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学びの最前線
2021.11.29

小中学校で使われているAI型教材「Qubena(キュビナ)」とは|特徴や使い方、導入事例、学習方法を紹介

現在、全国で約1,800の小中学校に導入され、約50万人の児童生徒が使用しているAI型教材「Qubena(キュビナ)」。小学1年生~中学3年生の主要5教科の問題集のような位置付けで、学校の授業や宿題に活用されています。キュビナは、紙の問題集とは何が違うのでしょうか。開発・運営する株式会社COMPASSの佐藤潤さんに伺いました。

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AIを搭載し、個別最適化の学びを実現するデジタル教材

2019年から全国の小中学校でスタートしたGIGAスクール構想。”一人ひとりの能力や適性に応じて個別最適化された学び“を実現するために、子どもたちに各1台ずつ支給された端末には、学びをサポートするデジタル学習教材が導入されています。

しかし、それらデジタル学習教材は全国で統一されているわけではありません。現在、全国の小中学校でさまざまな教材が使われている中でも注目を集めているデジタル教材のひとつが、「Qubena(キュビナ)」です。

「Qubena(キュビナ)」は、下記のように主要教科に対応したドリルのようになっており、子ども達は教科や単元を選択し、出題された問題を解いていきます。

「Qubena(キュビナ)」の対応教科

  • 小学1、2年生/算数、国語
  • 小学3、4年生/算数、国語、理科、社会
  • 小学5、6年生/算数、国語、理科、社会、英語
  • 中学1〜3年生/数学、国語、理科、社会、英語
「Qubena(キュビナ)」の操作画面

実際のノートと同じように手書きで学習を進めることができ、自動の文字認識、正誤判定、メモ機能により一台の端末ですべての学習が完結。算数・数学においては、これまでタブレットでは実現が困難だった「定規・コンパス・分度器を使った作図」や「関数のグラフ作成」にも対応しています。

個々の理解度に応じた問題をAIが出題する

また、「Qubena(キュビナ)」の最大の特徴は、AI(人工知能)を搭載し、それぞれの子どもに最適化された学習内容を提供することで、より効率的・効果的な学びを実現できること(アダプティブラーニング)。

AIが問題の解答率やかかった時間など、児童生徒の解答プロセスに関わるさまざまな情報を収集、蓄積、解析し、児童生徒一人ひとりの理解度・習熟度に応じた最適な問題をすべての教科で出題します。

「Qubena(キュビナ)」の開発・運営をする株式会社COMPASSの佐藤潤さんによると「約4万3000問(漢字・英単語の問題数は除く)という豊富な問題の中から、AIがその子の理解度に応じた問題を出題することで学習の精度を上げ、子ども達全体の学力を底上げしていくことが期待できます」とのこと。

お話を伺ったのは…

佐藤潤さん株式会社COMPASS取締役副社長

慶應義塾大学環境情報学部卒業。デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム、DeNAを経て、2011年博報堂入社、デジタルマーケティングや新規事業開発等に従事。取締役CMOを経て2020年10月より現職。

“つまずきポイント”をAIが解析し、原因解決のための問題を出題

主要教科の中でも苦手意識を持ちやすかったり、つまずきやすいのが算数・数学です。しかも、算数・数学は、積み上げが大事で系統だった学問であるがゆえ、子どもにより答えを導き出す方法や間違えるポイントもさまざま。

しかし、「Qubena(キュビナ)」は、問題を間違えたとき、その間違え方の原因をAIが解析し、原因を解決するためにその子が解くべき問題へと誘導します。

「たとえば、分数の割り算と足し算がまじった問題を間違えてしまった場合、『割り算を先にやるという計算の順序がわかっていない』『分数の割り算のやり方がわかっていない』など、AIがその子の間違いの原因を解析します。

そして、『割り算を先にやるという計算の順序がわかっていない』子に対しては、計算の順序が復習できる問題、『分数の割り算のやり方がわかっていない』子に対しては、分数の割り算を復習する問題が自動的に出題されます」(佐藤さん)

キュビナのAI解析によって、その子なりの“弱点”を克服しながら理解度を確実にアップしていくことができるようになっていきます。

また、「Qubena(キュビナ)」は、誰もがすぐに理解できるよう、学習性をあげるデザインにもこだわっています。

血液についての問題のイメージ画像。デジタルネイティブ世代の子どもたちが受け入れやすいデザインも勉強へのモチベーションを盛り立てる理由のひとつ

問題の見やすさだけでなく、それぞれの問題にアニメーションやヒントをつけて、途中で投げ出したりすることなく答えにいきつき、その子なりの“できた!”を増やして自信を高めていけるシステムが実現されています。

「さらに、新しい個別最適化の学習スタイルとして、記憶したことが時間の経過によってどのように忘れられていくのかを表した忘却曲線に合わせて問題を出題する機能もあります。

例えば、間違えた問題に対しては、すぐにもう一度問題を解く、一度覚えたものでも忘れた頃にもう一度問題を解くことで、定着率が上がるというデータがあります。

このようなデータをもとに、個別のリマインド機能を活用すれば、基礎学力の定着率を高めていくことができるほか、社会や理科といった“覚える”要素が多い科目でも効果が見込めます

