ソクたま会議室
2020.05.22
テーマ: 学校ってなんだろう

学校という”パッケージ”には、生きていくためのスキルが詰められている

前田佳宏

前田 佳宏

HSPやトラウマケアの診療を始め、不登校・ひきこもり支援のNPO活動も行うなど、多方面から児童のこころと向き合う精神科医の前田先生。様々な児童と関わるに従い、自身の“学校観”が変化したといいます。今回は先生が考える学校の役割や、楽しく充実した日々を送る上で大切なスキルについて伺いました。

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学校には4つの役割がある

私が子どもの頃を振り返ると、“学校は勉強をする場所”という捉え方が大きかったように思います。

 

しかし臨床やNPO活動で様々な児童と接している中で、学校にはもっとより広い役割があるのではないか、と学校について再考するようになりました。

 

具体的に学校には、学力をつけるということを含め、4つの役割があると思っています。

 

(1)学力をつける

まず第一に学力をつける場としての役割です。学校ではカリキュラムに沿って勉強が進んでいきますね。学年によって勉強する目安が把握しやすく、学力をつけやすいのが学校という場だと思います。

 

また宿題やテストといった課題を通して、勉強する習慣が身につきやすいのも学校の大きな特徴だと言えるでしょう。

 

集団のなかでパフォーマンスを発揮しやすいのかどうかをみることができる側面もあります。本人が自分にあった環境を考えるうえで役立ちます。
 
 
ただ、勉強が楽しくなかったり、なんのためにしてるのか分からなかったりすると、学力をつけるモチベーションが保てなかったりします。身近な大人がそのあたりも配慮していけるとなおいいかもしれませんね。
 

 

(2)同世代の友達とコミュニケーションを行う

加えて学校には、同世代の友達とコミュニケーションを行う重要な役割を担っています。

 

学校生活では仲の良い友達と遊ぶのはもちろん、グループ学習や、遠足・社会科見学、修学旅行など、様々な場面で友達と協力して活動を行います。

 

様々な子と関わる中で、子どもは声のかけ方や相槌、アイコンタクトといった、コミュニケーション方法を学んでいきます。時にはうまくできずに、傷ついたり、喧嘩になることもあるでしょう。

 

しかしその度に大人たちと振り返って、関係を修復する経験を重ねることで、人は一回りも二回りも成長し、コミュニケーション力が磨かれるのです。

 

社会に出てからも学校で培ったコミュニケーション力は役立ち、自分を支えるものになるでしょう。

 

 

(3)家族以外の大人とコミュニケーションを取り、関係性を持つ

意外に忘れがちなのが、学校は家族以外の大人とコミュニケーションを行う場でもあるということ。学校には担任の先生を始め、校長から養護教諭、用務員、PTAの保護者など、年齢や性別を問わず様々な大人が関わっています。

 

家族ではない大人と関わることで、新しいロールモデルが見つかる場合もあります。例えば両親ともに野球未経験者の子でも、尊敬する先生やコーチとの出会いが「野球選手になりたい!」と大志を抱くきっかけになることも。

 

もちろん、本やゲームでロールモデルをみつけられる場合もあります。しかし身近な大人は、子ども自身のことをじかにみてくれる存在です。

 

夢や目標とする大人ではなくても、「自分を信頼してみていてくれるんだ」と思える大人の存在は、子どもにとって大きな支えになります。

 

こうした大人との信頼関係が築けると、自己肯定感を高めやすく、ストレスにも負けにくい子に育っていきます。

 

 

(4)登下校や時間割により生活リズムを整える

また生活リズムを整える場としても、学校は重要な役割を持っていると思います。

 

決まった時間に決まった場所(学校)へ行くことで、生活リズムが整えられ健やかな日常生活が送りやすくなります。

 

不規則なリズムで生活していると、気力低下や倦怠感が強くなる恐れがあり、子どもの場合はより成長に悪影響が及ぶ可能性が高いです。

 

こうした習慣の積み重ねが、学校を卒業したあと、仕事をしていくときに大変役立ちます。

 

親にとっても、子どもが決まった時間に決まった場所に行くことは、予定を調整しやすくなり、セルフケアの時間もとりやすくなりますよね。子どもと親の健康面から見ても、学校は大事な役割を持っているといえますね。

 

 

つまり、学校の4つの役割により子どもたちは、社会で生きていくためのスキルを身につけていきます。そういう意味で、学校はいわば“パッケージ化された便利な場所だといえるのかもしれませんね。

 

もちろん学校はひとつの学び場に過ぎず、本人が必要とするスキルを得にくい環境であれば、他の場所も検討していいと考えています。 

 

学校ではなじめなかった子どもも、もしかしたら趣味の習い事や地域コミュニティの中では自然なコミュニケーションが取れるかもしれません。

 

もっとも大切なのは、子どもが大人になったときに困らないように、苦手なスキルを育てていく環境をどう作っていくかだと思います。

 

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前田佳宏

前田 佳宏

医師7年目の児童精神科医。通称まえまえ先生。精神保健指定医。専門はPTSD、HSP、発達障害、愛着トラウマなど。都内のクリニックにて、認知行動療法、マインドフルネスや家族療法などをベースとした、統合的なストレスケアを用いて、児童や大人の悩みに日々向きあっている。渋谷で哲学対話『ゲーテカフェ』を主宰。現在は専門性を活かし、コーチングの普及にも力を入れている。カフェと散歩と旅が好き。LINE@:https://line.me/R/ti/p/%40623rezui Twitter:@littleri07 HP:https://littleringed.org

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