叱るより褒めるを増やす! 子どものやる気スイッチを入れる効果的な褒め方
わが子に接していると、つい褒めるよりも叱ることの方が多くなりがちではないでしょうか。しかし子どものやる気を引き出すためには、意識的に褒めるところを探し、認めてあげることが必要です。厳しく接することも時には必要ですが、叱ることの方が多すぎると子どもの自己肯定感や自尊感情を損ないかねません。そこで、子どものやる気を引き出すための褒め方についてお伝えします。
叱ってばかりだと親の顔色ばかり気にする子に…
塾講師時代、テスト返却後に取り乱して泣く生徒を少なからず見てきました。そうした子どもたちは、たいてい口をそろえて「どうしよう。親に怒られる」と語ります。自分のミスの原因を分析する以前に、親に怒られるかどうかが子どもにとっては大問題でした。
子どもへの期待値が高いために、つい厳しい言葉をかけてしまう親はいます。「その程度で満足してはいけない」「もっと上を目指さなければならない」と、褒めるより先に喝を入れてしまうタイプです。
もちろん、子どもの性格によってはそうした接し方が奏功することもあるでしょう。前向きかつ負けず嫌いな子どもであれば、悔しさをバネに努力するかもしれません。しかし、努力できる子どもがいる一方で自己肯定感を持てず、承認欲求を持て余して途方に暮れるケースも少なからずあるのです。
自己肯定感を持てない子どもは、必要以上に親の顔色をうかがう傾向にあります。親にその気はなくても、子どもの主体性を奪うことにつながりかねません。
子どもを褒めるときは、自己肯定感を育てる意識が必要
文部科学省は2017年6月に「自己肯定感を高め、自らの手で未来を切り拓く子供を育む教育の実現に向けた、学校、家庭、地域の教育力の向上」を取りまとめ、その中で日本の子どもたちの自己肯定感が諸外国よりも低いことを指摘しています。
平成26年度独立行政法人国立青少年教育振興機構が行った「高校生の生活と意識に関する調査」では、自分のことを“人並みの能力がある”と思っている人は少なく、逆に“ダメな人間だと思うことがある”と思っている人が多いという結果が出ています。また、平成25年度の内閣府による「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」でも、“自分自身への満足度”が諸外国より低いという結果に…。
日本では“愚息”という言葉が象徴するように、身内を卑下することが美徳とされる節があります。しかし、大人でも会社の中で“ダメな社員”扱いされては、良い仕事はできませんよね。たいていの人は、認められることでやる気をもって取り組めるもの。もちろん、ただ褒めれば良いというものでもありません。
例えば、子どものテスト結果を褒める際に「良い点だね! すごい!」と声かけをするのと、「がんばったからだね。すごいね、良かったね」と声かけをするのでは大きな違いがあります。前者は結果中心の評価、後者は過程中心の評価。私は塾講師時代、意識的に後者の声かけをしていました。がんばっても結果が出ないことはあります。しかし、結果に振り回されて自己肯定感を持てないのは避けたいところ。家庭でもぜひ「褒めるときは過程を褒める」を意識してみてください。
子どもを叱る時に気をつけたいポイント
子どもを褒めることは大切です。だからといって、注意したり叱ったりしてはいけないというわけではありません。ただ、どのように注意しどのように叱るのかという点は気をつけたいところです。
子どもの行動を観察し、良い点は認める
普段の生活の中で子どもの良い行動は認め、できるだけ褒める機会を増やしましょう。褒められる機会の少ない子どもは自己肯定感や自尊感情が十分に育まれず、注意したり叱ったりしても受け止められなくなってしまいます。
感情的になったり長い説教はNG
大きな声を張り上げたり、感情的に接したりするのもできる限り避けたいもの。もちろん、子どもの態度についイライラすることはありますが、親が自分の不満をぶつけているだけにならないよう気をつけましょう。長々と説教をするのも逆効果。怒られ慣れている子どもほど、親の説教を聞き流す傾向にあります。ピンポイントで伝えるのが良いでしょう。
叱る理由は親が説明する
「どうして怒ってるのか、考えてみなさい」と突き放すのもあまりおすすめしません。怒った親の常套句としてしばしば耳にしますが、その叱り方だと子どもは問題点を理解することより親の顔色をうかがうほうに力を割きがちです。
子どもを褒めるのは簡単なようで、実は難しいものです。的確に褒めるためには、結果だけでなく過程に注視する必要があります。きちんと褒めて自己肯定感が育った子どもは、親に叱られても受け止めることができるのです。子どもがやる気を引き出せるように、いっぱい褒めてあげましょう。
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教育・受験指導専門家の西村創が主宰する「西村教育研究チーム」のメンバー、フリーライター。大学卒業後、書店に勤務し、実用書や旅行書、新書等、幅広く売場を担当。書籍を扱うプロとして常にアンテナを張り、多岐にわたるジャンルに対して学びの姿勢を貫く。その後、医療系商社勤務を経て、難関中学受験をメインに据えた進学塾の講師を務める。 出産を機に退職し、現在はフリーライターと双子の母を兼業中。台風のようなちびっ子たちに日々振り回されている。