小中学校で導入中のロイロノートとは?使い方やできること、メリットを解説
文部科学省の「GIGAスクール構想」に基づき、全国の小中学校では1人1台のタブレット端末が配布されています。それに伴い授業で使用されているアプリのひとつが「ロイロノート・スクール」です。しかし保護者にとっては「使い方は?」「できることは?」と分からないことも多いですよね。そこでログイン方法などの基本的な操作や利用法、導入メリットについてタブレット学習に詳しい元教師の金子大さんが解説します。
目次
ロイロノート・スクールとは
ロイロノート・スクールとは、全国の小学校・中学校・高校・塾で導入されているクラウド型授業支援アプリ(オンライン環境で動作する学習効果を高めるためのアプリ)です。
現在、46都道府県536の市区町村教育委員会で導入実績があり、日本のICT教育を語る上で外せないアプリケーションのひとつといえるでしょう。
ロイロノート・スクールの特徴、できること
ロイロノート・スクールの大きな特徴は次の4点です。
情報や考えをまとめた“カード”が作成し、簡単に発表できる
ロイロノート・スクールでは、考えをまとめるために、文字だけでなく、動画や写真、インターネット上の情報を記載した“カード”を作成することができます。カードを作ることで短い授業時間内でも直感的な操作で、生徒が自分の考えを表現できます。
みんなで“カード”を共有して考えを深められる
作成したカードは、ロイロノート・スクール内でつながっている端末で共有でき、発表したい順に指でなぞるだけで簡単に視覚的なプレゼンを行うことが可能。
子どもたちが自分の考えを発表したり、クラスメイトのカード比較したりすることで、対話的な学びが実現できます。
カードの蓄積
授業で利用した「カード」はデータとしてクラウド上に蓄積されていきます。授業で配られた資料や作成したプレゼン資料、実験動画などの記録が残っていくので、学習内容の振り返りが手軽です。
また体育の授業などでは、前の授業と比較しながら自分の成長にも気付けます。上達がはっきりと分かれば、子どもたちはより主体的に取り組めるでしょう。
シンキングツールを使った思考
考えを深めるときには「シンキングツール」を使用します。「シンキングツール」とは頭の中の考えや思いを視覚的に表し、比べたりまとめたりするための図やグラフのことです。
利用できるシンキングツールは、ベン図やピラミッドチャート、イメージマップなど全18種類。授業の目的や内容に合わせて使い分けます。
繰り返しシンキングツールを使うことで、想像しながら考えを広げたり、比較しながら考えを深めたりする思考力が養われます。
画像引用:ロイロノート・スクールパンプレット
ロイロノート・スクールの使い方とは
ロイロノート・スクールの基本的な使い方について見ていきましょう。
ログイン方法
ロイロノート・スクールを立ち上げると、ログイン画面が表示されます。学校から案内されたIDを入力しましょう。必要な情報は次の3つです。
- 学校ID
- ユーザーID
- パスワード
すべて入力したら、下のログインボタンを押します。
学校ID・ユーザーID・パスワードが分からない場合
IDやパスワードは学校で管理されています。どうしても分からない場合は、担任の先生もしくは学校内の担当先生に問い合わせてみましょう。
学校から配布されているタブレットのほか、アプリをダウンロードした各家庭のタブレットやスマホからもロイロノート・スクールにログインすることができます。
カードを作成する
ログイン後の作業は、画面左側に表示されたツールバーから目的を選択してカードを作成できます。
ツールバーで選択できること
- カメラ:写真や動画を撮影してカードを作成することができます
- テキスト:キーボードから文字を入力してカードを作成することができます
- Web:インターネット検索から必要な情報を切り抜いてカードを作成することができます
- ファイル:端末に保存されているファイルを利用してカードを作成することができます
- シンキングツール:全18種類のシンキングツールを使って考えやアイデアをまとめたカードを作成することができます
課題を提出する方法
課題を提出する場合、左側下のアイコンからかんたんに提出できます。
提出のための手順
- 提出するカードを画面左側の「提出」アイコンの上に移動する
- 提出する「提出箱」を選ぶ
また、「提出」から提出箱をタッチすれば、提出した内容も確認できます。
印刷する方法
印刷をする場合、印刷したいカードから操作を行います。
印刷への手順
- 画面右上の「…」を選ぶ
- 「印刷」を選んで印刷を行う
※Web版を利用している人は「書き出し」からPDFファイルを出力して、印刷を行ってください
ロイロノート・スクールでできることとは
では実際にロイロノート・スクールを使って、どのようなことができるのでしょうか。
【学校内でできること①】学習の内容や考えを伝える
ロイロノート・スクールでは、作成したカードを使って視覚に訴える発表ができます。
