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2023.09.21

見知らぬ大人とSNSで交流、出会い系サイトを遊び半分で閲覧……そのとき親が取るべき対応は?【弁護士が解説】

わが子を犯罪の被害者にも加害者にもさせないために、親が知っておくべき法律の知識を網羅した、話題の書籍『子育て六法』。弁護士が、子育てでありがちなトラブルから、できれば起きてほしくない深刻な問題まで、100の質問に法的観点で回答している本書の中から、3つの「SNSトラブル」にまつわる対処法をご紹介します。

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見知らぬ大人とSNSで交流……親にできることは?

トラブル事例

見知らぬ大人とSNSで交流しているようだ。連絡を断たせるためにできることはある?

SNSでの交流のリスクを説明しながら、子どもが納得する方法を探って。

保護者としては心配が先に立ち、今すぐ関係を断ち切るように迫ったり、スマホを取り上げたりしたくなるかもしれません。そのような緊急の対応が必要な場面もありますが、親への反発心から、親にばれないようにしたり、心を閉ざしてしまったりする可能性もあります。

子どもに、そのやりとりにどんな魅力があるのか聴いてみるとよいかもしれません。

友人関係に悩んでいて、知らない人とのやりとりが気楽なのかもしれないし、単に暇つぶしかもしれない。身近な人には話せない悩みを相談して救われているのかもしれません。子どもの思いを否定せずにじっくり聴きたいところです。

その上で、過去にSNSをめぐって未成年の誘拐、児童ポルノ被害、ストーカー被害などの事例があったことを説明しながら、親としての不安を伝えてみましょう

たとえば、相手は「20代女性」と名乗っているが、その素性を信じることができるのか? 素性を隠して子どもの悩みにつけこみ、交流を重ね、信頼を得て、その信頼に乗じて犯罪行為に及ぶ者も存在します。

そういった“どのような意図があるのかまったくわからない相手”と親密なやりとりをしているという事実を伝えるのです。総務省が、子どもにもわかりやすい事例集を公開しているので、一緒に見てみるのもいいかもしれません。

その上で、今後について話し合うのがよいでしょう。

関係を断つ以外にも、親にやりとりの内容を見せたり、万一会おうなどと誘われたらただちに連絡を断ったりするなど、ルールを決めてしばらく継続することも含め、いろいろな選択肢の中から、一緒に考える必要があると思います。

また、「身近な人たちには相談できないときのための信頼できる相談先」を一緒に調べて確保しておくことも大事なことだと思います。厚生労働省のホームページでは、電話やSNSで相談できるホットラインなども紹介されています。

出会い系サイトを閲覧。どうやってやめさせる?

トラブル事例

出会い系サイトを友達と遊び半分で閲覧している。何と言ってやめさせよう?

子ども自身による書き込みも処罰される可能性があります。閲覧・投稿のリスクをしっかり伝えて。

「インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律(いわゆる出会い系サイト規制法)」は、出会い系サイトに子どもに対して異性交際を求める書き込みをすることなどを禁止しています。内容によっては、子ども自身が書き込みをすることも処罰対象となり得ます。

過去には、中高生が書類送検されたという報道もありました。また、保護者には、「児童」(18歳未満の子)による出会い系サイトの利用を防止するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない責任があると明記されています。

大前提として、このようなサイトが子どもの目に触れ、有害な情報を閲覧できないようにフィルタリング機能を利用するなど、対策をとりましょう。

その上で、子どもには、出会い系サイトの利用を規制する法律があることや、投稿が犯罪にもなり得ることを伝える必要があります。

「犯罪になるからだめ」ではなく、なぜこのような法律があるのか、親子で考えることが大切です。出会い系サイトがきっかけで深刻な性被害に遭う事例が後を絶たないことを、具体的な報道などを踏まえて一緒に確認することで、子ども自身の身近に迫る危険を自分ごととして捉えられるようになると思います。

SNSにUPしてしまった個人情報を削除する方法は?

トラブル事例

SNSに顔写真や個人情報をUPしていた。ネット上から削除することはできる?

個人情報は削除を求められます。SNS利用のルールを考えて投稿前に確認するようにしましょう。

自分のSNSアカウントなら自分で投稿を削除できますが、やっかいなのは、投稿のスクリーンショットを第三者がさらに投稿するなどして拡散されてしまった場合です。こうなると、自分の操作だけでは簡単に削除できず、半永久的に画像がインターネット上に残ってしまうことになりかねません。

ただ、元の投稿に自分の顔写真や名前等の個人情報が含まれる場合、その拡散は、プライバシー権・肖像権の侵害と評価され得るため、SNSの利用規約でも禁止行為として定められていることが多いでしょう。その場合は、オンライン上の削除依頼フォームを利用して削除要請ができます。

それでも削除されない場合には、送信防止措置依頼の手続き法的措置を順次検討することになります。具体的な手続きに関しては、総務省の「違法・有害情報相談センター」や法務省の「みんなの人権110番」などの相談窓口などを利用するとよいでしょう。

そして、この機会に、顔写真や個人情報をSNSに投稿することの意味について家庭でよく話し合うといいと思います。

「あとで削除すればいい」と軽く考えてしまうのではなく、それが第三者によって思いがけず拡散されてしまう事態を想像し、投稿内容が、自分や他人のプライバシーに関わる内容になっていないか、投稿前に改めて見直す姿勢が大切です。

『子育て六法』では、他にもいじめ、体罰、虐待、SNSトラブル、不適切保育など、子育て中に起こり得るトラブルを弁護士がわかりやすく解説しています。法を武器に論理的に話し合うための的確なアドバイスは、子どもを持つ全ての保護者必読です!

※本記事は、『子育て六法』(日東書院本社)の本文を出版社の許可を得て、転載しております。

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高橋麻理

第二東京弁護士会所属。弁護士法人Authense法律事務所。慶應義塾大学法学部法律学科卒業。2002年検察官任官。東京地検、大阪地検などで勤務後、2011年弁護士登録。社外役員(社外取締役・社外監査役)に就任し、社内不祥事予防等業務に従事する一方、子どもが関わる離婚問題、子どもに関わる犯罪、学校問題等にも取り組み、子どもへの法教育として小中学校でのいじめ予防授業、保護者向け講演なども行う。法律問題を身近なものとしてわかりやすく伝えることを目指し、テレビ、ラジオ、新聞等メディア出演も多数。『大人になる前に知ってほしい 生きるために必要な「法律」のはなし』(ナツメ社)共同監修。一人の母として子育て奮闘中。

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