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2019.07.22

子どもの人間関係が心配なら、まずは夫婦でのふれあいを大切に! 

現代の子育てでは、偏差値重力の左脳教育が重んじられており、人間関係は希薄になってきています。そのため親子、夫婦、友人など人間同士のコミュニケーションがうまくいかず、様々な問題を引き起こしているよう。そこで、心身ともに癒やされ、豊かな人間関係を築いていくための鍵は家庭内のふれあいにあると話すのは家庭教育士の藤田郁子さん。彼女に家庭内に必要なふれあいや実践方法について話を聞きました。

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夫婦関係で子どもは対人意識は大きく変わる

ふれあいとは、物理的な話だけではありません。心のふれあいも大切です。最近、夫婦の会話がギクシャクしていたり、トゲのある会話になっていたりすることないですか? あるいは、何週間も話していないという家庭もあるかもしれません。夫婦の険悪な雰囲気は子どもを不安にさせます。

ここで、実際にあったお話を紹介しましょう。

私には息子がいますが、幼い頃にD子ちゃんと仲良くなりました。当時、彼女は5歳。年齢よりハキハキしていました。

ある日、その子がとても暗い顔をしていたので「どうしたの?」と聞くと「パパとママがケンカした。ママが離婚するからママとパパのどっちがいいのかを決めてと言われたの。どうしたらいい?」と相談をしてきました。

私は一瞬焦り「大丈夫! ママとパパは仲直りすると思うよ」と伝えましたが、D子ちゃんは暗い表情で「今回は無理だと思う」と。そして、吹っ切るように「ママと一緒に行く」と私に言いました。

結局は、夫婦は仲直りでき一件落着しましたが、D子ちゃんは「お母さんがいついなくなるか分からない」と不安になり不登園に…。そして、D子ちゃんのママから相談を受けた私は「できるところからでいいのでやってみて!」と下記の3つのアドバイスしました。

①笑顔で会話すること

②パパの好きな料理をつくること

③パパとの距離を近づけること(並んでTVを観るなど)

家族がリビングにいるときにホッとする雰囲気があることが大事だと伝えました。パパにも努力してもらいたいことはあるけれど、まずはママがパパの喜ぶことをすることで家庭の空気が優しくななっていきます。

家庭は子どもを育てる土壌のようなものなので、冷たい硬い土では種を植えてもよく育ちません。栄養タップリの肥沃な土であるためには、夫婦のちょっとした歩み寄りで子どもにとって素晴らしい環境になるのだと話しました。

夫婦での会話で気を付けたいこととは?

また、「夫(妻)と話すとすぐケンカになってしまう」という声もよく聞きますが、夫婦のコミュニケーションで大事なのは、お互いに相手に関心をもつことです。夫婦といえども、価値観も考え方もちがうのが当たり前なので、まず相手が関心をもっていることや物を否定しないことです。

我が家でいえば、夫の関心事は車、私と言えば映画や音楽。お互いに話したい内容が噛み合わないけれど、まずは相手の好きなことに共感することを心がけています。

夫婦の共感の世界が広がっていくほど、子育てへの視点にも共感性が高まっていくのです。そして家庭の中に笑顔の花を咲かせるためには、相手のいいところを口にすることを習慣にしましょう。子どもも大人もほめられるのはうれしいものです。

夫婦なら「仕事(家事)を頑張っているね」とお互いに労い、子ども達の良いところ・頑張っているところを共有して、日常会話の中でさりげなく子どもをほめる、そうすることで夫婦・親子の会話が弾み、関係が良好になるのです。

幸せホルモンを家庭内に大放出させよう

また家族でスキンシップ(ふれあい)をするチャンスをみつけて実行してみましょう。スキンシップは、別名幸せホルモンといわれる「オキシトシン」をつくります。つまり、肌のぬくもりを感じるほど、オキシトシンが分泌されて幸福感を感じるのです。

オキシトシンの効果には、下記のようなものがあります。

オキシトシンの五大効果!

① 夫婦(親子)の愛着関係を深める
② ストレスに強くなる
③ セロトニンを活性化させる
④ 記憶力がよくなり学習効果が高まる
⑤ 体の成長をうながす!

※③のセロトニンとは、心にやすらぎや満足感などを感じさせる脳内物質。オキシトシンと同じく「幸せホルモン」とよばれています。

とはいえ、「いきなり夫婦でベタベタ触り合うのも…」と思うことでしょう。スキンシップは、下記のような簡単なことでいいのです。

例えば…

・出かける時に肩のゴミ(ゴミがなくても)を払ってあげる・ソフトタッチ

・「行ってらっしゃい」の握手(ハグ)

・疲れているようなら(お互い)マッサージをする(おへその裏にあるツボ「命門」に手の平をあてる)

ほかにも、子どもと一緒にじゃれ合うのもいいですね。親子・夫婦間にふれあいがあると家庭の空気が温かくなります。

家族のふれあいが社会で生きる力を育てる

子どもが低学年なら一緒に手遊び(アルプス一万尺など)をしたり、高学年ならうれしいときにハイタッチ!をしたり、具合が悪いときにおでこをさわってあげたりすることで優しさが肌から伝わります。色々な場面で工夫して、親子でボデイタッチをしてみてください。いつのまにか、家庭に笑顔が増えているはずですよ!

私が所属するスコーレ家庭教育振興協会では、ゲームやマッサージを通して人とふれあう「ふれあいトレーニング」を推奨しており、「子どもを心から可愛いと思えるようになった」「疲れている夫にマッサージをして夫婦間にあたたかな空気が流れた」などの感想をよく聞きます。

ふれあうことで、家族一人ひとりが大切な存在だということを肌で感じることができます。そして、家の外に出ても自分を取り巻く環境や人に対しても肯定的にとらえることができ、よりよい人間関係を構築できるようになるのです。

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藤田郁子

1961年、神戸市生まれ。日本家庭教育学会認定の家庭教育師。幼児生活団の指導者・保育士・健康体操インストラクターなどの経験があり、1991年に公益社団法人スコーレ家庭教育振興協会に入会。日本家庭教育学会第24回大会(2009年)、同32回大会(2017年)では、研究論文を発表したほか、ゲームなど、身体から心の交流をはかる「ふれあいトレーニング」や「キッズ保育者研修」のトレーナーとして活躍中。スコーレ協会の首都圏北地区のリーダーも務めている。

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