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2019.10.23

【不登校・体験談】中学校3年間の不登校経験で培った、自分自身と向き合い前進する力

中学校3年間の不登校経験がある山田さんは、現在国立大学に通う大学生。中学入学後に程なくして不登校になった彼女は、学校に行けず親の期待通りに生きられない自分に負い目を感じるように。彼女の生活が好転したのはあるきっかけと高校受験があったから。「不登校に負い目を感じず、自分の選択に誇りを持って!」と語る山田さんの不登校経験を聞きました。

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人間関係や環境の変化に戸惑い… 中学入学後すぐに不登校に

小学生までは男の子と遊ぶことの方が多く、自由にのびのびと楽しく学校生活を送っていた山田さん。中学校に入学した途端、異性に対する意識が強くなって仲が良かった男子は話をしてくれなくなり、女子同士はグループを作って固まるように。そうした人間関係の変化に戸惑い、不自由さを感じるようになったそう。所属した吹奏楽部も肌に合わず、学校がつまらないと感じた彼女は、風邪で欠席したのを契機にそのまま中学校卒業まで不登校になりました。

不登校になって半年から1年ほどは、親の期待通りに生きられない自分に負い目を感じ、親の目を避けるように夕方に起床して朝方眠るという夜型生活を送っていました。ひたすらパソコン画面に黙々と向き合い、ネットサーフィンをして時間を過ごす日々。

「特にトラブルがあって不登校になったわけではなく、自分で学校に行かないと決めました。それでもレールから外れたことに対する負い目と劣等感が強くて、とにかく人との関わりを避けていましたね。人の目がすごく怖かったです。幸い家族や先生は登校を強制せず、温かく見守ってくれました。それはとてもありがたかったです」

周りの人は学校に行かないことに対し、責めることもなく山田さんの意向を尊重してくれていたようです。しかしそれでも本人はずっと「学校に行かなければならない」という思いを抱いていました。少しでも登校できるようにと、母親・担任の先生・山田さんの3人で話し合うことに。そこでまずは週に2回の給食登校をしてみようということになりました。

「小学校の頃からの友人や幼なじみと共に別室で給食を食べていました。給食登校しようと思ったのは、根底に『学校に行かなければいけない』という思いがあったからです。割と楽しく過ごしていたのですが、ある日通りかかった見知らぬ先生に『いつになったら教室に戻れるの』と唐突に言わました。登校できるように頑張っているのに、その頑張りを無視されているような気がして嫌な気持ちになりました」

先生の発言が起因となって給食登校を辞め、山田さんは再び元の不登校生活に戻ることとなりました。

漢字が書けない!危機感に直面し、高校受験に向けて勉強開始

ある日家族へメモを残そうと、久しぶりに漢字を書くことになった山田さん。元々勉強は得意だったことから、学力に関して不安はさほど感じておらず、学校に行かない間も一切、勉強はしていなかったそう。ところが今まで問題なく書けていた日常的に使う漢字でさえ、書けなくなっていたのです。

「今までは考えなくてもスラスラ書けていたのに、頭で考えないと漢字が書けなくなっていました。本当にごく簡単な漢字でさえ書けなくなっていたので、『さすがにこのままではやばい!』と危機感が募りましたね」

漢字が書けなくなっていたことへの危機感をきっかけに、山田さんの不登校生活は大きく変わります。

「漢字が書けないとわかってから昼型生活に変え、個別指導塾に週2日通い始めました。不登校になった当初から『高校でまたレールに乗れればいいな』と思っていましたが何も行動に移せていませんでした。でも漢字が書けなかったことを契機にちゃんと取り組もうと意識が変わりましたね」

不登校になった原因を分析し、慎重に選択した進学先

本格的に高校受験の情報収集を始めたのは中学校3年生から。学力レベルが高く、家から通いやすい高校という条件で、いくつか高校を絞っていきました。

「不登校になった原因を踏まえ、進学先の高校選択は考えました。自分にとって人間関係の違和感が少ない学校とは、どういう学校なのかをよく分析しましたね」

最終的に受験すると決めたのはお兄さんが通っている高校でした。教育水準もさることながら、知り合いの先生もいるので勝手が分かっていたこと、雰囲気もいい学校という点で安心感があったといいます。

不登校になった原因をしっかり自己分析し、晴れて第一志望校に合格した山田さん。高校入学後2〜3ヶ月は今まで人とほとんど関わっていなかったために、相手との距離感や違和感のない言葉遣いなどを掴むのに時間がかかったそう。しかしその後は慣れて3年間楽しく高校生活を満喫しました。中学時代とは異なり以前の関係が持ち越されず、一から築ける高校生活は居心地が良かったようです。

「中学校と比べてグループ化がすごく少なかったです。中には中学校が同じで知っている人もいましたが、周りは不登校であった事に対して全く気にしない人ばかりでした。気まずいから流すのでなく、変に干渉も遠慮もせずフラットな関係が築けましたね」

「自分で選び取ることが大事」自分の選択に誇りを持って!

「本当は学校に行かなきゃいけない」とコンプレックスや劣等感と戦いながら、「学校に行かない」という選択で、着実に前に進んでいった山田さん。そんな彼女は今、どのように不登校時代を振り返っているのでしょうか。

「もし不登校時の自分に今会えるとしたら、『もっと本を読んでおいて!』と言いたいですね。不登校の時間って一番時間があるんですよ。せっかく不登校であることを選んでいるなら、本を読むなり世界を広げるためにもっと有意義に時間を使ったら良かったなって。当時は学校に行けない自分に劣等感を抱いていてそんな余裕はなかったですけど」

学校に行かなくても、知見を広げる機会はたくさんある。学校に囚われる事なく、学校以外の事にも目を向けたら良かった、とも話してくれました。

不登校時代は人目が怖く避けていたものの、実際は自分で思うほど異質に捉えられてはいなかったというのも山田さんの実感。不登校経験を通しイレギュラーである事に慣れた彼女は、少しずつ自分のことを肯定し生きていけるように。 過去も踏まえ自分を全肯定して生きる彼女は、最後に笑顔でこう語ってくれました。

「不登校になって思ったのは、社会はそこまで不寛容ではないという事です。別に学校に行かないからって人生終わる訳ではない。むしろ『行かない』と自分で選択したなら、その選択に誇りを持つべきだと思います。不登校を経験しても、人生は成るように成る。今できることをこれからも積み重ねて生きていこうと思います」

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