時代が変わっても”仲良く勉強するところ”という学校の役割は変わらない/小学校教員・須貝誠
須貝 誠
現役教師歴、約20年の須貝 誠さん。常に現場を見てきた須貝さんならではの視点は、ソクたまの記事でも具体的で分かりやすいと好評です。教師として、生徒たちに学校の意味をどのように教えてきたのでしょうか。ぜひ、親子で一緒に読んでみてください。
毎年、新しい子どもに出会うとよく話していたことがあります。「学校とはどんなところか」ということ。先輩教師とも、「学校って何か、どんなところなのか」はしばしば議論に上がることです。もちろん、 子どもから「どうして学校に行かないといけないの?」と聞かれることもあります。
私が子どもたちに伝えるのは、「学校とは勉強するところ」「みんなと仲良くするところ」の2つ。これは、先輩教師と話していて学んだことです。
学校は生きていくための知恵を育む場所
学校は“勉強するところ”、“賢くなるところ”です。
「何で賢くならないといけないの?」と思う人もいるでしょう。
これからみんなが生きていく時、日常生活の中で「どうすれば解決できるんだろう?」という問題にぶつかることもあります。その問題を解決するために、日常を生きていけるように“賢く”なる必要があるのです。
日常生活は、“問題解決の連続”と考えることもできます。問題を解決できる力をつけないといけません。でも、いきなり問題を解くことはできません。
問題を解くためには、基本的なことを身に付けていなければ解けません。基本を身につけないと解決できないのです。問題を解決するための基本は“知識”。知識がなければ、どのように問題を解決すべきか考えることができないからです。
例えば、問題解決のヒントを見つけるために本を読んだとしましょう。その時、漢字が読めなければ書かれていることは理解できませんよね。分からない漢字があったら“辞書で引いて調べる”という知識がなければ問題が解けません。辞書の引き方が分からなければ、辞書で調べることもできません。知識を増やして問題を解決する力をつけ、“賢く”なるところが学校なのです。
学校は人と人とが仲良くすることを学ぶ場所
もう一つ、学校は“みんなと仲良くすることを学ぶところ”。
みんなが大人になった時、好きな人だけと仕事をするわけではありません。気が合わない人とも協力して仕事をしなければいけません。学校は、その練習の場でもあるのです。話をしたことのない人、話しにくいなあと思う人とも仲良くするための場所が学校なのです。
“みんなと仲良く”と言っても休校中の今、「直接、クラスの仲間と会うことはできないじゃないか」と思う人もいるかもしれません。当初、私もそう思っていました。しかし、オンラインやメール、SNSがある今、その中でのやりとりを通して仲良くすることも、できなくはないと考えるようになりました。私は、今もこれからも、テクノロジーが今以上に発展する未来であっても“学校は勉強するところ”、“みんなと仲良くするところ”になるのではないかと考えています。
親子で過ごす時間をこれほど長く密に取れることは、めったにない機会です。この期間に、親子で「学校ってなんだろう?」を話してみるのも良いのではないでしょうか。
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東京都小学校準常勤講師・塾講師・ライター。30校以上の教育現場で教えてきた経験があり、進学塾では主に国語を担当。教師が集まる民間教育団体であるTOSS相模原・和(のどか)会員として指導法を学んでいる。https://www.toss.or.jp/