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2019.10.04

勉強前に運動をするだけで成績が上がる!? 小学校の教師が実感した運動と学力の関係

練習問題に取り組ませたり、たくさん本を読ませたりなど、学力を上げるためには、とにかく机に向かい勉強させることが一番。そんな風に考えている保護者はいませんか? しかし、机に向かうだけでは子どもの潜在能力はなかなか引き出せず、学力も思うように上がらないかもしれません。今回は、私が知識として知っているだけでなく教師経験の中で実感した学力アップの秘訣、体を動かすことこそが子どもの学力を上げるということを解説します。

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スウェーデンで実験された運動と学力の関係

スウェーデンにあるノーベル賞決定機関「カロリンスカ研究所」。同機関で研究を重ねるなかで分かった“脳の機密情報”を1冊にまとめたのが、世界的に人気の書「一流の頭脳」(サンマーク出版)です。同書の中で、紹介されているのが運動と学力の関係について。

2013年12月に発表されたOECD(経済協力開発機構)国際学習到達度調査の結果によると、スウェーデンの学習到達度は加盟国の平均点を下回り、北欧諸国の中でもなんと最下位。現状を打破するためにさまざまな議論が行われるなか、下記の実験調査など科学的な知見でアプローチして分かったのが、座学だけでなく身体活動も子どもたちの学力に大きな影響を与えるということだったそうです。

スウェーデンのブンケフロという町の小学校では、毎日体育の授業を組み入れられたクラスと、週に2回だけ体育の授業を組み入れたクラスで学力に違いが出るかどうか実験が行われました。体育の授業が毎日あるかないかということ以外は全て同じ条件です。

結果は、毎日体育の授業を組み入れたクラスの方がテストの点数が高く、特に算数や英語の点数はぐんと上がりました。さらに、その学力が上がったというのは短期的なものではなく、何年もの長期にわたって継続され、また試験内容が難しいほど、点数の差は大きく開いていたとのことです。

重要なのは心拍数を上げること

では、どんな運動をどれくらいさせればいいのでしょうか。前述の「一流の頭脳」の中では、“ポイントは心拍数を増やすこと”だと述べています。

つまり、何の運動を選ぶかということは、それほど重要ではないということです。同書では、1日の中に20分の運動を取り入れるだけでも読解力が上がる、たった4分の運動でも集中力が高まるといった効果が得られることが書かれており、学力と体力が蜜に関わっていることが取り上げられています。

そして、“小学校に通う学童期が最も運動の恩恵を得られる”“4歳から8歳までの子どもが運動すると、ほぼすべての認知機能が高まる”とも書かれており、“子どもが潜在的な能力を存分に発揮するには、身体を活発に動かさなくてはならず、子どもの学力を上げるためには運動をするべきだ”ということが述べられています。

小学校で気になった運動をする子としない子の違い

私が勤めていた学校でも、毎日の朝学習の時間にランニングを取り入れたクラスがありました。毎朝10分程度のランニングでしたが、以前と比べて

・1時間目から元気に授業に参加し、集中できている
・子どもの精神状態が安定している
・計算が速くなる
・読み書きの力が高まる

などの変化が見られました。

ランニングを取り入れていないクラスでも、朝学習が始まる前に外で遊んでいた子と遊んでいなかった子を比べてみても上記のような差を感じました。

また、よく運動をする子どもは、読み、書き、計算の問題に加え、説明をしたり、自分なりの考えを書くなどの「考える問題」にも強い傾向があるように感じました。図工では、面白い発想で絵を描いたり、学級活動では色々なアイデアを出したりするなど、注意深く観察してみると様々な力が伸びていた印象です。

運動をしていない子どもたちは、授業中に居眠りをしたり、上の空だったり、違うことをしてしまったりなどという姿が普段から多くありました。しかし、そのような子どもたちでも、体育の授業が終わったあとではテキパキと動けたり、いつもなら書きもれてしまいがちなノートもきちんと書けていたりすることもあったのです。

小学生の子どもにおすすめの運動

「あまり子どもが運動が好きではない」「子どもが何の運動ができるか分からない」という方は、以下のものを参考に子どもに合った運動を見つけてみてはいかがでしょうか。

何の運動を選ぶかはそれほど重要ではないので、慎重になりすぎることも必要ありません。子どもが好きな運動や、これならできるというものを見つけて、是非子どもの学力向上につなげられるきっかけをつかんでください。

小学生の子どもが、勉強前にできる運動として次のようなものがあります。

気軽にできるもの

・ランニング
・ウォーキング
・ドッジボール、中あてなどのボール遊び
・おにごっこ
・なわとび

準備が必要なものや施設を使用するもの

・プール
・バドミントン
・サッカー、バレーボール、バスケットボール、野球などの球技

「運動はあまり好きではない」という子どもでも、なわとびだったら夢中にできたり、走るのが苦手な子どもでも、プールは得意だったりなど、子ども一人ひとりに合う運動がきっとあるはずです。大切なのは、体を動かすことです。上記以外でも心拍数を上げられる運動をどんどんやらせていくことをおすすめします。

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短大卒業後、小学校教員を8年間経験。その8年間の経験から、自分や教育に対する様々な疑問を抱き始め、まずは自分を変えようとヨーロッパへ留学。現場では得られないたくさんの経験を積み重ねるが、留学中も教育への関心はたえず、非常勤講師として小学校に勤務中。好奇心旺盛なため、やりたいと思ったことには進んで挑戦中。

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