「Qubena(キュビナ)」により授業の質が向上

「Qubena(キュビナ)」は、2020年度から公立の小中学校向けに本格的にサービスの提供を開始し、2021年10月の時点で、愛知県名古屋市、東京都世田谷区、品川区、宮崎県宮崎市ほか全国約1800校の小・中学校が導入。約50万人の児童生徒が使用しています。

中でも先端的に「Qubena(キュビナ)」を活用している学校のひとつが、宿題や期末試験、クラス担任制の廃止など、公立中学校でありながら大胆な教育改革で注目を集めた東京都千代田区の麹町中学校です。

千代田区立麹町中学校の授業で「Qubena(キュビナ)」が使用されている様子

「麹町中学校の授業では、グループごとに生徒が集まり、タブレットを手にそれぞれの理解度に合わせて出題される『Qubena(キュビナ)』の問題を解いていきます。

生徒たちは、問題を解きながらで互いに教え合ったりして理解を深めることができるだけでなく、先生は手元の教師用端末で全生徒の学習進捗度が把握できるので、つまずいている生徒のもとに行って的確なサポートを行うことができます」(佐藤さん)

クラスの学習状況が教師のタブレットに送られるだけでなく、個人のより詳しい状況も把握することができる

「麹町中学校では、2018年度からの『Qubena(キュビナ)』の導入により、数学では従来の授業時間から約半分に短縮できるようになりました。空いた時間を活用することで、次の学年の学習範囲や創造的な学習など、新たな学びに時間を割くことができるようになるなどの成果をあげています」(佐藤さん)

教師の授業準備時間の確保につながる

「Qubena(キュビナ)」は、“児童生徒視点”のみならず、“先生視点”でも使いやすいように設計されています。

これまで授業中に行っていた紙のプリントによる演習を、「Qubena(キュビナ)」を使って行うことにより、紙のプリントで演習を行うときのようなプリント配布、回収、採点の時間が省力化できます。また、児童生徒に出題する問題も、先生が直感的に選び、その場で配信することができます。

「中学校の理科の『地層』を例にあげると、『前半は地層についての授業を行い、後半の10分前後を使って「Qubena(キュビナ)」による演習を行って知識習得を図る』というのがベーシックな使い方になります。『演習の時間を20分とりたい』など、単元内容に加え演習時間の長さからも問題を抽出できるので、授業も組み立てやすいと思います。

演習の間、先生は生徒全員の解答の様子がリアムタイムで把握できるのに加え、自動採点で多くの生徒が間違える問題などが瞬時にわかります。それをふまえながら授業を補足したり、宿題に出したりなど授業が柔軟に展開できるところも大きな特徴です。プリント印刷や採点などの手間が省ける分、授業準備の時間が確保でき、より密度の濃い授業の実現につながります」(佐藤さん)

クラスや個人の成熟度に合わせたワークブックを教師が感覚的に作成していくことができる

より多くの先生が「Qubena(キュビナ)」を活用できるよう、先生向けの研修を定期的に開催し、導入事例の共有なども積極的に行っているそう。

「自治体で導入している場合は各校の利用状況を教育委員会さんと月ベースで共有し、導入が遅れている学校に個別に研修を行ったり、伴走したりなどのサポートも行っています。操作の仕方や活用法がわからないがゆえの格差をなるべくなくし、すべての子どもたちの学力を底上げしていきたいと思います」(佐藤さん)

今後は問題数をさらに増やし、読解問題も導入予定

「Qubena(キュビナ)」を導入した学校から、「これまで学力テストで全国平均を下回っていたのに、平均を上回るようになりました」「子どもたちの課題に取り組む姿勢が、以前と比べて前向きになりました」などの声が聞かれるようになったという佐藤さん。

『問題を解くことが楽しい』という子どもたちの声も聞きます。その子にとって、解く問題が簡単すぎても難しすぎても、学習のモチベーションにはつながりにくいもの。AI搭載の『Qubena(キュビナ)』はおおむね80%の正答率を保持できるため、『80点とれた』と自信をつけつつも『できなかった問題を解けるようになりたい』と思わせるようなシステムが、子どもたちの取り組む姿勢の向上につながっていると思います」

現在「Qubena(キュビナ)」には、すべての教科を合わせて4万3000問(漢字・英単語の問題数は除く)が搭載されていますが、来年度は新たに2万4000問増やす予定で開発を進めています。

「国語の教科書に準拠した短い読解問題なども取り入れる予定です。算数・数学を中心に全教科をまんべんなく網羅し、これからも子どもたちのさまざまな学習ニーズに対応していきたいと思います。

学校の先生方には、キュビナ『Qubena(キュビナ)』を活用して子どもたちの個別最適化の学びに生かしていただき、知識や技能の効果的な習得につなげてほしい。それをふまえた上で子どもたちがお互いに学び合い、教え合う協働学習の時間や授業準備の時間の創出などにあてていただき、教育環境のアップデートの一助となれればと思っています」(佐藤さん)

長島 ともこ

長島 ともこ

フリーライター、エディター、認定子育てアドバイザー。妊娠&出産、育児、教育などの分野の企画、編集、執筆を行う。PTA活動にも数多く携わり、その経験をもとに、書籍『PTA広報誌づくりがウソのように楽しくラクになる本』『卒対を楽しくラクに乗り切る本』(厚有出版)などを出版。「PTA」「広報」をテーマに講演活動も行う。2児の母。

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