写真や動画など、伝わりやすい資料をふんだんに使えるのもロイロノート・スクールの良いところ。話し合いの中で作ったカードを、そのままプレゼン資料にできます。
またシンキングツールを使うことで比較結果や分類結果を見やすく、より効果的に伝えることができます。
1964年の東京オリンピック開催時と現在の日本や世界の様子を比べ、文化の発展や競技の違いについて考えたことをプレゼンしている場面です。
【学校内でできること②】動画を撮って動きを確かめる
ロイロノート・スクールでは、撮影した動画を活用して学ぶこともできます。
体育の授業で使用すれば分かりづらい自分の動きも客観的にとらえられるため、より主体的に学習に取り組めます。創作ダンスのときは、複数の技の演技を撮影しておけば、演技構成を考えるヒントにすることも可能です。
マット運動での動きを撮影して、技のポイントを確認している場面です。繰り返し確認したり、スロー再生したりしながら仲間とアドバイスしあうことができます。
【学校内でできること③】録音して視聴する
ロイロノート・スクールでは録音機能を活用して、英語の発音練習が行えます。
教員が発音チェックをする際、授業内で一人ずつ発表すると、人数が多いクラスではそれだけで授業が終わることも珍しくありません。しかしロイロノート・スクールを使って録音し、提出することができます。10分程度で終了するので一人ひとりが英語を学ぶ時間を十分に確保できます。
また、発音内容を設定できる「音読チェックカード」という機能があり、発音の練習を行うことも可能です。
発音内容があることで、分かりにくい箇所や不安な箇所を繰り返し聞いて、正しい発音を身に付けられます。終了時間もでき、発音がもたついて時間切れになると後半部分は録音されません。そのため子どもたちはスムーズな発音を目指して録音と視聴を繰り返しながら発音の練習をするようになるのです。
さらに録音内容を元にアドバイスしてもらうことで、効果的に話す力を伸ばすことも可能です。
【学校内でできること④】 見通しを把握して個に合わせた指導を行う
ロイロノート・スクールを活用すれば、一人ひとりの学習状況や見通しの有無を把握しやすくなり、個々の学習の理解度に合わせた対応を取りやすくなります。
例えば、授業の始まりや練習問題の前に自信の有無をロイロノート・スクールを通じて確認します。そして、返答にあわせて問題の出し方や対応を次のように変えることができるのです。
- 自信があると答えた子へ
→ 他の解き方でも考えてみる
→ 他の問題でも解いてみる
→ 発表準備や練習をする
- 自信がないと答えた子へ
→ ヒントカードを渡す
→ 個別に指導する
個人に合った対応ができるので、授業が分からずに進んでいくことがありません。どの子にも学びを成立させるという点でも大事なことだといえるでしょう。
【 家庭でできること①】宿題の提出
ロイロノート・スクールを活用できるのは、学校現場だけではありません。ID を使ってログインすればどこでも自分のデータにアクセスできるため、家庭での活用の幅も広がります。
例えば、ロイロノート・スクール経由で家庭から宿題を提出することも可能です。宿題のノートを学校で提出する代わりに、その場で写真に撮って提出。もちろん音声や動画で提出することもできます。
例えば、下記のものは提出可能になります。
- 国語の日記
- 算数のドリル練習
- 国語の音読練習
- 理科の調べ学習
- 社会の発表資料作り
- 英語の発音練習
過去の提出履歴も確認できるので、学習の積み上げが一目で分かるだけでなく、授業で利用したデータも確認できればテスト前の復習にもぴったりです。
【 家庭でできること②】調べたことをスクラップできる
ロイロノート・スクールでは調べた内容を資料として保存できます。
インターネット機能を使えば調べものができるのはもちろん、Webページの必要な部分だけ切り抜くことも可能です。新聞や雑誌のスクラップ感覚で、重要な記事だけを集めることもできます。また、切り抜いた情報に手書きメモやテキスト入力が可能です。
ロイロノート・スクールで変わるこれからの学び
ここまでロイロノート・スクールでできることについて解説してきました。
ロイロノート・スクールではシンプルな操作で自分の考えを表現できるため、今までの一方的に教師の話を聞いているだけの授業よりも楽しくなります。
また学校の授業だけでなく、塾や家庭学習にも使用できるのはいいですよね。公式サイトでは、メモ帳代わりに持ち歩く学生さんも紹介されています。
子どもの発想は大人の思いを超えていきます。さまざまな使い方ができるロイロノート・スクールは、タブレットをさらに大きな可能性を秘めたツールへといくことでしょう。
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10年続けた小学校教師を育児のために退職。関わってきた子どもの数は1000人以上。経験をいかして自主性を育てる育児を実践。現在は主夫兼ライターとして子育てを楽にする情報を発信中(https://shufukaneko.com)。