役立てるためFP資格を取得。子どもの金銭教育、教育資金、奨学金などについても詳しい。https://ameblo.jp/soda-teruko/